TEAM SHACHI、“ブラス民”なる特異ホーンセクションで攻めるポップスの可能性｜「偶像音楽 斯斯然然」第77回

ホーンアレンジの概念

バンド編成でもないボーカルグループにホーンセクションが常駐している、という奇抜さがTEAM SHACHIの武器である。楽曲自体に華を添えるアレンジの役割はもちろん、ステージパフォーマンスでの派手さもある。

しかしながら、ホーンアレンジの音楽自体は珍しいわけではない。ホーンを入れたポピュラーミュージックといえば、ロックステディやスカ、またはジャズやフュージョン寄りのブラスロックというのが定番でもある。

TEAM SHACHI×ロックマン/MEGAMAN「Rocket Queen feat. MCU」

実際にTEAM SHACHIが2019年10月にリリースした「Rocket Queen feat. MCU」は正攻法なホーンアレンジを用いたブラスロックだった。同曲での長岡中越高等学校吹奏楽部とのコラボは、マーチングバンド風にリアレンジ。

TEAM SHACHIx長岡中越高等学校吹奏楽部「Rocket Queen feat.MCU」（マーチングバンド ver.）

日高央（Gt/THE STARBEMS）、Bunta（Dr/TOTALFAT）との期間限定スペシャルバンドが話題になった「Rock Away」は、ロックステディからスカパンクの旨味を凝縮した直球的なナンバーだった。

アイドルグループがパンクバンドのメンバーやマーチングバンドとコラボするという目新しさはあったものの、音楽性としては既存の型を取り入れたものであり、今考えてみれば、この時期はまだ試行錯誤だったようにも思える。

TEAM SHACHI「Rock Away」

ホーンアレンジには派手さや華やかさがある反面で、スカやブラスロックなど、アレンジのフォーマットに引っ張られすぎてしまうところもある。いわゆる歌モノのロック、ポピュラーミュージックのバンドでホーンメンバーが常時いる編成が意外にも少ないのは、そうした懸念があるからなのかもしれない。決め打ちの効果は絶大だが、常設するには難しい部分でもある。トランペットもサックスも特性上、主旋律を担う楽器であり、伴奏には向いていないということもあるだろう。