いぎなり東北産[ライブレポート]“永遠”が続いていくことを伝え切った仙台ワンマンライブ

いぎなり東北産[ライブレポート]“永遠”が続いていくことを伝え切った仙台ワンマンライブ

2024.10.03
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いぎなり東北産が、9月29日(日)に仙台・電力ホールで<仙台ワンマンライブ 〜年末への前哨戦〜 追加公演>を開催した。

同公演は、7月に東京で行なわれたホール公演<東京ワンマンライブ 〜年末への前哨戦〜>の追加公演という位置づけ。しかし、追加公演でありながら、東京公演でのセットや演出に加え、新衣装をお披露目し、さらに清竜人から初めて楽曲提供された新曲「チョコスプレー♡」も初披露された。そして年末にパシフィコ横浜 国立大ホールで行なう<いぎなり東北産 リベンジライブ>がチケット完売間近であること、さらに条件をクリアできれば年明けに沖縄公演が開催されることがメンバーへのサプライズという形で発表されるなど、追加公演とは思えないほどの新鮮さに満ちた内容となった。

本記事では、オフィシャルレポートをお届けする。

いぎなり東北産<仙台ワンマンライブ 〜年末への前哨戦〜 追加公演>仙台・電力ホール(2024年9月29日)

取材・写真・文:Yosuke TSUJI

<東京ワンマンライブ>に続き、今回の追加公演もチケットはソールドアウト。客席は開演の時を待つファンで埋め尽くされていた。出囃子に合わせて色とりどりのペンライトが振られ、観客からの熱いコールが響く中、オンタイムで緞帳が上がると、東京公演と同じくフルーツやアイスをモチーフとした櫓(やぐら)が組まれたステージに、いぎなり東北産が姿を見せた。

序盤は「東京アレルギー」「おのぼりガール」「テキーナ」といったアップテンポな楽曲が並び、会場は一気に熱気に包まれる。特にこの日の「テキーナ」での吉瀬真珠の台詞“今年の夏だけじゃなくて、これからもずっと一緒にいてほしいの。あなたのことが1番、大好き”は会場を大いに盛り上げ、橘花怜はその言葉を前にして、笑顔のまま膝から崩れ落ちそうになるほどの興奮を見せていた(まあ、お馴染みの光景とも言える)。

早速、最初のサプライズがライブ前半に用意される。「ハイテンションサマー」の終了後、メンバーは一旦ステージから姿を消す。心拍数を上げに来る「いぎなり魔曲」のけたたましさと彼女たちの煽りの声、そして光りで煽ってくる照明演出に釣られるかのように、観客のコールは少しずつ激しさを増していく。そして、2分30秒後。櫓に眩いばかりの照明が当てられた瞬間、新衣装をまとったメンバーがステージに登場。想定外の光景に、オーディエンスからは地鳴りのような驚きの声が沸き起こった。

今回のお披露目となった新衣装は、メンバーカラーのチェック柄のトップスとスカートが基調で、袖には白いポンポン、お尻にはしっぽが付いたデザイン。そのテーマは“うさぎ”“お月見”とのこと。普段から“お出かけの時はうさぎの耳を隠しなさい”と言われているという“うさぎ天使魔法少女”の律月ひかるは“「東北産のうさぎ代表」として今回の衣装は光栄だし、みんながうさぎになっているのが面白い”と語り、それに対して葉月結菜が“自分は本物だけどうちらは変、みたいな反応するのやめてよ(笑)”とツッコミを入れていた。

自己紹介では、メンバーの個性が存分に発揮された。律月ひかるは“「うさぎの耳が自我を持ったので」自立するようになった”と、ヘッドドレスのうさぎの耳を立たせる小ネタを披露し、北美梨寧は“普段は猫耳だけど今日はうさ耳でビューティを振りまく”と宣言。葉月結菜は“うさ耳とかするキャラじゃない”と戸惑いながらも奮闘し、安杜羽加は“普段はギャルだからギャルピースは下がっているけど、今日はアゲで”とギャルピースをうさぎの耳に見立てたサイン(見方によっては普通のピースサイン)を披露。吉瀬真珠は“うさぎちせしんじゅでーす!”とダジャレで会場を沸かせ、橘花怜は“今日はうさぎ界の絶対アイドルを目指す”との決意を述べる。桜ひなのは“(自身のメンバーカラーである)オレンジのペンライトを見ると、ニンジンかなと思って寄っていきたくなる”と可愛さを見せて、藤谷美海は“前歯を出していたら知覚過敏が悪化しそう”と冗談を交えて笑いを誘った。そして最年少の伊達花彩は、“今日は東北産の夏の集大成。みなさん楽しんでいきましょう!”と、うさぎ大喜利みたいになっていた自己紹介をライブの流れに引き戻す。多様性とも言うべきか、メンバーそれぞれの違いを改めて感じさせるような時間だった。

ライブ中盤は、客席に降りて、至近距離から皆産(いぎなり東北産のファンの総称)にとびっきりの可愛さとサイン入りカラーボールを渡していった撮影可能曲「服を着て、恋したい」や、いぎなり東北産の代表曲の1つと言っても過言ではない「わざとあざとエキスパート」が披露される。南国・沖縄の風を感じさせる「TOHOKUちゃんぷるー」では、最後に沖縄の方角を指差すメンバー。もちろんこのタイミングでは、指差した先にある南の島に来年の年明け早々に向かうことになるなんて、メンバーも観客も誰も想像していなかっただろう。

そして、風鈴の音を合図に<東京ワンマンライブ >のステージを印象的に照らした星球の帳が仙台の地にも降りてくる。満天の星空、夏の夜空のような景色の中で、彼女たちは「おぼろ花火」「旅の途中」をドラマティックに歌い踊る。9周年イベントから始まった2024年のいぎなり東北産の夏。その1つひとつの出来事を思い出させるような、ドラマティックなシーンが、夏の終わりの少しの切なさを含みつつ、ステージでくり広げられていた。

一方、2024年の夏が終われば、次はいよいよ年末に向けたリベンジの舞台が近づいてくる。12月29日(日)に行なわれるパシフィコ横浜 国立大ホールでの<いぎなり東北産 リベンジライブ>。この公演をソールドアウトさせ、これまで誰も見たことがない圧倒的なライブを披露するという彼女たちの決意が、「Burnin’ Heart」「いただきランチャー」といった楽曲が並ぶメドレーから始まり、「天下一品 〜みちのく革命〜」といった後半の楽曲にも力強く表れていた。そして最後には神輿もステージに登場し、会場全体をお祭りムードで包む「大勝利宣言」(1部では「伊達サンバ」)。観客の熱いコールや声援が電力ホールを震わせていた。

客席をバックに記念写真を撮影したのち、メンバーは感想を述べていく。ところが最年長・律月ひかるは、不意にメンバーに向けた想いを口にする。

“るんちゃんは1つ気になることがあって、メンバーのみんながこの歳になっていろんな現実を知ったからなのか、大人にそういうふうにいろんなことを言われたからなのかはわかんないけど、みんなが現実的っていうか「永遠じゃないから……」とか、最近言うようになったじゃないですか。でも、るんちゃんは皆産にもメンバーみんなにも「絶対、永遠だよ」って。永遠を感じさせる存在でいたいから。だから、ベビちゃん(メンバー)たちは難しいこと考えずに、お姉ちゃんが何とかするから。だからだから、みんなにもずっと笑顔で楽しく、明るく元気に。パシフィコでも永遠を感じましょう”

この言葉に、涙をこらえることができなかったのは、メンバーの中で1番“永遠なんてない”と、自分に言い聞かせ続けてきたであろう、リーダーの橘花怜。彼女は“ずっと「永遠なんてないんじゃないか」って思っていて、いつか終わることが悲しいというより怖かった。でも、るんちゃんが「絶対に永遠だよ」と言ってくれて……”と、感情があふれ出した理由を語り、泣き崩れる。そしてステージ上ではメンバー全員が橘のもとへと駆け寄り、彼女を慰めるという光景が展開された(なお、最年少の伊達花彩が“永遠だよ……でも数字は伴うけどね”と、現実的な一言を添えて会場を和ませる一幕もあった)。

そんな感動的な雰囲気のまま、最後のMCコーナーが締めくくられる……かと思いきや、ここで突然、さっきまで神輿を担いでいたひょっとこがステージに現れ、号泣していたリーダーの橘に手紙を渡す。会場全体が“何が起こるのか?”と期待を抱く中、橘は涙をぬぐいながら手紙を開き、文面を読み上げ始めた。

“お疲れ様です”という軽い挨拶から始まった手紙には、今日の追加公演もチケットがソールドアウトし、年末のリベンジライブに向けて順調に進んでいるという現状報告が記されていた。そして、“ここで!パシフィコチケットの売れ行きの状況をお知らせしたいと思います”という一文に差し掛かると、会場全体の期待感が一気に高まり、ステージ上の橘に観客の視線が集中する。先程の“永遠だよ……でも数字は伴うけどね”という発言がさっそく脳内でリフレインし始めているかのようだ。

橘は手紙を読み進めようとして、再び手紙に視線を落とす。するとまた、その瞳には涙がにじみ始める。その様子を見たメンバーたちは“泣いてる!”“(券売数は)ゼロ!?”“どっちなの?”と、冗談交じりに軽いパニック状態に陥る。会場の期待と不安が入り混じる中、橘は“なんと、なんと、なんと、すでにもう……チケットが完売間近でーす!!”と告げる。瞬間、どっと沸く会場。しかし、この発表に対し、“ちょっと惜しい”“(まだ完売していないなら手紙の文面に)「すでに」は使わないでほしい”とメンバーたちからは正論が飛び出し、会場全体が一瞬笑いに包まれた。

そしてここからが、本当のサプライズだった。橘は手紙を続けて読み上げ、“すでに完売間近のパシフィコ横浜公演に、新たに注釈付きチケットを販売します!”と発表。さらに、このチケットが完売すれば、年明けに沖縄でのライブを開催すると告げた。その瞬間、ずっと“沖縄に行きたい”と言っていたメンバーたちは飛び跳ねたり「TOHOKUちゃんぷるー」を舞い踊って大喜び。一方、橘も驚きながらも手紙を読み続け、“(沖縄公演の)日程は1月5日(日)! 会場はすでに押さえています”と発表。しかし、この日程が告げられた途端、ステージも客席もフリーズする。そしてメンバーたちからは“えっ、海に入れないじゃん!”“決めるのが早すぎる!”と、これまた次々に正論が飛び出し、再び笑いの渦に包まれながらも、驚きの連続と沖縄公演への期待で会場の興奮は最高潮へと達した。

ここで、今度は新曲初披露というサプライズの蓋が開く。北美梨寧が“私たちからサプライズプレゼントがありまーす! なんと、今から新曲を披露したいと思いまーす! みなさんに甘い甘いプレゼントを用意しました”と、追加公演なのに新曲がお披露目されることを客席に伝えると、想定外すぎる展開に会場の皆産からは大きなどよめきが起こる。

そして披露された「チョコスプレー♡」」は、「わざとあざとエキスパート」から続くいぎなり東北産の可愛さの部分にフォーカスしたラブソング。清竜人が初めていぎなり東北産に提供しており、曲中に用意されている女の子の愛らしい台詞だったり、両手でハートを作るようなサビの振りが新衣装の肩のモコモコを揺らすところなど、終始、可愛いが詰まっている。会場では早くも振りを真似る女の子たちの姿も見られるほどで、これまた「わざとあざとエキスパート」「沼れ!マイラバー」「服を着て、恋したい」に続いてTikTokを中心に大きなバズにつながりそうな雰囲気を感じさせていた。

年末12月29日(日)のパシフィコ横浜 国立大ホール<いぎなり東北産 リベンジライブ>が早くもチケット完売間近といういぎなり東北産は、10月6日(日)には京都・KBSホールにて<優勝おめでとうイベント 2024>を開催。また10月14日(月)には宮城・Sendai PITにて<橘花怜生誕祭 絶対アイドルの誓い♡>を行なうほか、10月19日(土)には毎月都内で開催しているフリーライブを実施。10月26日(土)には、仙台・聖和学園短期大学の大学祭<聖翔祭>、10月27日(日)には仙台駅前イービーンズにて開催の<ジャスフェス>に登場する。