第7回：バニラビーンズ〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜連載7回目は、バニラビーンズのラストシングル、さらにインタビューあるあるトーク＆近年のアイドル解散事情へ

【バニラビーンズ「going my way」】

小出：
これはバニラビーンズ。

南波：
正解です！

小出：
ふたりしか歌ってないから。

南波：
そこで判断（笑）。

小出：
これが最後のシングルの曲ですか？

南波：
そうです。エイベックスから古巣のT-Paletteに戻ってリリースになります。

小出：
作編曲は？

南波：
これまでのバニラビーンズの曲の多くを手がけてきた大隅知宇さん。

小出：
すごいわかりやすいメロディなのに、アレンジが大盛りですごいですね。ギターの音がリバースするイントロから、Aメロに入るまでの手数もすごく多いし。びっくり。

南波：
最後ということもあってか気合い入ってますよね。バニビらしい雰囲気がかなり出た曲ではあるんだけど。

小出：
明るく終わるっていうのがいいですね。（しばらく聴きながら）曲はすごい2009年って感じがする（笑）。デビューは2007年とかですよね。Perfumeブレイクの年だもんなぁ。その頃からのユニットが解散かぁ……。しかし、本当に多いね。

南波：
以前も話しましたけど、バニビみたいなアイドル戦国時代以前の人から戦国時代以降の中堅どころから新しいところまで、いろんな層で起きていて。

小出：
弊社のAIS-All Idol Songs-もだしね。もう、ホーリーシットですよ。

南波：
解散だ解散だとただ嘆いていても仕方ないんですけどね。いろんな解散の話を聞いていて思うのは、たとえばバンドはメーカーとか事務所が離れたとしても、その後続けるかどうかは本人たち次第でしょう。アイドルはそれがまず不可能だったんですよね。本人たちの意志は関係なく、運営が手を引いたときに終わってしまう場合がほとんどで。

小出：
そこが決定的な違いだよね。まず始まりから違う。自分たちで結成するのがバンドとかだとしたら、アイドルは事務所側が作っているものだから。

南波：
それを考えるとまなみのりさの意志の強さは相当なもので。前事務所との契約解除があって、拠点が東京から地元の広島に戻ってもなお続ける道を選んだという。

小出：
それは意志が強くないとできないね。

南波：
だからハードルはめちゃくちゃ高いけど、やれないこともないんですよね。インディーズでは事務所を介さないグループもいくつかあって。元Stereo Tokyoのメンバーふたりが始めたReLIeFは、大人がまったく信用できないから完全にセルフプロデュースでやっていて、家族からお金を借りて曲の制作費を捻出したりしていて。

小出：
大人を信用してないんだ。

南波：
前のグループはよくわからないままフェードアウトしていって、自分たちが解散を実感したのは運営がLINEグループから抜けたときっていう（笑）。

小出：
うわー、そこまでひどいのは聞いたことないよ（笑）！　いや難しいわ。どこまでをアイドルって言うんだろうね。自分たちで全部用意して、自分たちで仕事を回してっていうと、もうそれは僕らの感覚で言ったらバンドというか、捉え方としてはアーティストかなと思う。自分たちで表現していきたいってことだもんね。アートフォームとしてアイドルを選んでるというか。事務所が人を集めて作ったっていうのと、有志で集まって経営からプロデュースもやってます、というのとでは、どう見ても性質が違うもん。

南波：
今後、それがもっと混在していくのかなと。

小出：
後者でオーバーグラウンドにまで行った人はまだいないですよね。まだメインストリームになるのもなかなか難しいだろうし。眉村ちあきさんみたいな、そこの境界線が曖昧な人が結果を出すっていうのはあり得ると思う。里咲（りさ）社長がシーンの土台を作ってくれたっていうのもあるのかもしれない。でも、眉村さんはソロだからまだイメージが湧くけど、グループのやり口というのはまだ出来上がっていないから、そういう形態の人は模索しながらやっている段階なんだろうね。

南波：
だね。次週も“解散のその先”話でいきたいと思ってます。

バニラビーンズ「going my way」楽曲解説
本日10月6日がラストライブ。行けない人はニコ生で！　7日は超豪華なラインナップが揃う感謝祭も。