NEO JAPONISM サウンドP・Saya［インタビュー前編］クリエイターとしてのアイデンティティ「加藤颯と松隈ケンタ、この2人がいなかったら今の自分はない」『偶像音楽 シン黒子列伝』第1回前編

加藤颯がいなかったら、俺は音楽を続けていたかどうかも怪しい

ーーSayaさんがアイドル楽曲の制作を始めたきっかけは、NEO JAPONISM＆SOLプロデューサー、加藤颯さんとの出会いだったんですよね。

Saya：
間違いなく、加藤颯。彼がいなかったら俺はアイドルの曲は作ってないし、音楽を続けていたかどうかも怪しい。20代後半にそれまで人生を捧げてきたバンド（SRASH NOTES GARDEN）が解散して、どうしようかな、音楽やめようかなと考えていた。仕事しながら趣味で好きな音楽を作ったりするのもいいかな、というモチベーションだったんです。そんな時に知り合いの関係者から“レコーディングができる人を探している、地下アイドルなんだけど”って。アイドルは詳しくなかったけど、地下アイドルっていう世界があることは知ってた。自分はエンジニアではないけど、“相手が望むクオリティ以上のものは作れると思う”と答えたんです。それで来たのが、加藤颯18歳。

ーー加藤さんもアイドルプロデュースを始めたばかりの頃だ。

Saya：
最初に聴かせてもらった、その子たちの曲がヤバかったんですよ。正直、かわいそうなくらいのクオリティだった。それで、加藤颯に“俺ならこれくらいのクオリティを出せますよ”って提案したんです。そしたら“予算は少ないんですけど、1から10までSayaさんにお任せするので、毎月やってくれませんか”って。それが本当にあり得ないくらいの金額だったんですよ！（笑）　どう考えても大赤字なんですけど、この18歳めちゃくちゃ面白いぞ、ヤバいヤツが来たぞって。音楽やめようと思ったけど、これはなんか楽しいことができそうだと思って始めたのが、うりゃおい！JAPANっていうグループ。

うりゃおい！JAPAN「Wander Wonder World」（2017年4月リリース 1stシングル）
作詞：朱音ももか、柳瀬あみ、桜みれい、月城はるな、藤澤もか、Saya
作曲＆編曲：Saya

ーー最初はアイドル楽曲の制作よりも、加藤さんに興味を持ったわけですね。

Saya：
事務所もなかったし、加藤颯という18歳の若者と少女5人。俺も予算がないから人に手伝ってもらうこともできず、ぎりぎり頼めたのが、一緒にバンドやってたHatch（現MUSIC FOR MUSIC所属クリエイター、山本隼人）くん。彼も当時、作家志望だったから、“ギターとか手伝ってよ”って。そこから地獄のような制作の日々が始まった。うりゃおい！JAPANは半年くらいで解散しちゃうんだけど、手応えはあったんですよ。売れる前のYunomiくんとたまたま知り合いで。まだ彼がSoundCloudに曲をアップしてた頃。あり得ないくらいの額だったけど、“これで一緒に曲作ろうよ”って。それでできたのが「ゆるゆらオヤシロガール」。もともとはうりゃおいの曲なんですよ。これはめっちゃいい曲できたぞって。

NEO JAPONISM「ゆるゆらオヤシロガール」
作詞：Saya
作曲：Yunomi

ーー今やNEOには欠かせない名曲ですね。

Saya：
うりゃおいは解散しちゃったけど、作家業はこうやるんだというのがわかった。いろんな人と協力したり、プレイヤーに振ったり、コーディネートしていくのが楽しいなと思った。バンドしかやってこなかったので、プロデュースというものがわかった。これをやっていきたいと思ったけど、やるからには腹括ってやらないとなって。