第7回:バニラビーンズ〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜

第7回:バニラビーンズ〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜

第7回:バニラビーンズ〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜連載7回目は、バニラビーンズのラストシングル、さらにインタビューあるあるトーク&近年のアイドル解散事情へ

小出 祐介

南波 一海

2018.10.06

南波が小出のために選んだアイドル曲を聴いて、2人が気になっていることをフリートークする連載。今回はバニラビーンズのラストシングルを取り上げ、近年のアイドル解散事情について言及した。本題に至る前のインタビューする側、される側あるあるトークも必読。

南波:
この連載のペースに自分が全然ついていけてなくて。

小出:
ああ、そうですか。

南波:
毎週更新することに慣れていないのが大きいんですけど、そもそもこれをあまり仕事と思ってないのかもしれない。

小出:
おい。

南波:
自分が普段やっているようなインタビューって感じでもなくて、ただいつものように世間話をしてる感じだからか、不思議と“原稿作らなきゃ”って感じにならないんだよなー。

小出:
やってよ(笑)。ちなみにこの週刊連載の原稿料ってどうなんですか?

南波:
ウェブ料金って感じです。

小出:
雑誌とは違うものなの? 何文字いくらとか。

南波:
雑誌とウェブは違いますね。雑誌は何文字いくらとか何ページいくらとかで、ウェブは文字数の決まりがゆるいんだけど、どれだけ文字数を増やそうが額は変わらない。ウェブも紙も媒体によって全然違うけど、紙の方がまだ高いイメージ。

小出:
そうなんだ。

南波:
それとモチベーションはまた別だけど。

小出:
人によって違ったりはする? 例えば、南波さんだから高いとか、吉田豪さんだから高いとか。

南波:
ないない。少なくとも自分は媒体の規定通りだと思う。豪さんもない気がする。高くないからこそオファーもしやすいというのもあると思う。クオリティは言わずもがなだし、Twitterでがっつり拡散もしてくれるし。ギャラが高い人の話も聞いたことあるけど、どうなんですかね。頼みにくくない? 余分に払っただけの仕上がりになるのかっていう。

小出:
マジでたしかにね。

南波:
ハマればいいんだろうけど。インタビューの話を続けちゃうけど、そもそも相性があるじゃないですか。

小出:
めちゃくちゃある。ただなにもない砂漠が続く時がある。

南波:
砂漠!

小出:
砂漠にいると、こっちはサバイバルするしかないじゃないですか。陽射しも受けなきゃいけないし、水も確保しなくちゃいけないし、なるべく体力奪われないように動かないといけない。向かう先も、太陽の方向からなんとなく探さないといけない。

南波:
相手に“こっちの方ですよ”と案内しないといけないんだ。

小出:
そうそう。そういうときのインタビューはだいぶつらい。取材日とかって1日に複数のインタビューを受けたりするから、それが続くともうね……。だからやっぱり、話したいライターさんって限られてくるんだよ。こっちも絞ろうと思ってしまう。波のある人だとこっちも覚悟しないといけない。一方で、南波さんとか三宅(正一)さんみたいな、どういうゴールかはわからないけど、一定のアベレージ以上のゴールに辿り着けるだろうという人もいる。そういうときは雑談する方向でも行けちゃうんだけど。

南波:
先に答えをカッチリ決めてくる人もいるでしょ。

小出:
全然いるよ。喋ってて“あ、この人答え決めてきてるな”っていうのがわかる。

南波:
それが空振ったときがしんどいんですよね。

小出:
うん。当たってりゃいいけど、当たってないときが砂漠になるわけ。

南波:
自分が先回りして用意した答えが合わなかったときに、じゃあどう転がしていくかというところもインタビュアーの腕が問われるわけじゃないですか。そこがズレ続けるのが砂漠状態ということですよね。

小出:
そういうときは1個1個丁寧に否定して潰していくしかない。そういう不毛なやりとりをやったことがあるよ、何度か。毎回の質問に“いや、それは”って否定してから説明するっていう(笑)。

山村:
小出くんみたいに否定できる人はいいけど、できない人もけっこういるから。本当は自分ではそう思ってないのに、違う方向に流れていっちゃうっていう。

南波:
“あー、言われてみればそうなのかも”みたいな感じで。やっぱり人と人との会話だから、あまり言えない人はなんとなく合わせてしまうこともあるんですよね。

小出:
で、そのまま、その場だけの盛り上がりで1本記事が上がっちゃうわけじゃん。そうすると記事にバラつきが生じちゃって、そのアーティストがブレてるように見えちゃうってこともある。南波さんのインタビューはセッションタイプじゃないですか。

南波:
そうですね。用意してきても、その場の面白い流れに合わないものはどんどん捨てる。

小出:
今回はセッションできなかったなっていう日もある?

南波:
当然あります。アイドルのインタビュー仕事だと、まだ喋り慣れてない若い子と話す機会も多いんですよ。先生が点をあげたくなるような行儀の良いことだけを言うのが正しいものだって思っていそうな人もいて。

小出:
なるほど、南波さん的には彼女の定石の喋りを求めてないと。

南波:
うん。頑なに譜面通りにしか演奏しない、即興演奏はできないぞっていう人もいるから。それが面白い場合もあるんですけどね。

山村:
あと事務所の人が横にいたりね。

南波:
そうそう、余計なことを言ってしまわないようにプレッシャーがかかる場合もある(笑)。

小出:
それはアイドルあるあるだね。

南波:
最近けっこう多いのは、いまはいろんな人があちこちに移籍してる状態じゃないですか。だけど前のグループの話ができない場合もあるんですよ。そうなると自由度が減る。窮屈すぎてセッションもなにもないし、変に不自然になったりすることもある。

小出:
あはは。

南波:
つらいのは、本人は自由に話してくれたんだけど、チェックのときにNGになっておいしいところがごっそり減ったとき。インタビューする前に言ってくれたら対処したのにっていう。書いた本人くらいしか気づかないかもしれないけど、これ前後が急に飛んでるよなって場合がある。

小出:
それは面白い(笑)。

南波:
逆に喋るのがウマいアイドルさんもいるんだけど、雰囲気がくだけすぎてしまってインタビュー記事がただの特典会レポみたいになっている場合もあって。そういう記事を読むのも苦手なんですよ。それは素を引き出したんじゃなくて、女の子のサービスがいいだけだから。もちろんそれを読んで楽しいというファンの人もいるとは思うんですけど、自分はそれはしたくないなと。

小出:
プロとしてね。まぁしかし、こんなに10代の女の子と喋ってるおじさんいないだろうね。

南波:
あはは。

小出:
仕事で10代の子と話したりするとさ、自分はこんなに遠くに来てしまったのかって感じるもん。

南波:
それは本当にそう。こんな仕事をするなんて想像もつかなかった。

小出:
山村さんはどういう気持ちなんですか? レコード会社にいた頃はそんな若いアーティストを担当することもなかったですよね。デビューしたての僕らが21、2だったけど、それより全然下だったりするわけで。

担当編集・山村:
遠くに来てしまったなとは思うよ(笑)。でも、逆に教えられることも多いから面白いなって。ただ、インタビューをしていると、どうしても気持ち的なことを聞く方向にはなっていく。

小出:
なるほどね。

南波:
だけどメーカーとしては曲の話をしてほしがる。

山村:
レコ社にいた人間としてはCDの宣伝も入れてもらいたいというのはわかるんだけどね。

南波:
ただ、CDの話になると途端に譜面通りになってしまうという(笑)。

小出:
曲を作ってるアーティストじゃないからね。MV撮影のときにやっと歌詞が上がってくるみたいなスケジュールだと、歌詞に対する気持ちもなにもないだろうよね(笑)。

南波:
パフォーマンスについて聞こうと思っても、ライヴがリップシンクのところだと歌について聞くとおかしなことになるし……といったあたりで、そろそろ曲にいきますか。

小出:
あはは。今回は曲をかけないっていう流れかと思った。

南波:
最早そういう週もやってみたいけど(笑)。かけますよ。

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