プリプリから赤い公園、ザ・コインロッカーズまで　ガールズバンドとアイドルのあぶない関係｜「偶像音楽 斯斯然然」第7回

アイドルからバンドへ

アイドルが卒業後にアーティストを目指すことは1つの正攻法であるように思えるが、実際は意外と少なかったりもする。そんな中で、バンド活動を始めるケースもある。

バンドマンに転向したアイドルとして、大きく印象を残したのはANZAこと、大山アンザだ。90年代はスターダストプロモーション所属、桜っ子クラブさくら組のメンバーとして活躍。女優、ソロシンガーとして活動ののち、2000年にヘヴィメタルバンド、HEAD PHONES PRESIDENTを結成した。ニューメタル、スクリーモを土台とした圧倒的なヘヴィサウンドを搔き鳴らし、国内外で活動を広げている。

HEAD PHONES PRESIDENT「Stand In The World」

これまで活動してきたアイドルとは大幅に異なる音楽性のバンド活動を始めたといえば、The Idol Formerly Known As LADYBABYを脱退した黒宮れい。90年代のグランジやハードコアを内包しながら、負の感情を叩きつけるようなBRATSのオルタナティヴロックは唯一無二であり、今後への期待しかない。また、PASSPO☆の増井みおは、師であるUNITEDのベーシスト、故・横山明裕の魂を継ぐようにグループ解散後、ベーシストとしてBabooBeeを結成した。

BRATS「決まりごと」

BabooBee「Right Now!」

昨年、元アイドルネッサンスの石野理子が、女性バンド・赤い公園に加入したことは業界全体が騒然となった。赤い公園がもともとアイドルと深く関わることの多かったバンドではあるものの、シンガーとしてその実力に定評のあるアイドルが、音楽的評価の高い女性バンドに正式メンバーとして迎えられた。このことは、アイドルと女性バンドのこれまでの関係性を覆す事案であるようにも思う。因果関係にあり親和性は高いと言われながらも、アイドルと女性バンドの間にはこれまで見えない大きな壁があったのだから。

赤い公園「Highway Cabriolet」