左から、中鉢健太氏(<六本木アイドルフェスティバル>イベントプロデューサー)、沖口優奈(マジカル・パンチライン)、前田健太郎氏(<六本木アイドルフェスティバル>総合プロデューサー)

マジカル・パンチライン 沖口優奈「沖Pの教えてプロデューサー」第4回:<六本木アイドルフェスティバル>総合プロデューサー前田健太郎/イベントプロデューサー中鉢健太(後編)「<RIF>ならではの1ステージで、新しい推しを見つけていただけたら」 マジカル・パンチライン 沖口優奈「沖Pの教えてプロデューサー」第4回:<六本木アイドルフェスティバル>総合プロデューサー前田健太郎/イベントプロデューサー中鉢健太(後編)

沖口 優奈(マジカル・パンチライン)

Pop'n'Roll Chief Discovery Officer

2022.07.24
  • ポスト
  • シェア
  • ブックマーク

マジカル・パンチラインのリーダー兼プロデューサーの沖口優奈と、<六本木アイドルフェスティバル>(以下、RIF)の総合プロデューサーを務めるテレビ朝日の前田健太郎氏と、同・イベントプロデューサーの中鉢健太氏によるプロデューサー対談の後編。今回は、沖口がイベント開催中の2人の仕事や、これまでの<RIF>で特に大変だったこと、今年の見どころなどに迫った。終始笑いが絶えないながらも、前田氏と中鉢氏のアイドルや<RIF>に対する熱い想いが表れた3人の語り合いの模様を余すことなくお届けする。

編集協力:井手朋子

台風が直撃した2018年は、我々ができる仕事はしたと思います

沖口:
おふたりは、イベント開催中はどのようなことをしているのでしょうか?

前田:
イベント当日になると、僕の実務はもうないんですよ。とはいえ、総合プロデューサーとして、要所要所で中鉢のサポートはしています。あと大事な仕事は、アイドルのみなさんとお喋りをしてモチベーションを上げるということ。<RIF>に携わってもう長いから、みんな声をかけてくれて、そこで話すことで楽しんで帰って行ってほしいなと。出演者の方のケアですね。

中鉢:
僕も、イベント本番は基本的には出演者と運営さんのケアをしていますね。

前田:
そうそう、舞監(舞台監督)もいて、基本的に進行は決まっているので。そんな中で唯一ちょっとバタつくのは、カラオケコラボみたいな企画です。毎年やっている企画で、例えば福岡出身の子を集めて浜崎あゆみの曲を歌ってもらうとか、担当カラーが赤の子を揃えて「赤いスイートピー」を歌ってもらっていたりするんですけど、事前に詳細を書いたメールを送っているとはいえ、当日その段取りを説明する時は、少しバタバタしますね。

沖口:
これまでの<六本木アイドルフェスティバル>で、特に大変だったことは何ですか?

前田:
2018年に台風が直撃したんです。当時はまだ僕がプロデューサーで、中鉢がイベント担当だったんですけど、その年はPASSPO☆がまず解散を発表していて、ベビレ(ベイビーレイズJAPAN)もイベント3日前ぐらいに解散を発表して。ウチに出て、<TIF>、<@JAM>、山中湖の野外ライブをやって解散することになったんです。<TIF>と<@JAM>だけでもよかったと思うんだけど、ウチも選んでくれて、でも台風が直撃しちゃいまして。正直本当はやっちゃいけないレベルだったんです。とんでもない雨量だし風も吹き荒れて……(会場の)六本木ヒルズアリーナにも屋根はありますけど、ある程度の風速になると屋根が開いちゃうんです。台風がすごすぎて雨が吹きざらしになって、最初の何組かをやった時に、もうこのあとは無理だってなりました。カッパを着て必死でステージの水捌けをしたんですけど、まねきケチャなんかはお風呂上がりですか?みたいにビショ濡れで。でも、ベビレを観る機会はあと4回しかなくて、そのうちの貴重な1回を飛ばせられないなっていう気持ちがあって……あの時は、大変でしたね。

沖口:
すごくドキドキしてしまう状況ですね……。

前田:
アイドルの安全面もそうですし、お客さんもあれだけ雨晒しだったら、いくら真夏でも風邪を引いてしまうかもしれない。しかも、六本木ヒルズは住宅街にあるから20時には絶対にイベントを終わらせないといけないんです。だから中途半端なステージになったら困るってことで必死に対応して、手伝ってくれたアイドルの子たちもいて。そうしたら、時間も押さずに、最後の3組ぐらいは雨のない中で奇跡的にできたんです。あの時は、やめる/やめないっていうタイムテーブルを何度も組み直して、それこそ舞監と揉めながらでしたけど、結果的にはよかった。もしかしたら風邪を引いた人がいたかもしれないし、出演者も含めて果たして強行してよかったのかっていうのはありますけど、我々ができる仕事はしたと思います。

沖口:
イベントを作っている側からすると、めちゃくちゃ大変だと思うんですけど、逆に演者からすると、そういうアクシデントが数年後1番記憶に残っていたりしますよね。多分ファンの人もそうだと思います。

中鉢:
確かにいまだにコメント撮りに行くと、わーすたとか、まねき(ケチャ)、タスク(Task have Fun)は、みんなその話をしますね。六本木と言えば、あの土砂降り台風って。

沖口:
記憶に残るし、あとから笑い話になるのって、そういうアクシデントだったりするんですよね。野外フェスならではの。

前田:
中鉢の名誉のためにさっき言わなかったですけど、彼は号泣してましたよ。ベビレの最後をやり切って。

中鉢:
いや〜、もう6列目の観客の手が(最前の)柵に届いていたライブでしたから。

沖口:
え〜! すごい!

前田:
届くわけないでしょ(笑)。でも、中鉢にはそう見えるほどすごいステージでした。ベビレをキャスティングしたのは僕だったから、中鉢に“ベビレを仕込んでくれて、最後までやり切らせてくれてありがとうございました“って言われました。もしかしたら、いちファンとして言ってたのかもしれないですけど。あの時は大変でしたが、ここ数年はアクシデントもなく安定していますね。今年は猛暑だし、ウチは野外なので、その辺のケアをしないといけないかなと。アイドルさんにとっても、ヲタクのみなさんにとっても、安心安全なイベントがベストなので。あとは台風が直撃しないか、ですね。

沖口:
確かに野外だと屋内にはないアクシデントがありますよね。

前田健太郎氏(<六本木アイドルフェスティバル>総合プロデューサー)

次ページ