ベンジャス! 浅倉うみ[インタビュー後編]自分らしい表現を追求するクリエイティブアイドルの矜持「どういう想いがあって、何を伝えたいか、それをすごく大事にしている」

ベンジャス! 浅倉うみ[インタビュー後編]自分らしい表現を追求するクリエイティブアイドルの矜持「どういう想いがあって、何を伝えたいか、それをすごく大事にしている」 ベンジャス! 浅倉うみインタビュー後編

冬将軍

音楽ものかき

2022.12.02
  • ポスト
  • シェア
  • ブックマーク

ベンジャス!(前・BenjaminJasmine)のオリジナルメンバー・浅倉うみロングインタビューの後編。今回は、改名や新コンセプト、新メンバー加入など、グループの大きな転機を迎えた当時を振り返りながら、イラスト制作/作詞などの個人としてのクリエイティブ活動、そしてベンジャス!の今後のビジョンについてじっくり話を訊いた。アイドルとして、表現者としての自分のアイデンティティの確立に真摯に向き合っている浅倉うみの想いを真っ直ぐに届けたい。

撮影:河邉有実莉

私が担当することはなかったようなところが歌えた経験が1番成長させてくれた

――初めてベンジャス!(当時はBenjaminJasmine)を観た時のことをよく覚えてるんですよ。歌のウマいアイドルって珍しくはないけど、そういう表面的な部分ではなく、内面の自分の感情を曝け出して歌っているグループだなって。それを特に強く感じたのが浅倉さんで。技術的な部分ではなく、“自分の感情を歌として出すことに気持ちよさを感じている人なんだ”と思って、“こういう人がアイドルなんだ”とちょっと衝撃を受けました。

浅倉:
本当ですか、嬉しいです。でも、自分でもそう思います。6人いる中での自分の歌の使い方、担当みたいなところ。

――“前に行くタイプじゃない”と先ほどおっしゃっていましたけど、外から見ると当時から自分の居場所は作れていた気はします。

浅倉:
当時はそんなこと考えてもなかったですね。ただ与えられたことを自分が楽しく好きなようにやっていた感じです。自分のポジションとかを考えるようになったのは、本当に最近のことなので。

――そもそも当時、ああいうダークなロックを歌うアイドルって、いそうでいなかったじゃないですか。そうしたグループとしてのアイデンティティはどう思っていたのですか?

浅倉:
その、“いそうでいない”感じが逆に不安だったんです。しっくりきた、楽しかった反面で、どういうふうにしていけばいいのかわからなかった。誰かが教えてくれるわけではないし、真似することもできない、何を見て成長していけばいいのかというのがわからなくて……。もともと前体制は、半分くらいのメンバーが可愛いアイドルが好きだったんです。だから、カッコいいアイドルに対してちょっとネガティヴな印象を抱いていたり。そこに影響されて、“こういうスタイルでいいのかな……”と思うことがけっこうありました。でも、ファンの方たちが「細胞」とかを聴いて、“カッコいい曲がやっぱ1番好きだな”とか、“なんだかんだここに戻ってくるんだよな”とか、そういう声を聞いて、やっぱり自分の感覚を信じてよかったんだなと思いました。

――2021年には、最終的にオリジナルメンバーが4人卒業という形になってしまいました。結果的に残った4人〜3人体制も楽しかったとのことですが、最初からそう思ったわけではないですよね?

浅倉:
ええ。すごく寂しいなと思ったし、初めての卒業だったし、これからどうしていけばいいのかまったくわからなかったので、不安はあったんですけど、3人卒業してからの4人体制になって逆にチャンスだと思ったんです。7人で歌っていたものを4人に割り振らなきゃいけないとなった時、“ここは私にしか歌えないな”と思うこともあって。それでアタマとか落ちサビを任せてもらえるようになった時に、すごく自信がついたんです。たぶんあのまま普通に活動していったら私が担当することはなかったようなところが歌えたこと、その経験が1番自分を成長させてくれたところだなと思います。

――改めて歌うことに対する想いが強くなった転機でもあったわけですね。でも確かに4人体制よかったです、生え抜きの精鋭感がありました。

浅倉:
私もそう思います。ただ、パフォーマンス力の高い3人についていくことが必死だったということもあって。ここに並んでいいのかな、とは思ってましたね。それから3人になって、3人体制のパフォーマンスもすごく好きだったんですけど、個性がものすごく強くて。全員歌声も強すぎたから、結果的には新メンバーたちの歌声が入ってきたことによって、すごくバランスの取れたグループになったなと思っています。

――オリジナルメンバー3人で、お互いライバル心はあったりします?

浅倉:
口に出したりはしないんですけど、みんな心の中で勝手に思ってるとは思います。でも、本当にいい関係性だなと思いますね。お互いを高め合える、お互いの技術が向上することにも喜びを感じられる。自分がウマくなるのも、相手がウマくなるのも嬉しい、というのは3人が思ってることだと思います。

次ページ