predia、Juice=Juice、CY8ER、90sリバイバルとJ-POPの普遍性｜「偶像音楽 斯斯然然」第6回日本人には耳馴染み良い普遍性をウマく時流に落とし込んだグループの楽曲に迫る

CY8ER これぞジャパニーズEDM

海外のメインカルチャーの1つでもあるEDMと日本のサブカルチャー要素をクロスオーバーさせながら、独自のアイドルポップスを作り上げているのが、CY8ERだ。

CY8ER「コクハクワープ [2018.12.26 EX THEATER ROPPONGI]」

サウンドプロデューサーのYunomiによるフューチャーベースを土台とした緻密で解像度の高いサウンドプロダクトは絶品。そこに乗る、苺りなはむの不思議少女を醸す言葉遊びも絶妙。近未来感を漂わせながら、どこか郷愁感のある音使いによってオリエンタルな非現実的世界観を作り上げていく楽曲は、これぞジャパニーズEDMというべきもの。そして、エフェクト混じりの無機的なウィスパーヴォーカルが土っぽさを打ち消しながら、その個性的な情景を一層際立たせる。

そんなCY8ERだが、4月にリリースした新曲「サマー」ではこれまでとはまったく違う方向から攻めてきた。タイトル通りの夏を感じさせるラガ、レゲエ調の楽曲。ラップヴォーカルは素に近く、各メンバーの声質を活かした仕上がりである。もともと、それぞれ実績のあるメンバーが集結したグループであるため、そのキャラクター性をより感じることのできるナンバーだ。

CY8ER「サマー」

メンバーのましろによるソロプロジェクト、SHACHIも注目したいところだ。2019年6月の今現在、YouTubeで155万再生を誇る「Turn Up The Music」は海外からのコメントで埋め尽くされており、粋なシンセポップに世界が注目している。

SHACHI「Turn Up The Music」

興味深いのは、あくまでメインは日本詞であり特に海外に寄せているわけではないということ。ただ、先述のような海外トレンドはおさえられており、楽曲構成自体も“ヴァース”と“フック”というヒップホップの手法が用いられている。“郷愁”、“粋”、そして“侘び寂び”といったものは日本独自の情緒でもあるが、そうした土着性がこの透明感のある歌声によって切なく垣間見える、そんなところなのかもしれない。