TEAM SHACHI、sora tob sakana、でんぱ組inc.、新体制で新境地を感じさせる新曲|「偶像音楽 斯斯然然」第8回

TEAM SHACHI、sora tob sakana、でんぱ組inc.、新体制で新境地を感じさせる新曲|「偶像音楽 斯斯然然」第8回

冬将軍

音楽ものかき

2019.07.13
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これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

新陳代謝の激しいアイドルシーンにおいて、メンバーの卒業、加入……グループの新体制への移行は大きなターニングポイントとなり得るもの。それに伴い、音楽性の拡がり、時として大幅な変革を呼び起こすことにもなる。

さて、今回はそうしたグループの新体制への移行にて、“こうきたか!”と思わず膝を打った3グループの新境地ともいえる新曲を取り上げたい。

ラウドでキュートなブラスロック TEAM SHACHI「Rock Away」

ラウドなのに軽快なアンサンブルをかき鳴らし、華やかなホーンセクションが楽曲に彩りを与え、そこに乗っていくキャッチーなメロディ、歌声はキュート。TEAM SHACHIの新曲「Rock Away」。

TEAM SHACHI「Rock Away」

邦楽ロック好きならビビッとくるであろう耳覚えのある作風は、そう、日高央(THE STARBEMS / BEAT CRUSADERS)による楽曲だ。パンクをベースにロックステディのにおいを漂わせるのはまさに日高の作家性であるし、そこを捲し立てながら四肢が暴走するドラミングはBunta(TOTALFAT)ときたもんだ。パンキッシュな布陣による、こんなにも強靭なサウンドなのに、そこに乗る歌声は愛くるしい。このいい意味でのミスマッチ感が絶妙であり、聴く者に隙を与えないほどに攻めてくる。

1930年代のアメリカに颯爽と現れた大悪党夫婦、ボニー&クライドをモチーフにしたというアメリカンテイスト漂わせる楽曲ながら、どこか欧風な退廃美を感じさせる絵面のMVは、ロカビリーなメンズと英国風ゴシックメイクのメンバーとのコントラストも相まって何度も観たくなる。シュッとゴスをキメ込んだ秋本帆華のクールなビジュアルから発せられるおっとりボイスのギャップも最高。ジャケットのアートワークはエド・ロスの分身、アウトローのシンボル“RAT FINK”のオマージュか!! いやぁ、参った。

TEAM SHACHI「BURNING FESTIVAL」

昨年10月にチームしゃちほこからTEAM SHACHI(と書いて“シャチ”と読む)へと改名。“ブラス民”なる覆面ホーンセクションを加えた編成で活動開始。華麗なブラスアレンジと派手なステージングは、シカゴかブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ、はたまたスペクトラムか、……どこか往年のブラスロックを思い起こさせる。

今年2月にリリースされたミニアルバム『TEAM SHACHI』での、作詞をはじめとしたメンバーの楽曲制作への参加は、大胆なサウンドの変化とともにグループが新たな舵を切ったことを高らかと知らしめた。独自の道を突き進もうとするその貪欲な姿勢は、今作「Rock Away」にてさらに色濃くさせている。今年の夏は日高とBuntaを迎えてのスペシャルバンドでひと暴れするというではないか、そんなの面白いに決まってるだろ。

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