櫻井優衣(MyDearDarlin’)&石橋哲也[対談]「細胞からアイドルだから、アイドルをやっていることに無理がない」 櫻井優衣(MyDearDarlin')&石橋哲也(MC・構成作家)対談
鶴岡 舞
Pop'n'Roll Editor(編集者)
-
ポスト
-
シェア
-
ブックマーク
MyDearDarlin’が、1月26日(日)に<MyDearDarlin’お披露目LIVE>を開催した。FES☆TIVEの妹分グループとして結成されたマイディアは、“令和新時代の王道アイドル”をコンセプトとしたアイドルグループだ。今回、Pop’n’Roll編集部では、お披露目直前の貴重なタイミングに、櫻井が自身の恩師と語るMC・構成作家の石橋哲也との対談をセッティング。石橋はエイベックス・アイドルアカデミーで講師を務め、わーすたやSUPER☆GiRLSのトークレッスンや番組構成、まねきケチャ、FES☆TIVE、ナナランド、26時のマスカレイドなど、数多くのアイドルのMCや構成作家を担当してきた。石橋がMCを務めていた番組で出会ったという2人の初対面エピソード、お互いをどう思っているのか、さらにはMyDearDarlin'の未来について語ってもらった。付き合いの長い2人の対談は、アイドルグループの課題について深く語り合う場となった。
超堂々とやったら誰も笑ってくれなくて(櫻井)
ーーおふたりの出会いはいつ頃なんですか?
石橋:
ワロップ放送局というネットの放送局で、毎週火曜日19時から21時まで30分のアイドル番組を4本連続でやるっていう地獄のような番組がありまして(笑)。そのレギュラーのうちの1組が、(櫻井)優衣ちゃんが最初に所属していたピンク・ベイビーズっていうグループだったんです。
櫻井:
めっちゃ昔ですよね。当時は高校1年生で、今20歳なので……。
石橋:
4~5年前だ。
ーーお互いの印象は覚えていますか?
櫻井:
最初に番組に行った時、それまでお笑い芸人さんとあんまりお仕事をやらせていただく機会がなかったので、それ自体が新鮮で、すごく緊張して会った感じでした。でも何でもやってくれそうだったから。何か振られたら何でもいいからそれに応える。そしたら面白くしてくれそうな人だなって(笑)。
石橋:
厳密に言うと、僕はもうその時お笑い芸人じゃなかったんですよ。
櫻井:
そうだったんですね!
石橋:
僕、2015年いっぱいでコンビを解散して、セカンドキャリアとしてMCと構成作家を始めていて。配信の番組は予算がないので、“MCと構成作家の両方できる人がいたらな……”みたいなことを番組ディレクターからポロッと言われた時に、“あ、それやろう”と。
ーー逆に石橋さんから見た櫻井さんの印象は?
石橋:
勇気のある子だなと。初めて番組に出た時、モノボケにチャレンジするっていう企画があって、デビューしたての子って“はい! はい!”ってなかなか手を挙げないじゃないですか。でも(櫻井は)めちゃくちゃ手を挙げて、めちゃくちゃ(ネタが)出てくるんですよ。
でも、それが毎回スベるんです(笑)。
櫻井:
え!? そうだっけ(笑)。
石橋:
しかも、モノボケの概念がわかってないんですよね。
櫻井:
わかってますよ〜(笑)。
石橋:
例えばですけど、ペットボトルを使うんだったら頭に乗せてみてサイレンに見立ててみるとか、そういう“見立ててみる”ことがモノボケじゃないですか。でも、この子は(モノに向かって)“やい! お前!このペットボトルめ!”って寸劇みたいなことをやり出して。
櫻井:
それ、覚えてます(笑)。でも、それが私の中のモノボケだったんですよ(笑)。超堂々とやったら誰も笑ってくれなくて。
石橋:
しかも、プロフィールに“特技:モノボケ”って書いてあったんですよ。だから、プロフィールを見て、(コーナーが)始まる前から“モノボケのコーナーはこの子に頼ろう”って思ったんです。そしたら全然違うことやってくるから、こういう切り口があるんだと。そこで初めて“天才だな”と思いました。
櫻井:
そこなんですか(笑)。
石橋:
そう、ルールとか既成概念にとらわれないというか。すごいなと思いました。もう一発で覚
えましたね。
櫻井:
ありがとうございます(笑)。
ーーその時に櫻井さんの魅力に気づいた?
石橋:
そうですね。その番組はスタジオ観覧者限定で、2曲くらいのミニライブをやるんですよ。そこで、初めてパフォーマンスを観て、また“天才だな”と思ったんですよね。それまではただの天然な子だと思ってたので、“どうせふにゃふにゃ踊るんだろうな”と思ってたら、もう別人みたいにキレッキレッに踊るし、お客さんを惹きつけているし。
ーーステージに立っても天才だったと?
石橋:
そうですね。その番組を始める以前は、48グループのメンバーのMCをメインでやっていたので、それ以外のいわゆるライブアイドルにはあまり興味がありませんでした。そんな中で“天才だな”と。その後も、まねきケチャの松下玲緒菜ちゃん、Ange☆Reveの権田夏海ちゃん、全力少女Rの百川晴香ちゃんなども同様に“天才だな”と思いましたが、彼女たちに共通しているのはアイドルでいることが不自然でないというか……。ステージに立ってる時に“アイドル”をやってないんですよね。ギアを“アイドル”に入れてステージに立つわけじゃない。ニュートラルな状態でアイドルとしてステージに存在している。だからもう、彼女の中で“あざとい”という言葉すらないですよ。細胞からアイドルだから、アイドルをやっていることに無理がないんですよね。
ーー違和感なく、素のままの櫻井さんなんですね。
石橋:
そうですね。(櫻井は)“ナチュラル・ボーン・アイドル”というか、100%アイドル。だから、ちょっとやそっとの努力じゃ、たぶん他の子ではこの子には追いつけない。そういう意味で、あの番組にいたグループの中では際立ってましたね。
櫻井:
ありがとうございます(笑)。
次ページ