TEAM SHACHI、“ブラス民”なる特異ホーンセクションで攻めるポップスの可能性|「偶像音楽 斯斯然然」第77回
冬将軍
音楽ものかき
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2月16日(水)に1stフルアルバム『TEAM』をリリースしたTEAM SHACHI。改名後、音楽的な進化と深化を続ける彼女たちのサウンドの魅力を、今回は“ブラス民”と呼ばれるホーンセクションを軸に、冬将軍が分析していく。
『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。
TEAM SHACHIの改名後初となるアルバム『TEAM』はバラエティに富んだ楽曲の揃ったアルバムであると同時に、“POPでLOUDでブラスなガールズユニット”を掲げながらオリジナリティを求めてきたグループの軌跡、ベストアルバムとしての意味合いも強い作品である。先行配信リリースされた「HORIZON」はそうした音楽探求の末に行き着いた、最新鋭のTEAM SHACHIが誇る、この上ない楽曲強度を持ったナンバーである。
TEAM SHACHI 「HORIZON」
ストンプで打ち鳴らされる鼓動にデジタルビートが重なっていき、重厚なホーンセクションがサウンドに華を添える。果敢に攻め行く咲良菜緒の鋭利な歌声としなやかに魅せていく大黒柚姫、坂本遥奈が斬れ味抜群のラップで猛進すれば、クールにキメる秋本帆華が身構える、四者四様を打ち出すボーカル。ダブステップ風の間奏からのDメロ、ラストサビへと解放されていくドラマティックな展開。寸分の隙を聴き手に与えない最強ラウドポップがここにある。
良質なJ-POPでありながら海外のトレンドをしっかりと押さえ、世界基準のダンスミュージックの聴き心地を生み出していくのは、ここ最近のTEAM SHACHIのベクトルでもある。同曲を手掛けたのはROCK'A'TRENCHの山森大輔、そして共作曲と編曲はUVERworld楽曲を数多く手掛けてきた平出悟。さすがの攻撃力の高いミクスチャーな仕上がりである。
さて、リリースされるごとに進化と深化を重ねてきたTEAM SHACHIの音楽探求については、幾度となく当コラムでも触れてきたわけだが、今回はTEAM SHACHIの音楽的な面白さを担う、“ブラス民”と呼ばれるホーンセクションを軸に考えていきたい。
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