プリプリから赤い公園、ザ・コインロッカーズまで ガールズバンドとアイドルのあぶない関係|「偶像音楽 斯斯然然」第7回

これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

秋元康とワーナーミュージック・ジャパンが仕掛けるザ・コインロッカーズ。楽曲ごとにメンバーが変わる総勢39人の選抜制、という言うなれば、AKBグループのビジネスモデルをバンドのフォーマットに落とし込んだ手法は、生粋のロックファンからすれば否定的な見方もあるだろう。しかしながら、これは女性バンドがアイドルと同等のエンタテインメントコンテンツとして成り立つのかどうかの挑戦でもあり、興味深くもある。“成長過程を見守っていく”ことはアイドルを応援する醍醐味の1つであるが、それが楽器演奏という特異性のあるスキルに現れていくのなら、ザ・コインロッカーズはこの先どんどん面白くなっていくはず。

ザ・コインロッカーズ「憂鬱な空が好きなんだ」

これまで、どちらかといえばアイドル視されることを避けることが多かった女性バンドのシーンにおいて、そこを逆手に取ったものが出てきたことは、近年の情勢を表しているようにも思える。

過去を振り返れば、どこか男性社会の印象が強かったロックシーン。その中で、“男勝り”であるとか、はたまた“ヘタウマくらいが可愛い”だとか、そんな風にも言われてきた女性バンド。かつては“ギャルバン”、“レディースバンド”と言われていたが、近年では“ガールズバンド”と呼ばれることが主流となっている。反面で、“ガールズバンド”に括られることをよしとしない女性バンドも少なくない。

ここ数年、ガールズバンドブームだとも言われているが、こんなにも多くの女性バンドが活動しているのは世界を見渡しても我が国だけである。女性アイドル文化が日本独自のものであると同様に、ガールズバンドシーンもまた独自なものだ。また、この2つのシーンは因果性を帯びた関係があるとも言える。

そんな女性バンドとアイドルの関係性を紐解いていこう。

表のプリプリ、裏のSHOW-YA

女性バンドを語る上で欠かせないのは80年代後半に“表のプリプリ、裏のSHOW-YA”などと言われた2バンドである。親しみやすいポップロックの“プリプリ”こと、プリンセス プリンセスと、通好みの本格派ハードロックのSHOW-YAは、良くも悪くも比較されることが多かった。不仲説などもあったが、実際にはSHOW-YAの主宰イベント<NAONのYAON>でプリプリがオープニングを飾ることが恒例となっており、両バンドとも友好的な関係を築きながら女性バンドのシーンを盛り上げていった。

SHOW-YA 「限界LOVERS」

SHOW-YA「限界LOVERS」のリリース日は1989年2月1日、プリプリ「Diamonds」は同年4月21日。両バンドのブレイクのきっかけとなった代表曲のリリース時期は近く、両曲ともに笹路正徳のプロデュース、というところも興味深い。

この2バンドが“女性バンドの草分け的存在”とされるのは、“アイドル的な売り方に抗いながら成功を収めた”というところだろう。日本でも人気を誇ったアメリカの女性バンド、The Runawaysが音楽誌よりも週刊誌のグラビアに取り上げられることが多かった背景を考えれば、自分たちの音楽を貫き、いちロックバンドとしての地位を確立した功績は大きかった。

The Runaways「Cherry Bomb」

ただ、近年のガールズバンドブームの原点をこの両バンドになぞることも見かけるのだが、それは違うと思っている。現に両バンドが解散、休止状態にあった90年代中盤以降、女性バンドは激減。代わりに台頭してきたのが、the brilliant greenやJUDY AND MARYといった“女性ヴォーカル+男性メンバー”というバンドスタイルだったからだ。

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