槙田紗子×むっくん(NNBS.)[プロデューサー&音楽クリエイター対談]盟友が寄り添い生み出したグループの歴史を紡ぐアンセム「Hey!Mommy!は、この曲に何度も救われてきた」

槙田紗子×むっくん(NNBS.)[プロデューサー&音楽クリエイター対談]盟友が寄り添い生み出したグループの歴史を紡ぐアンセム「Hey!Mommy!は、この曲に何度も救われてきた」 槙田紗子×むっくん(NNBS.)対談

Pop'n'Roll 編集部

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2022.02.11
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元PASSPO☆のメンバーで、現・振付師の槙田紗子が、はじめてプロデュースを手がけ、2021年11月28日(日)に豊洲PITで開催された<SACO FES DX>で正式デビューを果たしたHey!Mommy!。彼女たちのオリジナル曲の1つ「SCP!」は、1度聴いたら忘れられないキャッチーなメロディと躍動感のあるビート、さらにダイナミックな振り付けで、早くもファンの間で大きな人気となっている。そんなHey!Mommy!の“アンセム”を手がけたのは、覆面音楽クリエイターチームNNBS.のメンバーのむっくん。今回、Hey!Mommy!に限らず、これまでも数々のアイドルグループの楽曲制作と振り付けにともに携わってきた槙田とむっくんの特別対談をセッティング。強い信頼を持ちながらつながる2人の関係や、「SCP!」、そしてHey!Mommy!への想いをたっぷり語り合ってもらった。

インタビュー:竹内伸一
撮影:河邉有実莉

未来で武道館に立つ7人に曲を書いた(むっくん)

――今回は、Hey!Mommy!のプロデューサーである槙田さんと、彼女たちの楽曲「SCP!」を制作した覆面音楽クリエイターチームNNBS.からむっくんに集まっていただき、Hey!Mommy!の音楽についてお聞きしたいと思っています。その前に、まずは槙田さんにHey!Mommy!の近況をお聞きします。11月のSACO FES.DXで正式デビューとなりましたが、感慨もひとしおなのでは?

槙田:
そうですね。でも、ほっとする瞬間ってないんです。デビューのステージを観て、そう思いました(笑)。オーディションで7人を選んでから半年間ほど準備期間があって、周りからはかなり長い時間をかけて準備していたように見えると思うし、“やっとデビューできて、ちょっと落ち着いたでしょ?”なんて声をかけられることも多いんですけど、そんなこと全然なくて。さらに突き進んでいかなくちゃって、日に日に気が引き締まる……そんな感じです。

――プロデューサーとして思い描いていたレベルに7人は達していますか?

槙田:
難しいところですね。彼女たちと一緒に過ごせば過ごすほど、理想が高くなっていくんですよ。それはあの子たちが成長しているからなんですけど。“もっといけたな、次はこうしよう”のくり返しですね。確かに、数ヵ月前にイメージしていた理想像は超えている部分もあるんですけど、今の理想は超えていないんです。すごくよくはなっているんですよ。でも、その姿を見ちゃうと、もっとできるはずだって思っちゃうんですよね(笑)。

――常に成長の余地が見えてくるというのは、この先、楽しみですね。

槙田:
エンタテインメントって、限界がないじゃないですか。答えがないことをやっているので、満足する瞬間があってはいけないなと思っています。だからこそ、楽しい仕事なんだとも思います。

――グループ名をHey!Mommy!にした理由は?

槙田:
誰もがそうだと思うんですけど、10代から20代にかけて、いろいろなことを知っていきますよね。それによって考え過ぎちゃって、逆にできなくなってしまうことってあるじゃないですか。それでどんどん自分の行動が制限されていってしまう。彼女たちは今まさにそういう難しい年代だなと思って。アイドルって、やりたいことではあるんだけど、仕事じゃないですか。アイドルを続けていると、やりたいことのはずなのに、だんだん仕事っぽくなっちゃったりもするんです。どんどん頭でっかちになってしまうというか。私自身がそうでした。なので、メンバーには純粋に楽しい気持ちを忘れないでほしいというところから、“子ども心を忘れないように”という意味を込めて、“おかあさ~ん!”って呼んでいるような、子どもらしさをコンセプトにしたくて、Hey!Mommy!にしました。それと、どんな人でもお母さんから生まれていますよね。なので、誰かのおかげで自分は存在しているんだってことを忘れないためにも、“Mommy”という言葉を入れたかったんですよね。

――むっくんは、これまでにどんな音楽を作ってきたんですか?

むっくん:
もともとはファッション関係の音楽……CMミュージックなどを作っていたんです。たまたまアイドルの楽曲を手掛けることになって、紗子とはもうその時から一緒にやっているんですよ。

槙田:
PINKYCASEというグループがいたんですけど、それが最初かな?

むっくん:
そうだったかも。PINKYCASEの楽曲はかなり作りました。夢みるアドレセンスでも何曲もやったし。紗子は、僕らが作った歌詞に沿って、面白い振りを付けてくれて、すごくいいなと思ってて。それで今回は、紗子がプロデューサーを始めたって聞いて“何か書こうか?”って逆ナン的に提案したんです(笑)。せっかく紗子がやるなら、書きたいなって思って。

槙田:
はははは(笑)。

むっくん:
「SUMI-HAJI」と「Tickey Luppy Doo」はすでに完成していて、それを聴いたらすごくカッコいい楽曲だったので、僕らはより身近な曲というか、ポップな楽曲が得意なので、また違った面白いものができるんじゃないかと思ったんです。

槙田:
それで“アホっぽい曲にしてほしい”って言ったんですよ(笑)。で、何曲か候補をもらって、最初に一緒にやる曲は「SCP!」がいいなって。

むっくん:
オープニングの“ビヨンビヨン”した音で、アホっぽさを表現してみました(笑)。

槙田:
“初めまして”の作家さんだと、曲のイメージについてきちんと打ち合わせをするんですけど、NNBS.が制作して私が振り付けした楽曲って20曲以上あるんで、もうそういうことなしで“アホっぽく”みたいな雑なお願いで伝わるんですよ(笑)。それと、楽曲を制作する側にも、自分で振り付けはしないけど、こういうふうになったらいいなっていうイメージはあると思うんです。ずっと一緒にやっているので、NNBS.の楽曲だと、そういう部分も察知できるんですよね。“こんな振りにしてほしいんだろうな”って。まあ、勝手にそう思ってるだけなんですけど(笑)。コミュニケーションを密に取らなくても、意思疎通ができているというか。

むっくん:
実際に制作に入る前に、メンバーと面談をさせてもらったんです。1人ずつ20~30分は話をしました。そういうことって、これまでにあまりなかったので、それは自分と紗子の距離の近さのおかげです。それで、SACO PROJECT!はデビューするタイミングでグループ名が変わると知ったので、SACO PROJECT!として活動していた時期があったということが、ちゃんと残るような曲にしたいなと思って。彼女たちのストーリーを面白おかしく歌ったら、メンバーもファンのみなさんも原点に帰れる曲になるかなと。大げさに言えば、武道館でこの曲を歌うところまでイメージして作りました。SACO PROJECT!の曲を書いたというよりは、未来で武道館に立つ7人に曲を書いたという感じです。そういえば、曲を渡したらすぐに“振りができた!”って言ってたよね?

槙田:
そうそう。正確にはレコーディング中に浮かんだんですけど(笑)。

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