福島雪菜[インタビュー]自らの殻を破るコラボ公演への情熱「地に足を着けながら、思い切り楽しんで演じます」

福島雪菜[インタビュー]自らの殻を破るコラボ公演への情熱「地に足を着けながら、思い切り楽しんで演じます」 福島雪菜(劇団4ドル50セント)舞台<学芸会レーベル/アセリ教育>出演インタビュー

鈴木 健也

Pop'n'Roll Editor in Chief(編集長)

2020.01.29
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劇団4ドル50セントの福島雪菜が、1月30日(木)〜2月9日(日)にDDD青山クロスシアターにて上演される劇団4ドル50セント×柿喰う客コラボ公演<学芸会レーベル/アセリ教育>に出演する。今年、劇団4ドル50セントは、他団体や他劇団とのコラボに取り組んでいくことが決定。その第1弾となる本作は、柿喰う客の代表で、<黒子のバスケ>シリーズや<文豪ストレイドッグス>シリーズなどの2.5次元からストレートプレイまで数多くの作品を手掛ける中屋敷法仁が作・演出を担当し、舞台で活躍する若手実力派俳優を客演に招き、総勢 18 名の出演者で2 演目を上演する。福島にとっても、劇団4ドル50セントにとっても大きな挑戦となる<学芸会レーベル/アセリ教育>の開幕を前に、福島に同作出演への想いや役者としての現在、そしてこれからについてじっくり語ってもらった。

福島雪菜 インタビュー画像

家でも電車の中でもセリフをブツブツ言っています

――現在(取材日は1月21日)、本番まで10日ほどですが、リハーサルの状況はいかがですか?

福島:
<アセリ教育>の方は、どんどん通しのリハーサルをして、削れるところを削っていくっていう引き算をしている状況で、<学芸会レーベル>は今日が2回目の通しといったところなので、これから足し算をしていくところですね。演出の中屋敷(法仁)さん的には、<アセリ教育>の方はもっともっとスピード感を速くしたいらしくて、両作品ともこれからさらに詰めていく状況です。

――<アセリ教育>の削る作業というのは、どういうことをするのですか?

福島:
簡単に言うと、セリフをカットしたりすることなんですが、中屋敷さんが手がけている劇団『柿喰う客』さんの作品って、早口のセリフが多いんですよ。最初の稽古からスピード感がすごくて、私たち4ドル50セントはそういうスピード感で演技をやったことがなかったので、初日はそれについて行くのに必死でした。今はどんどん通しをやって、スピード感に慣れているところなんですが、その中でもこのシーンは1分以内に終わらせたいとか言われたりして。“でも、(台本では)けっこうページ数ありますよね?”みたいな(笑)。だから、セリフが瞬発的に言えるようになる訓練みたいなことをしていますね。

――福島さんは、稽古を何回も重ねて演技を身体で覚えていくタイプ?

福島:
そうですね。昨日も『柿喰う客』の加藤ひろたかさんに“どうしてひろさん、そんなに早口で滑舌よくしゃべれるんですか?”って聞いたら、“俺の時代は早口の演劇が流行っていて、もともとそういうお芝居をしてたし、『柿喰う客』に入ってからもっとスピード感を求められるようになったから、それで身についたんだよ。ただ、いいことばっかじゃないよ”っておっしゃっていて。でも、私とか4ドル50セントのメンバーからしたら、それがすごい羨ましくて、カッコいいなって思っています。

――滑舌を鍛えるために、今回取り組んだことはありますか?

福島:
セリフを何回も言うようにしていました。家でもブツブツ言ったり、電車の中とかでもマフラーとかマスクしてるのをいいことにブツブツブツブツみたいな(笑)。今回は2作品あってセリフを覚えるのも大変だったので、セリフも覚えつつ早口の練習をいろいろなところでやっていましたね。

――今回、福島さんが演じるキャラクターについて教えてもらえますか?

福島:
<学芸会レーベル>の方は、「みゆきせんせい」っていう伝説の女です。ある幼稚園に伝説の女が戻ってきて荒らしまくるっていうお話なんですけど、そのとおりで本当に暴れまくるという(笑)。だからといって、わちゃわちゃしてる感じじゃなく、“すん”って澄ましてるのにやることが突拍子もない感じなんです。私自身、そういう役をやったことがないし、先生役も初めてで。“これでいいのかな?”って思いながら演じていると、中屋敷さんがすごい笑ってくださったり、“そういうのが好きなんです”って言ってくださるので、“これでいいんだ!”って思いながら演じています。

――中屋敷さんとコミュニケーションを取りながら役作りをしているんですね。

福島:
中屋敷さんはコミュニケーションをたくさん取ってくださるので、初めての役柄っていうのもあるんですけど、いろいろ相談して作り上げていっています。

――そういう変わったキャラクターって、頭で考えながら演じるのは難しいのでは?

福島:
そう、難しいんですよ! しかも、登場キャラクターの中で1人だけ変わっているんだったらやりやすいのかもしれないんですけど、<学芸会レーベル>は全員変わっていて(笑)。全員が全員、主人公面しちゃうから、通し稽古の動画を観ていると、誰が主人公なんだっけ?みたいになります。中屋敷さんも同じことを言っていて、そこを楽しんでいるようだったので、演じる私たちもそこを楽しまなきゃいけないんだなって思っていて。「みゆきせんせい」は“すん”ってしている役なので、地に足をちゃんと着けなくちゃいけないんですけど、心の中では思いっ切り楽しんで演じようと思っています。

――一方、<アセリ教育>は、役名がすごいですね。

福島:
「白眉毛ヨシコ」ってすごい名前ですよね、本当に(笑)。<アセリ教育>は、絶対的主人公が1人いて、王道バトル漫画みたいな感じなんです。主人公の男の子にいろんな人がどんどんどんどん学力勝負を挑んでいくんですけど、白眉毛ヨシコはその中の1人。女性なので色仕掛けとか、でもちょっとしょうもない技も使ったりするんです。本当に気負わずに観てほしい作品でもありますし、中屋敷さんも“すごい偏差値が高い人とすごい偏差値が低い人に響く作品にしたい”って言っていて。極端だなって思ったんですけど、そういうところをちゃんと伝えられるようにしたいと思っています。

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