サイファミがニジマスをさばく!? SILENT SIRENファンから見た26時のマスカレイド楽曲の魅力|「偶像音楽 斯斯然然」第10回

サイファミがニジマスをさばく!? SILENT SIRENファンから見た26時のマスカレイド楽曲の魅力|「偶像音楽 斯斯然然」第10回

冬将軍

音楽ものかき

2019.08.10
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これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

夏の風物詩<TOKYO IDOL FESTIVAL 2019>にて、SMILE GARDENの大トリを務めた“ニジマス”こと、26時のマスカレイド。ちょうど8月7日のメジャーデビューを目前に、今ノリにノッている勢いを高らかと知らしめたステージだった。

私は筋金入りのサイファミ(サイサイファミリー、=SILENT SIRENのファンクラブ会員)である。それもあって、はじめてニジマスを観たのは2年ほど前、新木場STUDIO COASTで行われたSILENT SIREN主宰イベント<サイサイフェス 2017>だった。さまざまなアーティストが出演する中、会場ロビー内に設営されたいちばん小さいステージ“Lounge Stage”で歌い踊る彼女たち。変化球の多いアイドルシーンの中では珍しい、キラキラとした爽やかで可憐な王道系のグループだと思った。サイサイと同じ事務所だということで妙に納得。なにより楽曲がよかった。耳馴染みの良いメロディは適度にポップでひたすらにキャッチー。「ハートサングラス」という曲だ。気になって調べてみると、作曲者の名前に思わず声が出た。おれたちの“なおきゃん”こと、クボナオキだったからだ。

26時のマスカレイド「ハートサングラス」(2017年)

ライブで大盛り上がりの大定番曲

クボナオキは、SILENT SIRENのサウンドプロデューサーである。ライブではマニピュレーターとして参加。ドラムのひなんちゅ(Dr)の同級生であり、サイサイ結成当初はギタリストとして同じステージに立つメンバーだった。活動途中でバンドをプロデュースする裏方に回っている。サウンドプロデュースをはじめ、メンバーとの共作を含めて数多くのサイサイ楽曲を制作しており、5人目のメンバーとしてファンにも広く知られている存在だ。サイサイが活動開始当初、“読モ出身”ということでどこか色眼鏡な見られ方をされながらも、音楽の部分では外部プロデューサー云々といった、“THE 音楽業界”的な大人のテコ入れを受けずに自分たちだけで音楽を作り続けてこられたのは、バンド自体のパワーがあったにせよ、ひとえにクボの存在と彼の非凡な才能が大きかったはずである。

そんなサイサイを通して女性ヴォーカルポップスに定評のあるクボが、アイドル楽曲をプロデュースしたらどうなるのか?などと考えてみたことがあるのは、私だけではないはず。そう思っていた中での、26時のマスカレイドだった。全曲手掛けているわけではないが、ピンポイントで投下されるクボのニジマス楽曲はその魅力がふんだんに詰まっているのだ。

26時のマスカレイド「ハナイチモンメ」(2018年)

和情緒をロックに落とし込む様に思わずニヤリ

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