櫻坂、でんぱ組、#ババババンビ… Pop’n’Roll編集長と語る「ギターがカッコいいアイドルソング2021」20選［後編］｜「偶像音楽 斯斯然然」第73回

櫻坂46「流れ弾」（冬将軍セレクト）

冬将軍：
そして、カッティングといえばこれ！

鈴木：
この曲は、スゴいですよね、坂道だからこそのクオリティ！（笑）

冬将軍：
こういうのをメジャーが本気でやると、どこも敵わない……。作曲は坂道ヲタの中ではよく話題になる謎の人物、デレク・ターナー氏。編曲はAKB48「恋するフォーチュンクッキー」も手掛けている武道星児さんで。オールドファンクっぽい雰囲気もあるんだけど、ギターがルートを引っ張りながら装飾音とリズムをひたすら詰め込んでいくカッティングって、Vulfpeck以降のミニマルディスコファンクですよね。コリー・ウォンっぽいスタイル。だから今どきっぽいサウンドにも聴こえる

鈴木：
ああ、確かにコリー・ウォンっぽさは、ありますね。昨年、この企画の取材中にエビ中を聴いた時に感じた圧倒的な音楽クオリティに通じるものがある。坂道とソニーの本気。アイドルポップスの可能性を十二分に引き出してる。もう、いい音楽をありがとうございます！っていう。

冬将軍：
アイドルを通じて素晴らしいポップスを聴かせていただいてありがとうございます！っていうお気持ちです。

でんぱ組.inc「衝動的S/K/S/D」（冬将軍セレクト）

冬将軍：
こちらはメジャーでも、まったく違うベクトルの本気。

鈴木：
もうとんでもなく弾きまくってるなぁ。

冬将軍：
これ、ギターが菰口雄矢さんなんですよ。で、ベースがIKUOさん、ドラムが青山英樹さんという超テクニカル集団。

鈴木：
菰口さんなんだ！　その昔、超絶系ギター教則本“地獄”シリーズの小林信一さん、それと山口和也さん、宮脇俊郎さん、野村大輔さんっていう、ギター弾きなら誰でも知ってるような教則本でお馴染みの方々が『GENTLE GUITAR V』（2011年）っていうアルバムを出して、そのライブにお邪魔したことがあったんですよ。菰口さんだけ音が違ってて！　フレーズもぶっ飛んでました（笑）。

冬将軍：
前編で“歌を邪魔しないバッキング”の話をしましたけど、この曲に関してはお構いなし（笑）。サビとかなんなんだよ、これは！（褒めてます）　でんぱのボーカルって特殊で倍音多めだし、楽器とぶつかろうがそれがガチャガチャとした電波ソングとしての売りになるという強みがある。メンバーが変わってもそこは変わらないから。これはありなんです。

鈴木：
いやぁ、これもありがとうございます。さっきの櫻坂はいぶし銀でしたけど、こっちは本気の技巧派。楽器やってる人間だったら興奮しますね。少なからず、僕は大興奮してます（笑）。