遠藤舞×槙田紗子[対談後編]現役アイドルに伝えたい自分の道の作り方「“若いカワイイ”以外をどれだけわかってもらいたいのかはアイドル次第」

遠藤舞×槙田紗子[対談後編]現役アイドルに伝えたい自分の道の作り方「“若いカワイイ”以外をどれだけわかってもらいたいのかはアイドル次第」 遠藤舞×槙田紗子 対談後編

鈴木 健也

Pop'n'Roll Editor in Chief(編集長)

2021.03.06
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遠藤舞(元アイドリング!!!)の初エッセイ『若いカワイイからの卒業』出版記念の槙田紗子(元・ぱすぽ☆)との対談企画の後編。2人が口を揃えて過酷だったと振り返る<TOKYO IDOL FESTIVAL>の想い出を語り合った前編に引き続き、今回は昨今のアイドル事情と、槙田が年始に始動させ、遠藤も審査員として参加している新アイドルプロジェクト『SACO PROJECT!』についてトーク。さまざまなアイドルたちが群雄割拠したアイドル戦国時代を駆け抜けた2人が、現在のコロナ禍で戦うアイドルたちに向けて愛を込めたアドバイスを送る。

編集協力:竹内伸一

今のアイドルはちょっと部活的だよね(遠藤)

――(前編の<TIF>の話題から)アイドルは、若さがあるからこそ、そういう過酷な状況を乗り越えられるのかもしれないですね。実際、遠藤さんの本の中にも“アイドルには活動期限がある”ということが書かれています。

遠藤:
最近はちょっと延びてきている気もするんですよね。私の生徒にも、アラサーでやっている子もいるし、それを公言もしているし。うちらの時よりも年齢は上がってきた気がします。紗子ちゃんは、若い時に辞めたんでしたっけ?

槙田:
21歳で辞めてます。でも、今は21歳から始める子もたくさんいますよね。

遠藤:
そうそう。それと、(グループを)ハシゴする子が多い。そこは変わったなって思う。

槙田:
ホントに! 最近ようやくちょっと慣れてきましたけど、いまだに“?”は取れないです。私たちからしたら、グループを移るなんてこと、頭になかったです。そんな選択肢があるとも思ってなかった。入ったらそこで頑張るしかない。

遠藤:
そうそう。いわゆる地下アイドルっていう存在が出てきてからなのかな。露出が限られてくるので、より目立つところに移りたいと思うのかな。

槙田:
(所属先が)芸能事務所か、そうじゃないかがあるのかなって思いますね。芸能事務所って、そんなに簡単に辞められるものではないですよね。今の地下アイドルの方々って、事務所は事務所ですけど、そのアイドルだけを運営している会社だったりして、いわゆる芸能事務所とはちょっと違うんですよね。けっこうさっぱりしているというか……。

遠藤:
確かに大手事務所だと移りづらいけどね。

槙田:
受け入れる側も、前のグループのこと、あまり気にしないじゃないですか。これが大手事務所間の移籍だと、仁義じゃないですけど、いろいろちゃんとしないといけない部分がありますよね。

遠藤:
当時は辞めたら1年間はほかで活動しちゃいけないというようなルールがあったところもあったし、それでもハシゴしようとすると、いい時期を逃してしまうことにもなるので、現実的じゃなかったんですよね。今はそういうこともないでしょうし。でも、弊害もあるんですよ。アイドルグループに所属して活動をしているのに、実は、ほかのグループのオーディションを受けていて、“受かったので辞めます”とか。それは礼儀としてナシでしょって思うんですけど、今の子たちの身軽さで言ったらアリなんでしょうね。最終的に義理を通すのかどうかって、個人の考え方になるんでしょうけど、私的には、あまりいいことじゃないなって思います。気軽に移籍しちゃうことで、大人が困っているのも見ちゃっているので、それはやめてあげてよって思う。

槙田:
私も同意見です。今はあまりお仕事っていう感じじゃないのかも。やりたいからやっているんですよね。私たちって、正直、アイドルがすごくやりたかったわけではないじゃないですか。

遠藤:
そうそう。

槙田:
そこは大きく違うと思う。舞さんの本にも書いてありましたけど、今はアイドルが目的になっているんですよね。私たちはその後の芸能活動を見据えて、例えば、女優になりたくて事務所に入ったら、アイドルをやってみないかって事務所に勧められたり、アイドルでファンをつけた方がいいと言われたから始めたとか、そういう子が多かったんです。今は、アイドルになりたくてやっている。やりたいことをやっているから、より自由に行動できるというか、“アイドルとして、あっちのグループの方がいい”と思えば、そこに行きたいと思うんだろうし。でも、私たちは、アイドルがやりたいわけではなかったので、別にほかのグループがいいとも思わなくて。違うグループに入りたいと思っても、入れるものでもなかったし。私たちの頃の方が、割り切っていた部分もあったのかも。仕事としてアイドルをやっていたというか。でも、今は、仕事という感覚とはちょっと違って、やりたいからやってるし、楽しいからやってるという感じなんでしょうね。

遠藤:
ちょっと部活的だよね。

槙田:
そう思いますね。

遠藤舞

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