神宿[インタビュー]音楽的進化が生んだアイドルとしての深化「アルバムすべてに私たちが伝えたい想いがつまっている」

神宿[インタビュー]音楽的進化が生んだアイドルとしての深化「アルバムすべてに私たちが伝えたい想いがつまっている」 神宿『THE LIFE OF IDOL』リリースインタビュー

鈴木 健也

Pop'n'Roll Editor in Chief(編集長)

2020.10.03
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憧れられたいと思っているからこそ、その成長過程の苦しさだったり葛藤をどんどん描いていきたいーーこのインタビューの中で、塩見きらは神宿の最新アルバム『THE LIFE OF IDOL』の制作時に抱いていた想いをこう振り返った。すべての楽曲制作クレジットにメンバー名が記されている本作は、これまであまり見せることのなかったメンバーの赤裸々な心情が、歌詞やサウンドに刻まれた意欲作だ。海外トレンドをアイドルポップスに落とし込んだ「Brush!!」や独特な浮遊感とダークな音世界で魅せる「在ルモノシラズ」をはじめ、羽島めいが本格ラップに挑んだ「Intro:Attitude」、叙情的な旋律と壮大なサウンドを聴かせる「Erasor」など、本作で音楽的な進化とともに、アイドルとしての表現の深化を見せつけた神宿。グループの新しいカタチを鮮やかに提示した5人が、新作の制作やこれからについて語る。

神宿

撮影:鳥居洋介
編集協力:村田誠二

「Brush!!」はしおみぃがメンバーを想像しながら歌詞を書いてくれた(羽島みき)

──この1年間の神宿のビジュアルや音楽性の変化を見ていて、神宿はアーティスティックな方向に行くのかと思っていたので、個人的に新作『THE LIFE OF IDOL』という“アイドル”を入れたアルバムタイトルは意外でした。みなさんはこのタイトルについて、どういう印象を持っていますか?

塩見きら:
今回、タイトルが“THE LIFE OF IDOL”ということで、私たちアイドルの人生のパーソナルな面を切り取った作品になっているんですが、全楽曲にメンバーのクレジットが入っているように、自分たち主体で作っていったので、聴いていただくみなさんに私たちのパーソナルな内面を知ってもらえるような作品になったと思っています。人生っていうと大げさに聞こえるかもしれないですけど、私たちがアイドルとして生きていく中で沸き起こってくる1つひとつの感情を表現できたと思うので、私自身、タイトルはすごくしっくりきていますね。

──“ベットの下 隠したナイフで 抱きしめたあなたを刻みたい”や“I wanna be a mad girl Sadisticでいたい”など、「MAD GIRL」の歌詞は、攻めていますね。

一ノ瀬みか:
「MAD GIRL」は私が作詞に関わっているんですけど、今回のアルバム自体が、アイドルという人生を生きていくメンバー1人ひとりのパーソナルな部分にフォーカスしているので、自分の心の中を隠す必要もなく、むしろそういう部分も見せていくことがテーマの中で自然とそうなっていったんだと思います。

──今回、多くの曲の作詞を塩見さんが手がけています。

塩見:
時間は限られていたんですけど、新曲についてはみんなで一緒になって制作していきたいという想いがあったので、例えば「MAD GIRL」は曲を聴いて“みかさんとの共作がいいんじゃないかな”と思って、歌詞の5大テーマを考えていただいて、例えば“女性視点”だったり、それに合うようなボキャブラリーをメロディに乗せていくというやり方で作っていきました。

一ノ瀬:
デモを聴かせていただいた時から“理想の自分”をテーマに歌詞を書こうと思ったんですけど、私は正直、言葉を並べたり作ったりすることが得意ではないので、音からイメージを抽出していく感じで言葉を紡いでいって、そのあとでしおみぃに聴き取りやすい言葉に変えてもらったりして作っていきました。

──新作は楽曲の方向性もこれまでは異なりますが、歌入れはどうでしたか?

羽鳥めい(以下、めい):
私は今回、歌い方を変えていきましたね。このアルバムに入っている楽曲すべてが本当にこれまでと違った感じで、ニュアンスもかなり違うので、歌詞に合わせて感情をしっかり乗せて歌うということはすごく意識しました。

──1曲目の「Intro:Attitude」からラップもあったり。

めい:
そうですね。私が初めて神宿で出させていただくことになったソロ曲がラップで、作詞も初めてさせていただいて、そもそもラップ自体、本格的に歌うのも初めてだったので、ちゃんとやろうと思ってヒップホップの歴史からしっかり調べ上げたんです。世界中の人たちが大事にしているこのラップというもので、私は何が伝えられるかな?って考えて。それにアルバムの1曲目になることも聞いていたので、私の“今までの人生、今、これから”を歌いたいなって。それをテーマに今回作詞させていただきました。

──作詞はスムーズにできましたか?

めい:
いや、全然スムーズじゃなかったです(笑)。作り上げたのに、また最初からやり直したりってことが何回もありました。難しかったですけど、最終的には納得がいく形に仕上げることができたのでよかったです。

──実際、リズムに乗って言葉を発するのは難しいですよね。

めい:
歌とはまったく違う難しさがありましたね。歌は感情を乗せられますけど、ラップはリズムだから、その中でウマくニュアンスを乗せていくのはけっこう苦戦しました。

──めいさんにとって大きな挑戦だったんですね。

めい:
そうですね。けっこう挑戦でした。でも、このソロ曲を機にもっともっといろんな幅のラップ曲を出していきたいなと思ったので、これからが楽しみですね。

──みきさんは、今回のレコーディングはいかがでしたか?

羽鳥みき(以下、みき): 
今回、自分のパートは英語が多くて、発音だけでも時間がかかりましたね(笑)。“(発音は)こうです”とアドバイスをいただきながら、頑張って歌いました。例えば「MAD GIRL」は、ホントに苦手な分野の、これまで歌ったことのない曲調だったので、すごく苦戦しました。

──歌っていて楽しかった曲は?

みき:
「Brush!!」は楽しかったですね。しおみぃがメンバーを想像しながら歌詞を書いてくれたので、自分に合ってるし、すごく歌いやすくて楽しかったです。お昼寝が大好きなのでありがたいです(笑)。

──(笑)。塩見さんにとっては、みきさんはそういうイメージだったんですか?

塩見:
めいさんと話している時、私が(みきさんは)いつも自宅で家事をしてらっしゃるし、しっかりしてるけど、実際どんな生活をしてるんだろう?って聞いたら、“お姉ちゃん、ああ見えてよくお昼寝してるんだよ”って(笑)。それがすごく可愛いなと思って、その場では“そうなんだ”くらいに流したんですけど、それが頭の片隅に残っていて。そんな感じで、メンバーみんなに合った言葉を選んでいきましたね。

めい:
1回、流したんだ(笑)。

(全員爆笑)

みき:
流したけど戻してくれたんだ(笑)。ありがと、ありがと!

──(笑)。そういうリサーチは大事ですよね。

塩見:
そういうデータは頭の中に入ってます(笑)。日頃から文章を読むのも好きだし、作詞するにあたっていろんなインプットをするようにしているので、メンバーとの会話だったり、ちょっとしたツイートだったり、それぞれのインタビューだったり、拾えるものはどんどん頭の中に入れていきますね。そういうことが好きなのかな。

──小山さんは今回のレコーディングはいかがでしたか?

小山ひな:
今回はいろんなジャンルの楽曲があったので、歌ってて楽しかったです。特に「明日、また君に会える」で私が歌ってる部分の歌詞とメロディがとても好きで、歌っててとても気持ちよかったかな……しっくりきたというか、1番自分らしく歌えるなと思って。

羽島みき

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