鈴木愛理の二面性と、神宿にでんぱ組.inc…清 竜人が書く女性ヴォーカル曲としてのアイドルソング♡

鈴木愛理の二面性と、神宿にでんぱ組.inc…清 竜人が書く女性ヴォーカル曲としてのアイドルソング♡

鈴木愛理の二面性と、神宿にでんぱ組.inc…清 竜人が書く女性ヴォーカル曲としてのアイドルソング♡|「偶像音楽 斯斯然然」第13回

これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

鈴木愛理の9月4日にリリースされたニューシングル「Escape」は、彼女が敬愛するBoAなどの楽曲を手掛ける原一博の作曲。詳細を知らずに曲だけを聴いて選んだのがこの曲だったというのだから、その直感は侮れない。

鈴木愛理「Escape」

鈴木愛理は自身が活動してきた°C-uteとBuono!の延長線上にあるように、ソロ活動においてもダンスサイド、バンドサイドという対局にあるものを二面性の武器としている。ソロデビュー作のアルバム『Do me a favor』(2018年)はそのコントラストを1枚に凝縮した作品である。バンドサイドでは岩里祐穂、井上慎二郎、AKIRASTAR、そして赤い公園・津野米咲という、Buono!からお馴染みの制作陣が参加している。そして、今回のシングルのカップリング曲「IDENTITY」は、しほり作曲。言わずと知れた「初恋サイダー」の作者だ。

鈴木愛理「IDENTITY」

小気味好い軽快なバンドサウンドに乗せて、突き抜けるメロディが迸っていく。耳馴染みの良い音の中で、伸びやかに高鳴る愛理の歌声が、いつのまにか嗣永桃子と夏焼雅の歌声とともに脳内再生されてしまう、というのは私だけではないはず。

余談だが、「初恋サイダー」はリリース当初よりもその後徐々に評価が高まっていった曲。今や多くのアイドルにカバーされるほど広く知られるようになっている反面、鈴木愛理が歌っていたことを知らない世代まで出てきているというのだから、年月とはおそろしいものである……、え? リリースからもう8年近くも経ってるの!?(2012年1月18日リリース) じゃあ、あの爪痕を大きく残した<ゆび祭り>は? 2012年6月!? まじか……。

Buono!「初恋サイダー」

°C-ute解散後も、その人気はとどまることを知らず、日本武道館公演を成功させ、ついには来年4月、Buono!のラストステージであった横浜アリーナに立つ鈴木愛理。グループ解散や卒業後のソロ活動は難しいとされている中での大躍進。先日のAmeba TV『火曜The NIGHT』での「鈴木愛理大好きアイドル大集合」に出演していた、元BiSのアヤ・エイトプリンス、わーすたの松田美里をはじめ、彼女をリスペクトするアイドルは未だ数知れず。歌はバシッとキメつつもあえてアーティスト的な素振りを見せず、アイドル時代を自ら尊重しながらその愛嬌が変わらないことも人気の要因だろう。

しかし、テレビ番組などに出演したり、流暢なトークを見ていると、とくにBuono!ではお馴染みだった自由奔放な末っ子ポジションでダジャレを連発し、正直ファンでも聴き取ることが難しかったあの“フガフガ”の愛理が……などと古参ぶりながら感慨深い。

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