まなみのりさ[インタビュー]決断と決意の真実――解散への想いを語る「最後の日まで最高を更新し続けて、笑顔で終わります!」

まなみのりさ[インタビュー]決断と決意の真実――解散への想いを語る「最後の日まで最高を更新し続けて、笑顔で終わります!」 まなみのりさ特集『Last Days』インタビューvol.1

鈴木 健也

Pop'n'Roll Editor in Chief(編集長)

2022.04.02
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まなみのりさが、2023年4月1日(土)の中野サンプラザでのワンマンライブをもって解散をする。2007年のデビュー以来、1度もメンバーを交代することなく、また数々の逆境を乗り越え、今年15周年を迎えるこのタイミングで、3人は大きな決断を下したのだ。Pop’n’Rollでは、そんなまなみのりさの最後の1年間を追いかける特集を行なうことが決定。この1年を通じて、インタビュー、ライブレポート、メンバーによるコラムなどを随時掲載し、グループの終幕までの過程をはじめ、3人のアイドル人生に深く迫っていく。今回、その第1弾となる“解散インタビュー”をお届けしよう。まなみ、みのり、りさの3人が、解散を決意するまでの心情、最後の1年間の活動ビジョン、そしてファンへの想いを、どこまでも真っ直ぐな言葉で語ってくれた。

撮影:曽我美芽
編集協力:竹内伸一

クラファンでファンのみなさんの想いをすごく感じました(まなみ)

――2023年4月1日で解散することを決めたわけですが、やはり転機となったのはコロナ禍で活動がままならなくなったことが大きいのではないかと思います。まずはこの2年間を振り返っていただけますか?

まなみ:
コロナがニュースになり出した頃は“なんだか大変なことになったな”って、どこか他人事だったんですけど、感染が広まり出してすぐに事務所の先輩が濃厚接触者になってしまって。私たちもその先輩と一緒に仕事をしていたので、かなり早い段階で、保健所からの指示で2週間くらい自主隔離したんです。幸い、誰も感染はしていなかったんですけど、ファンのみなさんにもすごく心配をかけてしまって……。でも、まだ状況がよくわかっていない段階だったので、とにかく、なんだかすごいことが起きているなって驚くばかりという感じでした。

――当時は、出演イベントも中止になっていきましたよね?

みのり:
3月と4月に広島と東京でワンマンをやる予定だったので、“やるのか、やらないのか、どうしよう?”って悩みましたね。で、感染もどんどん広がっているみたいだってことで、延期となったのですけど、そこからは全然活動できなくなりました。

――コロナ禍でスケジュールが白紙になって、いろいろなことを考え直す時間になったという話をよく聞きますが、まなみのりさも同じような状況でしたか?

りさ:
いえ、まさかこんなに長く続くとは思っていなくて。ライブができなくなって、みなさんに申し訳ないなとは思っていましたけど、“GWくらいには再開できるかな? だったら、それまでにできることって何かな?”って、そういう気持ちでいましたね。

まなみ:
緊急事態宣言が出て、音楽業界だけではなく、すべてが止まってしまったじゃないですか。だから、“みんなが動けないんだから、私たちが活動できないのも、しょうがないのかな?”みたいな気持ちもありました。でも、しばらくすると普通に再開できた業種もあるのに、ライブは制限されてしまって。思っている以上に動けなくて、“いつまでライブができないんだろう? いつになったらお客さんを入れられるんだろう?”って苛立ちというか、モヤモヤした気持ちは、コロナ禍が続くに連れて、徐々に大きくなっていきましたね。

――その段階で、グループの活動について話し合いをしましたか?

みのり:
8月8日が私たちの周年なので、その日のワンマンライブを有観客でやるのか無観客なのかっていう話し合いは、けっこうしました。結果、無観客で配信のみという形でやったんですけど、配信ライブは、自分たちの中では、ウマく伝えきれなくて。やっぱり、お客さんを前にしてやるのと、カメラを前にしたライブって違うんです。もちろん全力でやっているんですけど、それでもやり切れていないような感覚があって。それは3人とも共通していたと思いますね。でも、あの時期は配信でやる以外なかったので、どうしたら伝わるのかっていう話はずっとしてたよね?

まなみ・りさ:
(無言で大きくうなずく)

まなみ:
その8月のライブは、13周年のライブだったんですよ。だから、それにちなんで13回まわしのライブを企画していたんです。収容人数を考慮しつつ、そんな中でもできるだけたくさんの人に届けたいから、全公演ファンの方に入れ替わってもらって決行しようって。結局無観客になってしまったので、そもそも13回やるべきなのかも悩みました。1~2回に絞ってやった方がいいのかなって。

りさ:
結局、13回やることに決めたんですけど、あの時が配信ライブは初めてだったので、ライブ感のなさに驚きました。やっぱりファンの人がいてこそのライブなんだなってすごく思いましたね。それを13回やるのは、なかなか大変でした(笑)。カメラの向こうにファンのみんながいてくれるっていうのが1番のモチベーションでしたね。

みのり:
周年の時は、いつも大きな会場でやるんですけど、大きな会場にたくさんのお客さんを入れてしまうと密になるので、会場を小さくして、その分、何度もライブをやろうっていう意図もあったんですよ。そんなふうに、できるだけ生で観てもらえるようにいろいろ工夫して方法を考えたのに……。ギリギリまで粘ったんですけど、結局、無観客になってしまいました。

――やっぱりライブの空間は、お客さんがいて完成するものだと思います。

まなみ:
そうなんですよ。しかも、新曲も初披露だったんです。いつもはみんなが見守ってくれる中で初披露なので、緊張もするんですけど、“みんなはどう受け取ってくれるかな?”って楽しみだったりもするんですよね。でも、そういう反応もわからなくて。ライブのあとに、Twitterとかでみんなの声を初めて知るっていう(笑)。“新曲はみんなどう捉えてくれるんだろう?”って、疑問のまま13回ライブをやりました。直接受け取ってもらえることの大きさを改めて感じましたね。

――その後、有観客イベントを開催した時期は?

りさ:
私たちは遅かったです。

みのり:
夏にミニアルバムを出したんですけど、そのリリイベを11月くらいにやったんです。それがたぶん久々の有観客だったと思います。ライブハウスでこれまでのようにライブをやるのはまだ厳しい状況で、リリイベだったらなんとかできそうだってことで。

まなみ・りさ:
そうそう。

――久々の有観客はいかがでしたか?

みのり:
“人がいる!”って(笑)。なんだか、どこを見ていいのかわからないような感覚でした。

りさ:
はははは(笑)。でもやっぱり嬉しかったよね。

まなみ・みのり:
嬉しかった!

りさ:
気持ちも上がるよね。コロナ禍だけど、何かできることを探そうっていうことになって、『できるなら...』っていうミニアルバムを出すことにしたんです。

――それが2020年の大きな動きだったわけですね。2021年は?

りさ:
えっと、去年、何したかな(笑)。

――コロナ禍になってから、ずっと同じような状況が続いているので、時系列がよくわからなくなりましたよね。

みのり:
“あれ!? もう2年経ってる!”って、すごく思います。

りさ:
そうだ、4月に(アルバム『Elope』の制作をする)クラウドファンディングを発表したんだ。

――目標額に一瞬で到達したんですよね?

りさ:
15分で。ありがたいです。

みのり:
ライブを直接観てもらえる機会も減ってしまって、もちろん特典会もできないので、ファンのみなさんと交流する機会がまったくなくなってしまって。だから、クラファンを通じて、みんなで一緒にCDを作れたらいいなってことで、始めたんですよね。

――クラファンで、ファンのみなさんとの絆の深さを再確認できたんじゃないですか?

まなみ:
私たちもそんなにすぐに達成できるなんて思っていなくて。あの時、ちょうど3人で一緒にいたんですよ。

みのり:
クラファンがスタートした瞬間を3人で見ていたんです。

まなみ:
スマホを見ながら、3人で“あれあれ?”なんて言っているうちに達成したんですよ。やっぱり、ファンのみなさんの想いをすごく感じました。それをみんなで共有できて、一緒に作るんだっていう気持ちがさらに強くなりました。

りさ:
そもそもクラウドファンディングに抵抗があった人もいたと思うんですよ。私たちも、どういうふうになるのか、見えない部分もありましたし。それでも、“みんなで一緒に作る”という想いを込めて、クラウドファンディングでやろうって決めたんです。完成したアルバムを見ると、“みんなで一緒に作り上げたんだ”って改めて思います。それが感じられたことが、1番嬉しかったですね。

――コロナという逆境だったからこそ、実現できた企画かもしれないですね。

みのり:
そうですね。コロナじゃなかったら、クラファンでCDを出そうって考えなかったんじゃないかな。

――コロナ禍においても、得るものがあったということですよね。

まなみ:
そうだと思いますね。

まなみ

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