
アイドル無知なアラフォーV系女子がMIGMA SHELTERに惹かれたワケ|「偶像音楽 斯斯然然」第4回
アイドル無知なアラフォーV系女子がMIGMA SHELTERに惹かれたワケ|「偶像音楽 斯斯然然」第4回MIGMA SHELTER、THERE THERE THERES、グーグールル、AqbiRec所属グループの深遠なる音楽性の魅力を紐解く
これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。
いざ、ライブへ
“音がスゴい……”
THERE THERE THERESのステージを観たあと、開口一番にそう言った。そして“SCHAFTのEX THEATER ROPPONGIを思い出した”と付け加える。SCHAFTとは、BUCK-TICKの今井寿とminus(-)/SOFT BALLETの藤井麻輝によるユニット。EX THEATER ROPPONGIは、サウンドに対して尋常ではないこだわりを持った彼らが、2016年に行ったツアーの中で最も音がすさまじかったと話題になったライブだった。それほどまでにTHERE THERE THERESの音響は体感音量も音圧も、音像も容赦ない。生バンドを凌駕するほどだ。前身グループであるBELLRING少女ハート時代に、藤井麻輝と同じくSOFT BALLETの森岡賢によるminus(-)の楽曲提供とプロデュースを受けたことがあることを告げると、妙に納得していた。
そして、退廃的な世界観ながらも、“負”を感じさせないところに惹かれる、と。確かに、闇であっても病みはない。仄暗く妖しさ漂うグループカラーとステージングでありながら、メンバーの佇まいを含め、マイナスのオーラはまったくない。これが、THERE THERE THERESの大きな魅力なのだとあらためて気づく。
“ベースラインがカッコいい”
その後、ほかのグループも観ていた彼女の琴線に触れたのがグーグールルだった。同じくAqbiRec所属のグループだ。アイドルソングどころか、日本人にはあまり馴染みのないミディアムテンポ感と、すっぽ抜けたようなポップセンスが炸裂する楽曲は異様なほど中毒性が高い。そして「Caution!!」に見られるような印象的なベースラインがそれをさらに強調させる。
グーグールル「Caution!!」
サウンドプロデュースを手掛ける福井シンリはヴィジュアル系バンドのベーシストだったというから納得である。THERE THERE THERES「ペリカン」、BELLRING少女ハート「2SoundDown」など、氏の楽曲はゴリっとしたベースが攻め立てるリフが多く、ベース好きにはたまらない。
THERE THERE THERES「ペリカン」
そして、彼女が何よりもハマったのがMIGMA SHELTERだった。この時は、まだ2人組編成。畳み掛けるノンストップトランスの応酬に最初は戸惑いながらも、そのビートに身を委ねていた。イスラエルのAce Venturaを少しイギリス寄りにしたJuno Reactorというべきだろうか。綿密なサウンドコラージュを重ね、猛り狂うサイケデリックトランスはロック好きにも親和性が高い。そして、女性ヴォーカルソングとしてのメロディラインが美麗だ。
MIGMA SHELTER「Joint」
この日、十数組のグループのライブを観たが、オシノさんが気に入ったのがTHERE THERE THERES、グーグールル、MIGMA SHELTERという、見事にAqbiRecの3組だったことが興味深い。事前にこの3組の関連性は話していなかった。ただ、ライブを観て、そのステージと音楽とサウンドが気に入ったということである。
よく、ヴィジュアル系バンドの女性ファンは知識がないからと言って、音楽的視点を語りたがらない人が多いのだが、ギターの音色やベースライン、サウンドメイクといった“感覚に好きな音”を持っているはず。専門的な知識よりもそういう感性の方が信用できる場合だってある。それはバンドのみならず、アイドルでも同じことなのだと。
“アイドルを好きになってよかった”
『ギュウ農フェス』でのMIGMA SHELTERの怪物音響レイヴを観た彼女はそう言った。それは、私が昨年の同イベントでMIGMA SHELTERを観た時の感想とまったく同じで、なんだか嬉しくなった。
MIGMA SHELTER「Parade’s End EP」
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