Pimm’s、FES☆TIVE、BABYMETAL、EMPiRE…ミクスチャーな可能性を追い求める新作|「偶像音楽 斯斯然然」第15回

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Pimm’s、FES☆TIVE、BABYMETAL、EMPiRE…ミクスチャーな可能性を追い求める新作|「偶像音楽 斯斯然然」第15回

これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

EMPiRE「RiGHT NOW」
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EMPiRE「RiGHT NOW」

EMPiRE “avex × WACK”が繋ぐダークウェーヴ

最後は、“avex × WACK”の共同プロジェクトから誕生したEMPiRE。エイベックスの90’sサウンドテイストを匂わせながら、現在の音楽トレンドをウマく融合させている。ちょっと懐かしいニューウェーヴポップを漂わせながらも、ビッグビートナンバー「アカルイミライ」、グリッチホップの「Black to the dreamlight」、サビに代わり大胆にドロップを用いた「FOR EXAMPLE??」など、世界のポップミュージックのトレンドをふんだんに取り入れてきた。前シングル「SUCCESS STORY」は90’sハウスのサウンドをちりばめながら疾走するアッパーチューンであったが、ニューシングル「RiGHT NOW」では、ゆがんだシンセサウンドが蠢くように何層にも重なり、入り乱れながら怪しい雰囲気を作り出す。

EMPiRE - RiGHT NOW

日本語のイントネーションを無視して外国語っぽく聴かせるのはWACKのお家芸であるものの、ギクシャクした言葉で英語のように、ではなく、柔らかめの語感で得体の知れない異国情緒を醸し出すのはすっかりEMPiREの色。派手なバックトラックによる楽曲のスピード感を無視したなだらかな音使いの歌メロディがそれをさらに強調させ、あえて緩急を抑えた掴みどころのなさが1曲通しての均一されたテンションとなり、あっという間に終わってしまう。そして、そのままアタマに戻りたくなる中毒性。1回、2回くらい聴いただけじゃ到底理解できないトンデモ曲だ。

カップリングはEMPiREの魅力のもう1つの魅力、SCRAMBLESの女性クリエイター、oniによる妖美なエレクトロ。轟く刹那ウェーヴ「NEVER ENDiNG」は、初となるMiDORiKO EMPiREの作詞(oniとの共作)。1歩下がってグループを見ているような印象の彼女だけに、その内面性を描いた世界観はリアルで新鮮。滝行を経て雨女から“雨の女帝”へと深化した、YU-Ki EMPiREの歌の覚醒と、ロングヘアからばっさりとイメチェンしたショートカットで“一重界のカリスマ”の名を欲しいままにし、アニマルほのぼのツイッタラーとしての活躍もめざましい“バズりの女帝”、MiKiNA EMPiREのアンニュイイケメンボイスも聴きどころ。

EMPiRE「RiGHT NOW」

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