10代ロックファンにとってのアイドル、楽曲派ロックおやじが口にする「アイドルの枠を超えている」|「偶像音楽 斯斯然然」第26回

10代ロックファンにとってのアイドル、楽曲派ロックおやじが口にする「アイドルの枠を超えている」|「偶像音楽 斯斯然然」第26回

10代ロックファンにとってのアイドル、楽曲派ロックおやじが口にする「アイドルの枠を超えている」|「偶像音楽 斯斯然然」第26回

これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

“ワンオク(ONE OK LOCK)は洋楽に入りますか?”

その言葉を最初に耳にした時、一瞬躊躇いながらも意味するところは理解できた。“若者の洋楽離れ”などと言われる昨今、ロック好きの高校生たちに“洋楽は聴くのか?”と訊いてみた答えである。

うん、“英語で歌い、海外で活動している”こと自体が、彼らにとってはもう洋楽なんだ。ツアーで世界各国を周り、日本公演はアリーナクラスの会場。それはもうTaylor Swiftとなんら変わりのないことなのかもしれない。洋楽への憧れや洋楽コンプレックスといったものはとっくになくなったのだ。六本木のWAVEに通って、グレーのショッピング袋を片手に“Bjorkを聴いていればオサレ”とか、Radiohead『OK Computer』を通ぶってわかったフリしてる、そんなことはもう遥か遠い昔の話。“オープニングアクト”という小洒落た言い方ではなく、“前座”として“外タレ”の前に出演していた日本のアーティストは、いつの間にか日本国内でも当たり前になった音楽フェスで海外アーティストと肩を並べるようになった。その時から洋楽を羨望することなど、なくなっていたのかもしれない。

そこで気になったのが、ロックという概念である。“セックス・ドラッグ・ロックンロール”なんて言葉は過去のもの。“ロック=不良”、“ロックバンドは浮世離れしたヤツがやるもの”という風潮も消えてしまった。かつて、アブないロックのアイコンだった“パンク”や“ヘヴィメタ(ヘヴィメタル)”を、今の若者たちはどう見ているのだろう。若い世代に人気がありそうなパンクバンドもヘヴィメタバンドも思いつかない。

別の高校生たちに“自分が思うパンクバンド、ヘヴィメタバンドを1つずつ挙げて”という問いを投げかけてみた。7人の男女に訊いたのだが、パンクバンドは全員一致でBiSH、ヘヴィメタバンドはX JAPANとPassCodeが2票ずつ、ほかは、ONE OK LOCK、Fear, and Loathing in Las Vegas、マーティー・フリードマン、だった。

シーンにおける異端児的ポジションと破天荒な存在感はまさにパンクに相応しい BiSH「NON TiE-UP」

“楽器を持たないパンクバンド”というキャッチコピーを持つBiSHの影響力は絶大で、確かに今日本で1番“パンク”という言葉を浸透させながら、そこに相応しいポジションにいるのは彼女たちなのかもしれない。対して、ヘヴィメタバンドにPassCodeの名が挙げられたことは興味深かった。“BABYMETALは?”と尋ねたところ、7人中6人が“(ちゃんと)聴いたことない”、1人が“父親が好きだけど……”と言っていたのは、現代における若者の感性を身に染みて知らされた答えだった。おい、ちょっと待て。BiSHもPassCodeもバンドじゃないだろ?というツッコみはお門違いだ。“アイドルか、バンドか”という論争は、既成概念に囚われた大人たちだけの話題なのだ。少なくとも今の10代にとっては、アイドルであろうがバンドであろうが、ロックという名の下に並べば同列のアーティストであり、アイドルによってロックやバンドに対する憧れ、初期衝動を感じることは珍しくないのである。

PassCodeを観てロックに目覚めた、バンドを始めたと言われても納得できる PassCode「PROJECTION」

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