無観客ライブ配信で怪物音響!? ギュウ農フェスが見せた心意気｜「偶像音楽 斯斯然然」第28回
無観客ライブ配信で怪物音響!? ギュウ農フェスが見せた心意気｜「偶像音楽 斯斯然然」第28回
これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である（隔週土曜日更新）。
＜ギュウ農フェス＞といえば、AqbiRec所属のグループである
＜ギュウ農フェス＞といえば、AqbiRec所属のグループである。この日、まず登場したのはグーグールル。音の良い配信の中でも、一際目立つAqbiRecの安定感。いい感じにゆるいステージングと、ポップスのセオリーからすっぽ抜けていくポップセンス、それとは裏腹のバキっとした音像が気持ちよく。何よりベースがいいのだ、グーグールルは。新曲「CRAZY BUT GENIUS」も良かったし、さすがの福井シンリワークス。
で、このところ見る度に完成度が上がっているNILKLY。BELLRING少女ハート〜THERE THERE THERESの後継などと呼ばれることも多いわけだが、そこは狙っているわけではなく、結果的にそう見えるだけなのだろう。見方を変えれば、NILKLYとはAqbiRecそのものであり、もっというなら田中紘治ディレクター、その人をそのまま投影しているのがNILKLYなのだな、くらいに思っている。
NILKLY YouTube Live「Abstract」
メタリックにリアレンジされた「2SoundDown」しかり、解放的なベクトルへ向いて生まれ変わった「asthma」しかり、強度を持った楽曲がグループとともにさらなる強さを帯びてくのは壮観である。個人的には「Block System」時に散見された“BUCK-TICK感ありまくり”、“ほぼBUCK-TICK”、“今井寿編曲”といったコメントにニヤリ。
BUCK-TICKファンがAqbiRec沼に引きずり込まれていった話はコチラ
ギュウゾウ氏に“オクタゴンの申し子”と紹介されたMIGMA SHELTER。配信でもわかるこれまでとは格段に違う音響を前に、家に居ながら震えてしまう。「69」始まりという意外性からの、マッシュアップを絡めた曲間の繋ぎ、ライブ運びは見事。いつもであればノンストップで全曲繋ぐところ、一旦間をおいてからの「Rabbido」。おお、この怪しさいいぞ。ギュウ農オクタゴンでは、毎回大きな見せ場となっていた「Compression: Free」は今回ナシか。それでも否応なしエンドルフィンを溢れ出させるのは、さすが“オクタゴンの申し子”である。そんな風に興奮していたのだが、機材トラブルにより予定していたセットリストがすべて消えてしまい、本番2分前にセットリストがすべて変更して挑んだというではないか。そうした大ハプニングの中のステージとは思えないほどのクオリティだった。産地村バンザイ！
そして、大トリのamiinAは、世に蔓延る邪気のすべてを吹き飛ばしてくれた……と思わせてくれるほどのパワーを解き放っていた。アイドルすごいぞ。うん、アイドルってすげーんだよ！
ギュウ農フェス春のSP2020
— ギュウ農フェス will be BACK (@gyunoufes_SP) April 5, 2020
〜無観客生配信フェス〜
"IDOL is STILL ALIVE"
本日大トリ、amiinAさん!
本日さらに出力全開のホワイトレーザー&ライトでaminAさんを未来へ精一杯送り出します！
▼ニコ生https://t.co/Cc55GkQgJa
会場演出用 応援サイリウム購入サイトhttps://t.co/46ZXdzX8xK pic.twitter.com/y4zv92afcA
ギュウ農フェス 公式Twitterより
素晴らしいパフォーマンスに素晴らしい音響、そこに加えてバチバチにド派手なレーザー演出。無観客を逆手に取り、フロアを使って作り出す光の世界は圧巻だった。一般的なレーザーの宇宙的でSFチックな世界観ではなく、プロジェクションマッピング的な絵画を思わせる芸術性で一味違う空間を創り上げていたのだが、聞けば、レーザーショーデザイナー MIU / 茶原未結という女性の方が担当されたという。ん？ どこかで見たお名前だなと思ったら、the GazettE＜THE NINTH TOUR＞をやってた方だ！ 赤格子の世界、RUKIを撃ち抜く描写やら、あのすさまじい光の操り方に度肝を抜かれたんだ。あの長期に渡った一連のツアーは後世に残すべきレーザー演出だと思っている。うん、そうだったか、妙に納得した。
5日はギュウ農フェスatスタジオコーストさんにてレーザー演出を担当させて頂きました⚡️📣
— みゆう🐏 (@miuchapa) April 6, 2020
フロアにもムービング！
9時間ぶっ通しでオペしましたが、楽しく一瞬の感覚でした🦧⛈
ギュウゾウさん、機会をいただきありがとうございました！☺️#ギュウ農無観客フェス
📷:弊社みくちゃんうめちゃん撮影 pic.twitter.com/FjagU9a1K7
みゆう Twitterより
総じて、アイドルのパワーと無観客ライブ配信の可能性、そしてギュウゾウ氏の心意気を十分に感じられた、いいイベントだった。いち早く、生で怪物音響を存分に浴びながら思いっ切り楽しめる＜ギュウ農フェス＞が開催されることを切に願う。
ニコニコ生放送のプレミアム会員タイムシフト視聴は通常1回のみだが、今回の＜ギュウ農フェス＞は7月4日23:59まで回数無制限で全編視聴できるようになっている。まだ観てない人も、観た人も、何度でも観てほしい。ぜひ、ちょっといいスピーカーかヘッドフォンで。
【過去の連載一覧】
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