NEO JAPONISM サウンドP・Saya[インタビュー前編]クリエイターとしてのアイデンティティ「加藤颯と松隈ケンタ、この2人がいなかったら今の自分はない」 『偶像音楽 シン黒子列伝』第1回前編
冬将軍
音楽ものかき
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Pop’n’Rollにて連載中の「偶像音楽 斯斯然然」の兄弟企画として、本日よりスタートした『偶像音楽 シン黒子列伝』。音楽ライターの冬将軍が、今気になるアイドルグループのプロデューサーやクリエイター、マネージャーなど、“黒子=裏方”にインタビューを敢行。普段なかなか見ることのできない彼らの仕事や生き様にスポットライトを当てていく。記念すべき1回目に登場するのは、「偶像音楽 斯斯然然」で最も取り上げているグループ『NEO JAPONISM』のサウンドプロデューサーのSaya。全2回となったインタビューの前編では、アイドルサウンドクリエイターSayaにとっての重要人物であるNEO JAPONISMのプロデューサー加藤颯と、サウンドクリエイターチームSCRAMBLESを率いる松隈ケンタとの関係を中心に語ってもらった。
『偶像音楽 シン黒子列伝』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、アイドル制作の裏側を紐解いていく連載企画。プロデューサー、クリエイター、マネジメントスタッフ……といった、普段は表舞台に出ることの少ない“黒子=裏方”に徹する人物にスポットを当て、迫っていく。
私がNEO JAPONISMに惹かれたのはライブステージはもちろんだが、その楽曲とサウンドによるところも大きい。初めてNEOを観た時、洋楽的なプロダクトのレンジの広いサウンドと音像、耳に残るキャッチーなメロディに完全に打ちのめされた。ヘヴィミュージックというマニアライクな音楽性に軸足を置きながら、きちんとアイドルポップスとして成立している妙。ロックとアイドルのハイブリットという面ではどこかWACKグループに通ずるところがあり、オリエンタルな雰囲気と高低差の大きい緩急をつけたメロディは、ヴィジュアル系ロックバンドの香りも漂わせていた。
調べてみるとNEOのサウンドプロデューサーであるSayaは、ヴィジュアル系ロックバンド、SRASH NOTES GARDENのギタリストという出自を持ち、WACKグループのサウンドプロデューサー、松隈ケンタ率いる音楽クリエイターチームSCRAMBLESの門下生だった。“仲谷コータロー”名義でPEDROやBiS、豆柴の大群といったWACKグループの制作にも携わっているし、SRASH NOTES GARDENはライブを観たこともある。私がNEO JAPONISMに感じていたものは、間違っていなかったどころか、以前からSayaの作る音楽に触れていたという、デジャヴュでもあったのだ。
私が連載している、ロック好きのためのアイドルコラム『偶像音楽 斯斯然然』においてもNEO JAPONISMおよび、Sayaについて取り上げることが多い。個人的な趣向以前に、それだけ取り上げたくなる話題を提供しているということでもある。だからこそ、この新連載の第1回目を飾るのはSayaしかいないと思った。
完成したばかりのスタジオにて、Sayaというヴィジュアル系ギタリストがアイドル制作に携わるようになったきっかけとその半生、そしてサウンドに対するこだわりについてとことん話を訊いた。
ICE CREAM STUDO初公開
ーーこの“ICE CREAM STUDO”は完成したばかり、まだSNSにもアップしていないとのことで、なんと本記事が初公開になります。
Saya:
昨年10月から着工して、今年の1月にできたばかりです。父親がドラムをやっていて。プロではなく、趣味なんですけどね。ここは父がリハーサルスタジオとして使っていたガレージ部屋で。改造して作業用スタジオとして使ってたんですけど、ちゃんと綺麗に作り直そうと内装からやり直したんですよ。
ーー天井のLEDライトといい、インテリアやちょっとした小物を含めて、細部までかなりのこだわりが見えるカッコいいスタジオですね。
Saya:
Instagramとかにアップされてる海外のスタジオに負けない雰囲気にしたいなと思って。天井にLEDを這わせて、綿は100円ショップで買ってきたものですけど(笑)。足下の電源もゴツいヤツ、これにiPhoneを無造作に充電したりするのが絵になる。スケボーも使わないけど、カッコいいなと思って置いてあります。グミがあったり、アートな植木鉢とか、Wi-Fiパスワードのパネルとかあると、スタジオっぽいかなって(笑)。音にはまったく関係ないところだけど、こだわりたくなるんですよね。なんとなく雰囲気で音もよくなる気がするじゃないですか(笑)
——わかります、雰囲気は大事ですよね。(大爆音の重低音が流れる中)ものすごくウーハーが効いていますが、スピーカーシステムのこだわりを教えてください。
Saya:
1番こだわっているのは低音の再生能力。俺はどうしても海外の立体的なサウンドに追いつきたいので、日本ではそこまで必要とされていない帯域にも注意しています。日本では住宅事情もあって難しいけど、向こうでは普通の一般的な家庭の家にもウーハーがあったり、音楽の聴き方がまるで違う。自分は普段からその部分を意識して、音楽の捉え方を積極的に研究してるんです。このFOCALのSolo6 Be Red(メインスピーカー)とSub6 Red(ウーハー)のシステムは、今俺が必要としている音を理想どおりに再生してくれる素晴らしいシステムなんです。
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