アイドルかロックか \ヲタグルイ!/ 合間はノーサンキュー|「偶像音楽 斯斯然然」第2回 PassCode、BiSH、爆裂女子-BURSTGIRL-、xoxo(Kiss&Hug) Extreme、Buono!、ロック系アイドルを考える
冬将軍
音楽ものかき
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これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。
先日、PassCode<Zepp Tour 2019>初日、フロアからステージへ水が撒かれたことによりメンバー南菜生が転倒し負傷、ならびにバンドのKENT(G)が機材故障に見舞われるという事案が起きた。こうした水撒き行為は、ロックバンドのライブでも最近見かけることであり、先月末にはSILENT SIRENの山内あいな(B)が同行為を受け、注意喚起をしていた。ライブの楽しみ方は個人の自由とはいえ、演者や他客に迷惑をかけるなど絶対にやってはいけないことである。
しなやかな表現力にも定評があるPassCode
そんなPassCodeは、現在放送中のTVドラマ『賭ケグルイ season2』および5月公開『映画 賭ケグルイ』のオープニングテーマ「一か八か」を担当している。この曲は、『ドラマ season1』にて赤い公園の津野米咲が書き下ろし、巴山萌菜のプロジェクトユニットRe:versedが、作品の猟奇性とともに鮮烈な印象を与えた曲だ。勝者は地位と名誉を手に入れ、敗者は尊厳も財産もすべて奪われるというスリリングな物語をさらに加速させ、獰猛さに華を添えているのがPassCode流。笛や和旋律と雅やかさ香る妖艶な狂気、そしてヴォーカルの婀娜やかさ含めて原曲イメージはそのままに、どこをどう聴いてもPassCodeの楽曲に仕上がっている様は見事だ。
PassCode「一か八か」(『賭ケグルイ season2』より)
Re:versed「一か八か」(『賭ケグルイ season1』より)
ヘヴィサウンドにスクリーム 、エフェクトボイスの印象が強い彼女たちであるが、しなやかな表現力にも定評がある。リリースされたばかりのメジャー2ndアルバム『CLARITY』では、これまでのピコリーモやジェント、ラウドロックのみならず、J-POP的アプローチを進化させているところにも注目だ。
ドラマの中で、PassCodeとは対極的にアイドルファンの心に揺さぶりをかけてくるのが松村沙友理(乃木坂46)の怪演だ。“神対応”のカリスマアイドル・夢見弖ユメミの、裏では“気持ち悪いんだよ! あのブタどもぉぉ!!”と、ファンレターをブチまけながら暴言を吐き散らす様は、現役トップアイドルが演じるからこその説得力(?)である。
第2話オープニング映像【ユメミおまけVer】
“キモデブとブサイクが汗まみれで踊り狂ってよぉぉ!”“汗まみれの手で握手求めてくんな気持ち悪い!! 汚えし、臭えし! てめえらなんか動く生ゴミだよ!!”……罵倒されたい、罵声を浴びせられたい、という気持ちはさておき、“ライブで踊り狂っているあいつらはなんなんだ!? 振り付けだ? 合いの手だ? なんであいつらが一番汗かいてんだよっ! そんな暇あったら私の歌を聴けぇ、クソヲタがぁぁぁぁ!!”の言葉にハッとさせられる。コールをはじめとした応援スタイルはアイドルごとに千差万別、郷に入れば郷に従え。とはいえ、ときに“ここにコールは必要か?”とファンの間で細かい物議を醸すこともある。これはアイドルに限らず耳にすることでもあり。そもそも日本人は合いの手&コールが大好きなのだ。
グラビティ↗↗楽しさ♪FULLVOLTAAAGE!!!「酔っぱらぱっぱー!!」
ホストとのコールによるナゾの中毒性が話題のヴィジュアル系バンド、グラビティ↗↗楽しさ♪FULLVOLTAAAGE!!!「酔っぱらぱっぱー!!」
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