第11回：アイドルのライブ演出とハロプロの美学〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜今週は曲を聴かずに、アイドルのライブ演出問題からハロプロの独自美学について語る

南波：
その意味でハロプロの武道館とか中野サンプラザの演出はすごいなと思う。それこそバンドを入れたりもせずに、毎回飽きさせないようにやっていて。特に中野サンプラザはハロプロ以上にウマく使える人はいないんじゃないかってくらいで。

小出：
ホントだよね（笑）。むしろ、こすりすぎているくらいなのに。ハロプロの強みはリファレンスが多いってことだと思いますよ。アーティスト単位だったら年に1回あるかどうかくらいかもしれないけど、ハロー！プロジェクト単位だと何回もやってるわけじゃん。

南波：
正月から年末までね。

小出：
そうそう。Juice=Juiceでどうだったから、こぶし（ファクトリー）とつばき（ファクトリー）はどうだとかって共有できる。制作のチームが同じかはわからないけど、少なくとも全体の統括をしている人は同じなわけで。そういうノウハウの積み重ねを共有し合えるのは強いですよね。でも、僕が一番観てたころのハロプロは、たとえばBerryz工房の後ろのビジョンに映ってる、謎の幾何学模様はなんなんだろうとか思ってたけど（笑）。

南波：
映像のダサさとか謎感みたいなのはずっとありますよね（笑）。

小出：
テレ東の1日の放送が終わってさ、早朝にまた放送が始まるときに、草原みたいなところに謎の球体がふわーって出てくる映像とかあるじゃない。映画の『メッセージ』みたいなやつ（笑）。あれに近いテイストの映像がベリーズの後ろで展開してるんだよ。なんだろう、このリラクゼーション映像は……っていう（笑）。

南波：
Especiaみたいに狙ってやってるわけでもなく、きっと自然とそうなってるのがまた。

小出：
本気でやってるじゃん。なんか羽根が舞い落ちる映像と、その幾何学模様がレイヤーで重なる瞬間もあってさ、これはどんな気持ちで観たらいいんだろうって（笑）。あれってどう発注されるんだろうね。

南波：
やっぱり美学はあるんだろうなと思う。『CDジャーナル』でシングルとアルバムのガイドブック作ったじゃないですか（※『HELLO! PROJECT COMPLETE SINGLE BOOK』及び『HELLO! PROJECT COMPLETE ALBUM BOOK』）。あれが全員が同じ大きさで並ぶデザインになっているのは、そういう指定があったからで。『プッチベスト』的なデザインの。

小出：
京都の三十三間堂みたいなやつだ！

南波：
そうそう（笑）。あれじゃないとダメなんですよ。デザインにも独自のロジックとか美学があるんだなと。

小出：
そういうことなんだ！　それが一体、どこに蓄積されたミームなのか全然わからないですけど（笑）。

南波：
ハロプロミーム（笑）。ハロプロと言えば、Juice=Juiceの舞台を観たっていう話もあるんですよね。でんぱ組.incも話すべきトピックがあるし。それは次回以降ということで。

【今週のまとめ】
今週の曲：特になし！