TEAM SHACHI、“ブラス民”なる特異ホーンセクションで攻めるポップスの可能性｜「偶像音楽 斯斯然然」第77回

意外と知らないホーンセクション入門

TEAM SHACHIの特異性に触れる前に、ホーンセクションとは何かを説明しておきたい。そもそも、ホーンセクションとは、サックス、トランペット、トロンボーンの3種の管楽器で構成される編成を指す。この3種の組み合わせは自由であり、必ずしも3種である必要もない。トランペット、トロンボーンだけでも、トランペットだけでも構わない。よく“ブラスセクション”と呼ばれることもあるのだが、“ブラス（Brass）”は金管楽器を指す言葉なので、木管楽器であるサックスが入る場合はホーンセクションと呼ぶのが正しい。ポピュラーミュージックにおいてはサックスを入れた編成であっても、ブラスセクションで通じるわけだが、このことを知った上でブラスセクションと呼ぶかどうかで大分意味が変わってくる。TEAM SHACHIの場合は“ブラス民”と名乗っているくらいなので、その呼称に問題ないようだが、有名校の吹奏楽部出身者や音楽大学卒のプレイヤー相手だと、戦争になりかねない。

ちなみに、一般的に金属（真鍮）で作られるサックスが木管楽器に分類される理由はその発音方法にある。奏者の唇の振動（リップリード）によって発音する管楽器が金管楽器、奏者の唇の振動以外の方法（下記のリード）で発音する管楽器が木管楽器に分類される。

［木管楽器の発音方法］
シングルリード、単簧（たんこう）：1枚の薄片が振動する形式。サックス、クラリネット
ダブルリード、複簧（ふくこう）：2枚の薄片が振動する形式。オーボエ、ファゴットなど
エアリード、無簧（むこう）：薄片を用いず、空気の流れを調整しながら管体に当てて振動させる。フルート、尺八など

ホーンセクションの編成は特に決まっていないが、その本数によって“2管”編成や“3管”編成といった言い方もする。ただ、ここでも気をつけるべきところは、ポピュラーミュージックの2管といえば2人、3管といえば3人のホーンセクションを指すのだが、オーケストラや吹奏楽の2管、3管というと、フルートやクラリネットの木管奏者が各2人、3人ずついるという編成を指すことが多いのである。

ホーンセクションの楽器を音域の高い順から並べると以下の通りになる。

トランペット（Tp）
アルトサックス（A.Sax）
テナーサックス（T.Sax）
トロンボーン（Tb）
バリトンサックス（B.Sax）

※一般的なトロンボーンはテナートロンボーンであり、音域はテナーサックスとほぼ同じである