第5回:最近のつんく♂ワークス〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜 連載5回目は、最近のつんく♂ワークスでの歌詞について
小出 祐介
南波 一海
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南波が小出のために選んだアイドル曲を聴いて、2人が気になっていることをフリートークする連載。今回は最近のつんく♂ワークスでの歌詞について。第1回目でも取り上げていましたが、月イチくらいでつんく♂楽曲には触れていきたいということなので、“それも青春か”。
南波:
今週は1曲ないし3曲でいきたいなと思います。
小出:
なんじゃそら。
南波:
では、かけます。
【ハロプロ・オールスターズ「YEAH YEAH YEAH」】
小出:
……これをつんく♂さん以外に作る人がいるんですか?
南波:
やっぱすぐにわかりますか。この連載の1回目につんく♂さんの歌詞の話題になったので、つんく♂さんの新しい曲をかけてみようかなと。さすがすぎる歌詞で。
小出:
ね。“ポイント期限が切れたら なんか イラッとね”って。しかもサビ前だよ? すごくね?
南波:
そして“人間がこの世で 威張っているのはなんか どうだろう!?”という人類の話も出てくるという(笑)。ハロー!プロジェクト誕生20周年を記念してリリースされるハロプロ・オールスターズの「YEAH YEAH YEAH」という曲です。
小出:
(2番のAメロの“イライラするのなぜだろう”を聴いて)イラッとする話はもうしたのに、もう1回するのもヤバいね。
南波:
“なぜだろう”って、ポイントの期限が切れたからでは……っていう(笑)。
小出:
いやホント不思議だなぁ。
南波:
メロに隙間があるから、次はどんな言葉が出てくるんだろうってワクワクしちゃいますよね。
小出:
なに言うんだろうって思っちゃうもんね。
南波:
平易な言葉遣いなのにぶっ飛んでいて、意味がわからないけどわかるみたいなつんく♂さんの作詞のすごさがめちゃくちゃ出ている曲だなと。
小出:
パッと聴きは難しい言葉は一切使ってないんだけど、なぜか複雑な言い回しに聞こえる。人が読んで“わからなそうでわかる”みたいな文章って出てこなくない? こういうのって書こうと思っても書けないですよ。
南波:
誰でも書けそうな雰囲気はあるんだけどっていう。
小出:
そうそう。なのに書けないんだよね。
南波:
最近のつんく♂ワークスだと、アップアップガールズ(2)のシングルを3作連続で手掛けることになって、その1曲目が「全部青春!」っていう曲なんだけど、その前にLove Cocchiに「青春シンフォニー」という曲も書いていて。
小出:
青春押しがすごいね(笑)。最近、つんく♂さんでびっくりしたのは、ハロコンにDA PUMPがサプライズで出たじゃないですか。それにツイッターで不満をぶつけててさ。誰っぽい曲で話題になったんだっけ、みたいな(※2018年8月6日に「誰っぽいから、と言う事で話題になったんやっけ。なんかずれて来てる気もするかな」とつんく♂氏がツイート)。それを書いたあとに、「ま、しかし、それも青春か。笑」ってツイートしてて、おおおい!と思って(笑)。それも青春なんかい!っていう。
南波:
めちゃくちゃなまとめ方(笑)。
小出:
あれはマジで最高だった。
南波:
つんく♂さんが青春と言うと変な説得力を帯びるんだよなぁ。Love Cocchiの青春ナンバーを聴いてみますか。これが本当に素晴らしくて。
【Love Cocchi「青春シンフォニー」】
小出:
嗣永桃子っぽいトーンの声が聴こえる。
南波:
髪型とか衣装も初期Berryz工房っぽいテイストなんですよね。
担当編集・山村:
どんどんビジュアルが変わっていったのが面白かったです。髪を切られてましたよね。
小出:
マジで!?
南波:
けっこうバッサリですよ。服もちょいダサな感じになっていって。全体的に2004~2005年くらいのハロプロ感が出てるんですよ。
小出:
(Love Cocchiの写真をいくつか見て)ホントだ。めちゃめちゃ当時のベリキューじゃないですか(笑)。もともとはもっと今っぽい感じだったんだね。それがこうなって。
南波:
メイクもナチュラルな感じに変わって。
小出:
(YouTubeでMVを見始める)いやこれ、ベリーズじゃないですか。めっちゃいい。コメント欄もいいね。“鋭いほどの家族の指摘に口答えしちゃってる、まだまだだわ私って歌詞聴いて本当に泣きそうになった、、、 こんなに爽やかな曲調なのになんのパワーなんだ泣”だって(笑)。つんく♂さんの歌詞って女の子に刺さるのがすごいよね。心がいつまでも童貞のおじさんが書いてる歌詞っていうのは、女の子にはさして刺さってなかったりするんだよね。
南波:
メンバーの石川夏海さんにインタビューしたら、つんく♂さんの言葉はいちいち突き刺さるし、波長が合うみたいなことを言ってましたね。録りとかミックスの話で言うと、Love Cocchiのこの曲はヴォーカルも48系っぽいテイストじゃなくて。
小出:
全然そんな感じしないね。パッと聴いた感じ、ラストアイドルで一番いいんじゃないですか? こんないい曲が番組から出てきたんだ。
南波:
僕はこの曲が一番好きなんだけど、この時はシュークリームロケッツがシングル表題曲の座を勝ち取ったんですよね。ただ、審査員の票数だけ見るとLove Cocchiがトップで。
小出:
なるほど。やっぱり我々はつんく♂印が好きなんだな。
南波:
“シティポップげ”なものについて散々あれこれ言っておきながら、つんく♂さんの曲に関しては……。
小出:
もう完全にパブロフ(笑)。“つんく♂の犬”状態ですよ! ほかの人が青春なんたらとか言ってたらちょっと警戒するけど、つんく♂さんならどんどん言ってほしい。DA PUMPがハロコンに出て、なんかずれてきた気もするけど、それも青春シンフォニーだし。
南波:
シンフォニーとは言ってない(笑)。アプガ(2)も聴いてみますか。
【アップアップガールズ(2)「全部青春!」】
小出:
“青春にゃ”って。でも……これもいいね(笑)。
南波:
“地球の100年後”と“今夜のレストラン”を対比させたりしてるのもつんく♂節全開で。
小出:
当時のベリキューのアルバムに山ほど入っていたようなタイプの曲だよね。
南波:
しこたま聴いてきたのに、今のハロプロにこういう曲が減ってきている今、すごくありがたく感じてしまう。
小出:
ホントだね(笑)。
南波:
今のハロプロでは青春っていうのは難しいところもあるのですかね。たとえばアンジュルムにストレートな青春ソングとかってハマらない気がするし。結果、ハロプロ以外のところで僕らが大好きな名作が出ていると。
小出:
このペチャペチャな音の仕上がりも懐かしいな。いやぁ、これはベリキューのコンサートで歌ってたら盛り上がるタイプのやつだ。アプガ(2)のこの先も楽しみだね。
南波:
といったあたりですかね、今回は。
小出:
もう終わり? せっかく赤坂自民亭の話をしようと思ったのに。
南波:
急に(笑)。
小出:
赤坂自民亭も、青春か。
南波:
なわけあるか!
小出:
公文書も山ほど改竄しちゃったけど、ま、しかし、それも青春か。……ふざけんなよマジで!
南波:
政治関連で気になるトピックがあったらカジュアルに混ぜていきますかね(笑)。“それも青春か”ってすごいパワーワードだな……。それはともかくとして、月イチくらいでつんく♂さん楽曲には触れていきたいですね。
「YEAH YEAH YEAH」「青春シンフォニー」「全部青春!」楽曲解説
ポイント期限のことから家族、人間、地球規模までのことを自由に行き来してファンを魅了し続けるつんく♂ワークスを一挙に。