predia、Juice=Juice、CY8ER、90sリバイバルとJ-POPの普遍性|「偶像音楽 斯斯然然」第6回 日本人には耳馴染み良い普遍性をウマく時流に落とし込んだグループの楽曲に迫る
冬将軍
音楽ものかき
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これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。
裏原、フレンチカジュアル、ヒップホップにグランジファッション……、中年世代には懐かしく、若者にとっては斬新な90年代リバイバル。このブームはファッションの話だけではない。
そんな風潮を表すかのごとく、令和を迎えた5月1日にエイベックスからデビューしたのが、ポスギャル(=ポストミレニアルギャル、次世代ギャル)シンガー、安斉かれんだ。
安斉かれん「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」
近未来的なビジュアルとデジタル主体のアゲアゲサウンド、そこに乗るちょっぴり切ないメロディは、安室奈美恵、浜崎あゆみ、hitomi、Every Little Thing……といった90年代後半に登場したエイベックスの歌姫たちを彷彿とさせる。あの時代、アイドルではないし、シンガーソングライターというわけでもない。だけど、ファッションリーダーでもあり、若者のカリスマである、という新しいタイプの女性シンガーがヒットチャートを席巻していた。あれから約20年——。今や女性ヴォーカルのポップスといえば、アイドルグループか、韓国グループが人気だ。そんな、今の時代に安斉かれんのようなシンガーが出てきたことは興味深い。
サウンドには流行があるし、歌詞は時代背景を写す。しかしながら、歌謡曲からニューミュージック、そしてJ-POPへと変わりゆく中、脈々と流れてきた日本土着のメロディ自体は、その普遍性を以っていつの時代も大きく変化することはなかったように思う。洋楽に追いつけ追い越せだった時代も、これだけジャンルが多様化する現代も、その本質は変わらないのである。
今回は、そうした日本人には耳馴染み良い普遍性をウマく時流に落とし込んだグループ、楽曲をいくつか取り上げる。
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