モー娘。、エビ中、EMPiRE、神宿に我儘ラキア「今いちばんロックしてるのはEDMとヒップホップ」|「偶像音楽 斯斯然然」第19回
冬将軍
音楽ものかき
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これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。
“EDMとヒップホップが流行っているよね”という単純なことではなく、“今いちばん最先端で尖ってる音楽がEDMとヒップホップだから流行っているのだ”ということを認識しているかどうかで、現在の世界における音楽シーンの捉え方は変わってくると思う。少し見方を変えれば、“今いちばんロックしてる音楽はEDMとヒップホップ”ともなるわけで。だけどそれは、なんとなくの概念にとらわれているロックファンにはなかなかに理解しがたいことでもあり、認めたくないことでもある。
そんなロックファンでも口にしづらいことをきっぱり言い切ったアーティストが、イギリスのBring Me The Horizonというバンドで。メインストリームから程遠いデスコア出自のコテコテのメタルバンドがそう言ったのだから、当然メタルファンからの反感を買った。しかし、彼らは“そういうトレンド”を自らの音楽にきちんと落とし込んだ。現代のポップアイコン、Grimesとのコラボが象徴するように今年リリースされた最新アルバム『amo』では“今いちばんイカしてる音楽はEDMなんだぜ”ということを示したのである。そのBMTHが先日、BABYMETALと共演を果たしたのだから興味深い。BABYMETALだって、メタルを基調としながらもさまざまな音楽が入り乱れているわけだ。
BABYMETALの人気曲は意外とメタルではないことが多い。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」(2011年)
R&Bに加えて、EDMとヒップホップという2大トレンドを積極的に取り入れながら、ビルボードをはじめとした世界のメインストリームに躍り出たのが言わずもがなK-POPである。BTS(防弾少年団)はその辺のロックバンドよりもロックだし、パンク。BLACKPINKがバンドを引き連れたライヴでラウドな音をかき鳴らしている姿は完全にヘヴィロックである。その姿を見れば、ロックという概念が変わってきていることを身に染みて感じざるを得ないし、LOONA(今月の少女)の最先端ポップネスはただ単にUSポップスの真似事だけではたどり着けない領域。それと比べて日本は、などいうつもりはないし、そもそもK-POPのように海外市場を視野に入れて活動しているアーティストは少ないために、同レベルで比べるのも野暮な話。そんな中でもアイドルシーンは前衛的、実験的な音楽も入り乱れているぶん、海外におけるトレンドにも敏感だったりする。
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