遠藤舞×槙田紗子[対談後編]現役アイドルに伝えたい自分の道の作り方「“若いカワイイ”以外をどれだけわかってもらいたいのかはアイドル次第」

遠藤舞×槙田紗子[対談後編]現役アイドルに伝えたい自分の道の作り方「“若いカワイイ”以外をどれだけわかってもらいたいのかはアイドル次第」

遠藤舞×槙田紗子[対談後編]現役アイドルに伝えたい自分の道の作り方「“若いカワイイ”以外をどれだけわかってもらいたいのかはアイドル次第」遠藤舞×槙田紗子 対談後編

遠藤舞(元アイドリング!!!)の初エッセイ『若いカワイイからの卒業』出版記念の槙田紗子(元・ぱすぽ☆)との対談企画の後編。2人が口を揃えて過酷だったと振り返る<TOKYO IDOL FESTIVAL>の想い出を語り合った前編に引き続き、今回は昨今のアイドル事情と、槙田が年始に始動させ、遠藤も審査員として参加している新アイドルプロジェクト『SACO PROJECT!』についてトーク。さまざまなアイドルたちが群雄割拠したアイドル戦国時代を駆け抜けた2人が、現在のコロナ禍で戦うアイドルたちに向けて愛を込めたアドバイスを送る。

遠藤舞
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紗子ちゃんの理念を受け継がなくちゃって思うんだろう(遠藤)

――槙田さんが年始から始めた新アイドルプロジェクト『SACO PROJECT!』に、遠藤さんも審査員として参加していますが、どんなグループになりそうですか?

槙田:
まだオーディションに参加してくれた子たちに直接会っていないんですよ。オンライン上で見ている段階なんです。ただ、私がパフォーマンスは絶対にクオリティが高いものにしたいって言ったりとか、Pop'n'Rollさんのインタビュー記事も参加者に読んでもらっていて、私が厳しく細かいタイプなのが伝わっているからだと思うんですけど、ストイックな子がすごく多いんです。

遠藤:
最高じゃない!

槙田:
オーディションをやる時に、“ハードルを下げた方が、応募者が増えるよ”って周りからは言われたんですよ。“母数を増やしたいんだったら、「誰でも受け入れるよ」みたいにしておいた方がいいよ”って。でも、それは嫌だなって思ったので、あえて厳しいことを言ったんです……まあ、これでも抑えているんですけど(笑)。今はまだ配信審査なのでね。ただ、“ちゃんと見ていますよ”っていうことを伝えたかったんです。そうしたら、ちゃんとやりたい子が応募してくれて。“(アイドルを)ちゃんとやりたいと思っていました。だからこのオーディションを見つけた時にすごく嬉しかった”とか“自分はどこのグループが合うんだろうってわからなかったけど、オーディションサイトを見て心にグッときました”みたいなメッセージをくれた子もいるんです。今は配信審査で、応募者は動画投稿ができるんですけど、そこで課題振付をアップしてもらっているんです。そこに私がコメントをしているんです。“もっと止めをしっかり”とか“抑揚をつけてサビはもっと派手に”とか書くと、直して投稿してくれるんですよ。“紗子さんのアドバイスを反映して、もう1つ動画を上げました”って。“毎日、10時からは自主練をやってます”と言っていた子もいましたね。だから、さっきの話に戻りますけど、似た者同士が集まるんだなって思います(笑)。

遠藤:
紗子ちゃんのプロとしての姿勢を見て、こうなりたいと思って応募してくれたんでしょうね。だから、紗子ちゃんに憧れているんだろうな。だとしたら、紗子ちゃんの持っている理念を受け継がなくちゃって思うんだろうし。でも、長い目で見たら、母数を多くするよりも、ストイックな子を集めた方が、辞めづらかったりして、正直、採る側のリスクは減ると思うんですよね。オーディションって、本来はそうあるべきだとも思うし。

槙田:
かなり長期間のオーディションなんで、これも周りから“長すぎるんじゃないの? 途中でポロポロ辞めていくよ”って言われるんです。今の若い子はアンテナをすごく張っているし、自分の気持ちに正直な子が多いから、違うと思ったらすぐに方向転換できちゃうんです。だから途中で辞めちゃう子もいるでしょうけど、先々のことを考えたら、それでいいと思う。このオーディション期間を耐えられた子は、たぶん、その先も頑張ってくれるだろうし。だから私は、誠実についてきてくれた子を選ぼうと思っています。

――これまで多くの方を指導してきたと思いますが、伸びていく子の傾向はありますか?

遠藤:
歌の場合だと、レッスンに対する姿勢でわかります。例えば、必ずメモを取ってくれる子とか。逆に伸びないなと感じる子は、失敗すると、こちらが何も言ってなくても言い訳をする。例えば“風邪で調子が悪い”とか。でも、歌を聴いていれば“今日は体調が悪いな”ってわかりますからね。そういう子には逆に“今日は加減して歌ってね”って言いますし。でも、こっちが心配する前に“ちょっと今日は……”みたいな子はなかなかね。そういう子って、毎回、何かしら言い訳を用意しているんですよ。それって歌だけじゃなくて、ほかのことにもつながっていて、“この子はウマくいかないと言い訳して逃げちゃうんだろうな”って思います。そういう子はすぐに辞めちゃったりしますね。自分の失敗を受け入れて、“じゃあ、どうやって練習したらいいですか?”とか聞いてくる子は、ぐんぐん伸びます。もう、明確にわかりますよ。

槙田:
ダンスも同じですね。グループでの話になっちゃいますけど、レッスン中に発言したり質問をしたり、会話があるグループは伸びますね。それは無駄話をするってことじゃなくて、“ここはこうじゃない?”ってメンバー同士で言い合えるかどうか。それは信頼関係の問題でもあるし、女の子同士って、遠慮しちゃうところもあるし、空気の読み合いになりがちなんですけど、お互いプロとして、チームとして、グループをよくするための言葉ならピリッとすることもないし、よい方向に進むんですよ。お互いに何も言えないグループもいるんですよ。メンバー同士が全然違う動きをしていたり、明らかに横の列がずれているのに、何も言わない。そういうことはけっこうありますね。

――では、最後にメッセージをいただけますでしょうか。

槙田:
今、SACO PROJECT!はたくさん応募をいただいて、みなさんが配信を頑張ってやってくれている段階なんです。毎日配信するのって、めちゃくちゃストレスだと思うし、仲間もいない状態で、1人で画面と向き合ってやるのはすごく大変。だから、まずはそれを頑張ってくれたことにすごく感謝しています。今後は、舞さんを含め、審査員の方ががっつり見てくれますので……私だけだと、どうしても1人の目線になってしまうけど、いろいろな方の目線で判断してもらえると思うので、これからは応援してくださっている方にとっても、SACO PROJECT!オーディションの見え方が変わっていくかなと思うので、楽しみにしていてほしいです。

遠藤:
私もめっちゃ楽しみです。

――遠藤さんは、最後に著書についてひと言お願いします。

遠藤:
アイドルのファンの方も、アイドル本人も含めていろいろな方に読んでもらえたらと思って書かせてもらいました。“どういうジャンルの本ですか?”って聞かれると、すごく難しいんですけど、アイドルってどういう生き物なんだろう、アイドルがよくわからないっていう人にも読んでいただけると嬉しいです。

槙田:
この本を読みながら、一緒に語り合いたいくらい面白くて。私、サコプロ(SACO PROJECT!)の合格者には絶対に読ませます。アイドルの教科書です!

槙田紗子、遠藤舞
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槙田紗子、遠藤舞

『若いカワイイからの卒業』

『若いカワイイからの卒業』
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『若いカワイイからの卒業』

発売:2021年2月19日
定価:¥1,500+税
発行:リットーミュージック

CONTENTS
第1章 ぱっとしない女子高生、アイドルになる
・アイドルになるのはキラキラしている女の子だけなのか
・突然、 リーダーと呼ばれて
・年上歴が長い私が気をつけてきた3つのこと
・オーディションってガチなの?
・グラビアアイドルは誰にでもできる仕事じゃない
・アイドルは可愛くなければどうしようもないのか?

第2章 負けるな、若い女
・21歳でBBA扱いされるとヒト♀はどうなるのか
・アイドルに好かれる握手&嫌われる握手
・握手会でクワガタをもらったので育ててみた
・アイドルとうわさ話
・「若い女性」の価値

第3章 どう生きていこうか、私?
・29歳で世に放り出されたらタダの世間知らずおばさんになった
・アルバイトって最高じゃん
・アルバイトって最高じゃん~ミシュラン編~
・アルバイトって最高じゃん~キャバクラ編~
・若いカワイイからの卒業
・31歳でピアスの穴をあけた

第4章 恋愛と結婚について話そう
・片思いはソシャゲ課金みたいなもん
・「アイドルと恋愛」は永遠に答えが見つからないテーマだ
・結婚=ゆるゆる共存
・感情もモノマネできる

第5章 好きな自分になるには
・「おとなしい子」コンプレックス
・アイドルとダイエット
・アイドル時代に「ピル」を知っておきたかった
・切らない縫わない美容術
・そんな私が切ったし縫った
・「緊張に打ち勝つ方法」8選
・女らしさは変動する

『若いカワイイからの卒業』より
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『若いカワイイからの卒業』より
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『若いカワイイからの卒業』より
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『若いカワイイからの卒業』より
『若いカワイイからの卒業』より
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『若いカワイイからの卒業』より

遠藤舞 プロフィール
1988年7月31日生まれ。東京都出身。
2006年よりアイドルグループ・アイドリング!!!のメンバーとして活動。在籍中はリーダーを務め、高い歌唱力、トーク力を武器に活躍。2014年からはソロシンガーとして活動し、2017年に芸能界を引退。現在はボイストレーナーとして多くのアイドルグループや歌手に歌唱指導をする傍ら、レコーディングの仮歌、CMのナレーション、オーディションの審査員など幅広いフィールドで活躍中。鋭い洞察力が発揮されたnote、Twitterの投稿も人気を博している。

槙田紗子 プロフィール
プロデューサー / 振付師 1993年11月10日生まれ。神奈川県出身。B型。
2009年ガールズロックユニット『ぱすぽ☆』のメンバーとしてデビュー。
2011年、メジャーデビューシングル「少女飛行」が、 女性グループのデビューシングルとしては史上初のオリコン週間ランキング初登場第1位を獲得。 2015年12月卒業。
現在は、多数のアイドルグループの振り付けや、主催フェス「サコフェス」開催など、マルチに活動中。
[振付実績]
超ときめき♡宣伝部/SUPER☆GiRLS/夢みるアドレセンス/Lily of the valley/【eN】 /Fragrant drive/SW!CH/透色ドロップ/ドラマ『美食探偵明智五郎』(日本テレビ)劇中振付/舞台<蒲田行進曲><ストリッパー物語>(たやのりょう一座)劇中振付/他多数

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