第13回：地下アイドルのやりがい搾取問題〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜3週連続で曲を聴かずに、アイドル演劇から地下アイドルのやりがい搾取問題について深く話し合うことに……

南波：
もう随分前に活動終了したところの話なんだけど、地方アイドルの子に相談されたことがあって。東京遠征したときに宿泊のホテルを運営の男と同部屋にさせられて、不満を言うと“売れるまで辛抱だ”みたいなことを言って叱られると。

小出：
どういう気持ちで言ってるんだ、それ……。

南波：
それ系のやばい問題点がいくつもあったんだけど、それをほかの人に言うのも怖かったと。で、こっちからは辞めるべきと伝えて、自分も運営の人と話すことになったんだけど、部外者がうちのやり方に口出ししてくれるなって言われるわけですよ。たしかにそうなのかもしれないけど、アウトなことはアウトじゃないですか。

小出：
これは複合的というか、単純な問題ではないね。どの角度からでも見直していくべき部分があると思う。でも、法律とか条例で規制していったら、表現についての問題も出てくるじゃないですか。いわゆるエンタテインメントとか興行の世界に規制が食い込んでくるとまたね。

南波：
音楽をやりたい、歌って踊りたい自由は尊重されるべきで。

小出：
そうそう、もし演者の表現に関する縛りになってしまったりするとね。だけど、ひどい環境で搾取してるような連中に“表現の自由”なんて言葉使いたくもないわ。この矛盾が歯がゆいですね。

南波：
もし規制ができたとしても、ひどい連中はそうそういなくならないじゃないですか。振り込め詐欺とかも、ずっとはびこっているわけだし。

小出：
たしかにね。それと同じで、引っかかる人がいるから地下アイドルの搾取運営がいるわけで。

南波：
だから豪さんじゃないけど、警鐘を鳴らし続けるくらいしかないですよね。

小出：
ファンの人が運営を監視したりとかは？　問題が表出したときにいろんな人が言うことはできるけど、小さい現場レベルだとわからないじゃないですか。こいつ怪しいな、女の子たちが削られてると思ったら、ファンが率先して言うとか。……甘いか。

山村：
出禁にしたりしますしね。

南波：
まず裏でパワハラが行われているかもわからないし。しかも地下とか地方だと、運営とファンの距離が近くて仲よかったりすることも多くて、女の子はますます逃げ場がなくなるという。

小出：
地獄。……非常に幅の広いグレーだね。

南波：
ギャラ問題で言うと、数人の客だけで回しているところもあるじゃないですか。

小出：
数人って。もうビジネスとして破綻してるよね。

南波：
でも、アイドルにお金を渡さないことで回ってしまうところもあるんですよ。

小出：
はー。そういう水域は危険すぎる。

南波：
夢見ること自体は自由だけど、やっぱりちゃんとした事務所がいいですよ。

小出：
バンドで考えると、ちゃんとした事務所でも新人の月給なんて全然少額で。メジャーデビューしてもアルバイトしてる人だってたくさんいる。だけど、アイドルのようにクソ運営に搾取される構造ではないもんね。

南波：
夢を見て苦労しているバンドマンとは違うんですよね。アイドルも自分でその道を選んだとはいえ。

小出：
全然違うね。もし大手に入れなくて、夢を追うためにわけわかんない事務所に入るくらいだったらさ、それこそ前にも話が出たけど、フリーでやるほうがいいのかなぁ。……この話は終わりがなさそうだね。

南波：
終わらないですね。またどこかのタイミングで触れることになりそうだなと。しかし、今月は曲をかけるタイミングあるのかなぁ。

【今週のまとめ】
今週の曲：特になし。次週は曲をかけて話してます！