predia、Juice=Juice、CY8ER、90sリバイバルとJ-POPの普遍性｜「偶像音楽 斯斯然然」第6回日本人には耳馴染み良い普遍性をウマく時流に落とし込んだグループの楽曲に迫る

predia 海外ポップカルチャーに対するJ-POPからの回答

まずは“可愛いだけじゃ物足りない。大人の遊び場へようこそ”大人アイドル、predia。確かな歌唱力とエレガントな色香を兼ね備えたグループの特性は、シーンの中でも異端的。それこそ、バブリーな90年代には大人の色気を武器にしたセクシーなグループも多くいたわけだが、それとも一線を画す存在である。

6月12日にリリースされたシングル「NAKED」は非常に興味深い曲だ。異性を意識したようなエロスではなく、アートなエロティックを前面に出したMVに目を奪われるが、ダンス＆ヴォーカルグループとしての魅力を存分に堪能できる楽曲である。

predia「NAKED」

注視すべきは、以前触れた海外におけるポップカルチャーのトレンド（記事はこちら）を抑えつつもきちんとJ-POPである、というところである。EDMテイストを散りばめたサウンドとレゲエっぽいトラップを挟みつつ、という楽曲構成ながら、普遍的なJ-POP歌謡を感じさせる歌メロはひたすらキャッチー。アツくなりすぎることなく、クールに品良くまとめたサビも異様なまでに耳に残る。派手なサウンドを駆使しながらも、どこか耳に優しく響く音像は高低音のレンジを強調するようなインパクトを狙ったものでははない。細部まで行き届いた丁寧なミックスであり、小綺麗に纏まった質感は日本らしい業。総じて、EDM＆海外ポップカルチャーブームに対するJ-POPからの回答、といった趣だ。

楽曲を手がけたのは、「Ms.Frontier」（2017年）、「ヌーベルキュイジーヌ」（2017年）をはじめ、多くのpredia楽曲を制作してきた栗原暁（Jazzin’park）とTasuku Maedaのコンビだ。これまでprediaといえば、圧倒的な存在感を誇る、湊あかねと村上瑠美奈による鉄壁のツインヴォーカルが織りなす、音の高低を大胆に抉るような豪奢な楽曲のイメージが強かった。しかしながら、前アルバム『ファビュラス』（2018年）でその振り幅を大きく広げている。リード曲「Hotel Sunset」に見られるように、メロディの抑揚よりも言葉とリズムによる緩急を重視した楽曲が増えており、それはグループとして円熟味をも感じさせるところである。

predia「Hotel Sunset」

6人編成となった新体制predia。精鋭感が増し、各メンバーの歌声と個性がより前面に出てくるようになった。と同時に、より気品に溢れ気高く見えるようにもなった。