櫻坂、でんぱ組、#ババババンビ… Pop’n’Roll編集長と語る「ギターがカッコいいアイドルソング2021」20選［後編］｜「偶像音楽 斯斯然然」第73回

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作＆マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である（隔週土曜日更新）。

2022年正月早々からお送りするのは、年始恒例となった「ギターがカッコいいアイドルソング」。ギター弾きならお馴染みの機材誌で有名な某出版社の名物編集者だった鈴木Pop’n’Roll編集長と、音楽事務所のA&R制作ディレクターだった私、冬将軍の、ギターヲタク2人がギターサウンド＆プレイの観点から、忖度なしで選んだアイドルソングを好き勝手にを語るこの企画も今回で3年目。アイドル“楽曲派”に対するカウンターとして始まったこのコラムならではの（？）全20曲。前半の“ラウドロック編”に続いて、後半は“ロック＆ポップス編”。よろしくどうぞ。

↓↓↓「ギターがカッコいいアイドルソング2021」20選［前編］↓↓↓

XOXO EXTREME「Ride a Tiger～虎とアリス～」（鈴木セレクト）

鈴木：
キスエクは、いきなり裏話をすると、突然cali≠gariの村井（研次郎／Ba）さんから“お久しぶりです。お元気ですか？”って連絡が来て。“鈴木さん、アイドルメディアをご担当されているらしいじゃないですか？　実は僕、キスエクというアイドルグループとご縁があって楽曲提供させてもらったんです”って（笑）。

冬将軍：
おお！　大物変態ベーシスト！

鈴木：
それで村井さんが手がけたというのが、この曲で。Plastic Treeのナカヤマ（アキラ）さんがギター弾いて、NARASAKIさんがミックスやってるっていう（笑）。COALTAR OF THE DEEPERSチームなんで、そりゃ、カッコいいわけですよ。

冬将軍：
オバンギャホイホイの豪華メンツ！　キスエクって、けっこうマニアックなことやってますけど、この曲はキャッチーなプログレですね。変態だけど（笑）

鈴木：
村井さんの音楽的キャラクターが見事が出ていますね（笑）。キャッチーと変態のケミストリー。

冬将軍：
村井さんって、密かにBerryz工房のベースを弾いてたり（「一丁目ロック」）、わりとアイドル曲に関わってたりする。

鈴木：
昨年、えいたそ（成瀬瑛美）の曲（でんぱ組.inc『愛が地球救うんさ！だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』初回限定盤B収録ソロ曲「レジェンド・オブ・エイ」）も弾いてますよね。

冬将軍：
そうそう、DIR EN GREYの薫さんの曲。

INUWASI「Hello Anonymous」（鈴木セレクト）

鈴木：
INUWASIは、アルバム『DUTY』がとにかくいいんですけど、ギターという観点で言うと、この曲かな。メロコア系2ビート的ドラムも、疾走感があっていいですよね。このあたりのブレイクのパワーコードフレーズもカッコいいですよね（1:09〜）。ちゃんとギターソロも入ってますし。歌心があるフレーズなのもいい。

冬将軍：
Helloweenみたいな、王道メロスピギターソロハモ！　ちなみに自分はこのアルバムだと、リード曲の「Lapse」が好きなんです。

INUWASI「Lapse」

冬将軍：
これはEDM色が強くて、エレクトロサウンドに混じったギターサウンドがカッコいいなって。ギターが前に出てきてるわけではないんだけど、ちゃんと存在感がある。シンセがジャストか若干前ノリなんですけど、ギターが後ノリなんですよ。縦ノリを横ノリに変えていくような、これがすごく好き。

鈴木：
このアルバムは、本当によかった。正直に言って、音楽面でのINUWASIに対する見方が変わりました。すごい進化している！って。

冬将軍：
ライブも着実によくなってますね。ものすごく音デカいけど（笑）。大きいイベントだと、INUWASIの低音でその日のイベント全体の音響のコンディションがわかるくらい。“あ、今日の（新木場 USEN STUDIO）COASTはコンプ強めだな”とか（笑）。