大雨の<NATSUZOME><アイドル甲子園>、ワールズエンド。が提示した最新鋭のガーリーロック|「偶像音楽 斯斯然然」第61回

大雨の<NATSUZOME><アイドル甲子園>、ワールズエンド。が提示した最新鋭のガーリーロック|「偶像音楽 斯斯然然」第61回

冬将軍

音楽ものかき

2021.07.17
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今月開催された<超NATSUZOME 2021>と<アイドル甲子園 SUMMER FESTIVAL 2021>。今回は、雨天という状況が、さまざまな印象深いシーンを生み出していたこの2つのイベントの話を皮切りに、両イベントにも出演し、7月9日に2ndアルバム『カルチャー・クラシック』をリリースしたばかりのワールズエンド。のグループ、そして楽曲の魅力を、冬将軍が独自の視点で掘り下げながら紹介する。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

大雨により会場が文字通りの泥沼化、そのアトラクションさながらの過酷な光景は現地のみならず、“SASUKE”に“風雲たけし城”とTwitter大喜利でも大いに盛り上がった<超NATSUZOME 2021>(2021年7月3日&4日)。そして、集中ゲリラ豪雨により野外ステージが壊滅してしまった<アイドル甲子園 SUMMER FESTIVAL 2021>(2021年7月11日)。炎天下で観る夏フェスもいいけれど、悪天候に振り回され、びしょびしょドロドロになる、これもまた夏の風物詩。

雨三昧だった<超NATSUZOME 2021>と<アイドル甲子園>

私はといえば、両イベントともに行きまして。<超NATSUZOME 2021>は2日目のみの参戦。激しい雨も一時的に収まりつつあった中で、“(幸せの)雨を降らせ”と声高らかに拳を突き上げながら歌っていたアメフラっシが非常にエモーショナルだった。野外で観る4人はまさに勇士。キレのよいメリハリのある動きと、真っ直ぐでよく通る歌声が気持ちよかった。今後ますます強くなっていくであろうグループである。

アメフラっシ ’BAD GIRL’ Music Video

当初は“これがウワサの……”と温かく見守っていたのだけど、イベントなどで観る度にその勢いを感じつつ、何よりあの中毒性の高い楽曲(いどみん先生の振り付け含む)にすっかり頭が侵されている気がしてならない、#ババババンビ。そんなキラーチューン「ばばばばんずむ〜!」の必殺“横移動からの膝蹴り”で、ぬかるみをもろともせず泥だらけになりながら振りコピするヲタクのみなさんの光景が微笑ましくあり、はしゃぎすぎてセキュリティの方に注意を受けているところまで、“おれたちのアイドルフェスが帰ってきた”感満載で涙した。

【初ライブ映像公開】2021.03.27 #ババババンビ デビューライブ

それにしても、あの登場SE時のいかついメンバー呼び込み声の主が格闘家・角田信朗だったとは……。上記動画でノリノリキレキレに踊ってるし、歌はものすごく美声だし……いろんな意味で最強だな。と、#ババババンビのYouTubeチャンネルをくまなくチェックしてる自分がいる……。ちなみに、そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの事務所、ゼロイチファミリアでは、#2i2の天羽希純が前グループの時に言っていた、“父親がヒムロックのファンで「KISS ME」から名づけた”という衝撃的な事実を知って以来、勝手に親近感を覚えている(お父さまと同世代か……)。

天羽希純 公式Twitterより

悪天候の中水浸しのステージで危うく転んでしまったアイドルさんもいたわけだが、颯爽と登場し1曲目イントロで盛大に転倒するも、歌い出しを何ごともなかったかのようにキメたアンスリュームの天神・大天使・閻魔の男前っぷりに感服。ただ、2回目のステージは若干恐る恐る登場していたが……。去り際に“お前らも転べ”と吐き捨てながら去っていった彼女は相変わらずロックだった。

アンスリューム さくらブロードウェイ(Official Music Video)

雨のステージが似合っていたのはやはり、他を圧倒する存在感を放つNEO JAPNONISM。海外ロックバンドのフロントマンばりのシルエットを持つ滝沢ひなのを筆頭とした、“闘う”ステージはTHE MODSの“雨の野音”や、BOØWYも出演した<ウォーター・ロック・フェス>を彷彿とさせる(例えが古い……)光景に胸が高まった。母親のお腹にいる時から人間椅子を聴き、ジョーイ・ラモーンに憧れてアイドルをやっていると話題の滝沢(詳しくは『IDOL AND READ 027』を読んでね! 宣伝です)の、“もっと拳が見えてほしい! 見えてほしいってなんやねんっ!”と1人ツッコミでオーディエンスを和ませ、足下は悪いが煽りは滑らずに絶好調だった。

NEO JAPONISM 「Identity」

そして、こういうメジャー、インディー、ジャンル問わず入り乱れるイベントで観る、わーすたの無敵感。キラキラソングからロックナンバーまで振り切れる彼女たちだからこその強さを、ワンマンライブではわからない俯瞰的なところから感じられた。わーすたこそ、こういうイベントに積極的に出てほしいものだ。

年内で坂元葉月の卒業が決まっているわけだが、5人でいる残された時間が限られているからこそ、これから最高の輝きを放っていくことだろう。

わーすた(WASUTA)「詠み人知らずの青春歌」

<アイドル甲子園>は、豪雨中ちょうどメインステージのCOAST内にいたので外の様子はいざ知らず。ほんの1〜2ヵ月くらい観ない間に、声量が1.2倍になっていてビビった折原伊桜擁するNightOwl終わりに外に出てみたら、USEN STUDIO COASTが水没したんじゃないかと思うくらいの水の都ベネチア状態。いや、流木のごとく水に浮かぶキンブレはまさに貯木場か。COASTに向かう途中、ギタークラフトマン御用達の『もくもく』という材木販売店があってだな、という誰にも通じないであろう話はさておき、そんな過酷な状態だからすべてのイベント進行が中断し、お客さん皆COAST内へと避難。急遽2階席まで解放された。

そうした多くのオーディエンスに見守られながらのイベント再開。始まったのは、ワールズエンド。のステージだった。

5人になって精鋭感が増し、近頃はライブをやるたびにパフォーマンス力が上がっているのがありありとわかるワールズエンド。。この日も絶好調で大盛況だった。最後は豪雨で濡れてしまった人のために、と新グッズのTシャツを無料配布の大盤振る舞い。まさにいろんな意味でノリにノっていることを知らしめたステージだった。ちょうどこの数日前の7月9日に2ndアルバム『カルチャー・クラシック』をリリースしたわけだが、このアルバムが大傑作すぎて衝撃を受けた。

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