夜光性アミューズ、GILTY × GILTY、situasion、誰もシラナイ。……この夏のシーンを騒がしてくれそうな気鋭グループの新譜|「偶像音楽 斯斯然然」第85回

夜光性アミューズ、GILTY × GILTY、situasion、誰もシラナイ。……この夏のシーンを騒がしてくれそうな気鋭グループの新譜|「偶像音楽 斯斯然然」第85回

冬将軍

音楽ものかき

2022.06.25
  • ポスト
  • シェア
  • ブックマーク

1年の中でアイドルたちの活動がより活発になる夏本番を前に、今回は今夏アイドルシーンを大きく賑わす可能性を秘めた4つのグループをピックアップ。それぞれの新譜を軸に、その魅力をお伝えする。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

ツアーファイナル3日前になっていきなり発表された“EMPiRE解散”のニュース。結局は改名リスタートということだったわけだけど……。自分は仕事で別の現場だったので6月2日は行かれなかったが、エージェント(EMPiREファンの総称)の端くれとしてヒヤヒヤだった。

新グループExWHYZとしてEMI Recordsからデビューということで、EMPiREの楽曲などは封印されてしまうのかな……。今回の解散改名騒動にはいろいろ思うこともあったし、明確なことはまだわからないけど、ただEMIはEMPiREにゆかりの深いところもある。とりあえずExWHYZの音楽もコンセプトもまだ何もわからないけど、期待していいのではないだろうか。

さて、梅雨の湿気も鬱陶しい今日この頃だが、そろそろ暑い夏が始まろうとしている。今回はこの夏のシーンを騒がしてくれそうなグループを、胸を掴まれた新譜とともに紹介。

夜光性アミューズ 令和に煌めく電波系ギャルサー

“YouTubeやインフルエンサーがアイドル始めました”と聞くと、ちょっと構えてしまったりもするのだが、そんな偏見を一気に払拭してくれた、夜光性アミューズ。今年2022年4月で結成2周年を迎えたことを記念して全9曲のアルバムを配信リリース。

キャッチー性の応酬ともいうべき、一分の隙もない曲「夜光性イントロデュース」に完膚なきまでに叩きのめされ、当コラムでも“2022年に注目したいアイドルグループ”として取り上げたわけだが、その期待を裏切らぬ楽曲のよさとポテンシャルの高さを知らしめるアルバムである。

改めて触れておきたい「夜光性イントロデュース」の破壊力。ガヤを入れながら捲し立てるようなメロディをユーロビートに乗せて電波ソングとするのは、一時代を築いたニコニコ動画を中心に流行ったマッシュアップ系譜。それでいて現代的なエレクトロや流行のEDM要素を用いたサウンドプロダクトは洗練された趣を感じる。そこだけにとどまらず、その周りを取り囲むように、クラシカルなピアノが鳴っているという不思議な位相を持つ曲。どこを切り取ってもキャッチーであるという現在のSNS映えを狙いつつも、聴けば聴くほどに深い曲。

【LIVE MV】もしかして探し / 夜光性アミューズ

メンバーの成長もめざましい。“よるあみ”のボーカル力は、やはりハスキーとキュートが共存する魅惑のボイス、白空こあいの存在が大きいのだが「もしかして探し」聴いたら、こあいと神楽ひなこのコントラストが素晴らしいことに気づいた。こあいは倍音多めで中抜けした音域の声なので、本来はマイク乗りもよくなく、通らない声とされているのだが、ライブでも会場の後ろまでよく通る不思議なボーカル。対するひなこがウエットに伸びやかな声をしていて、サビ前の2人の掛け合い、コンビネーションにグッときた。炎谷莉奈のセリフっぽいパートにキュンとし、みぽたみたは安定感を増し、どこか安心できるふてこの声、とグループとしてのパワーは確実に増している。

【Dance Practice Video】DENPA DANCE / 夜光性アミューズ

そして、そんなこあい、twinpaleの蒼井叶、白雪姫乃、のんふぃく!の恋星はるか、iLiFEの心花りり、というHEROINESの各グループから強打者5人が集まった新グループ、GILTY × GILTY初楽曲のMVが公開された。

【MV】ScrambleBomaye! / GILTY×GILTY【ギルギル】

ノリがよく、ひたすらにキャッチーでポップ、だけどアレンジはヘヴィロック調の激しいバンドサウンドという隙のなさ。レンジを広めに取ったギターはタイトで心地よく、ドラムはツーバス含めて暴走気味だが、そこに負けないボーカルパートがよい。ラップパートの緩急やら、フックとなるパートも効果的な3分強。このメンバーなら絶対良いに決まってると思っていたが期待通りの滑り出し。早くほかの楽曲、ライブを観たい。

そして、よるあみ「夜光性イントロデュース」の作曲者、磯野涼が多く楽曲を手がけているsituasion。聴けば聴くほど、観れば観るほどよくわからなくなってくる中毒性を持ったグループである。

次ページ