わーすた 、こぶしファクトリー、豆柴の大群、CYNHN、アンスリューム……ロックスピリッツを感じた新曲｜「偶像音楽 斯斯然然」第25回

豆柴の大群「大丈夫サンライズ」　WACKであることの証明

この曲を初めて聴いた時“WACK、本気だ”と思ったのは私だけではないはず。言わずと知れた安田大サーカス・クロちゃんとの対決において負けられないのは当然のことなれど、まだ未知なるグループのポテンシャルをここまで引き出せるものなのかと、WACKとSCRAMBLESの手腕に感服した。

BiSからの伝統ともいうべき、胸中を弄りながら感情を昂らせていくメロディと、BiSHで切り拓いた壮大なスケール感を思わせるストリングス。GANG PARADEが持つ勇猛さを溢れさせながらも、EMPiREのスタイリッシュさすら感じさせる……、といったWACKがこれまで培ってきたものをすべて落とし込んだような楽曲強度がすさまじい。しかしながら、そうした“WACKのグループである”ことを高らかに標榜しながらも、既存のグループとはまた違ったカラーを確立しようとする熱情を滾らせている楽曲でもある。SCRAMBLESのWACK楽曲には珍しく、ユニゾンを用いていることからも、その気迫を感じざるを得ない。

ハナエモンスターの安定感とナオ・オブ・ナオの中低域のふくよかさ、対してミユキエンジェルの息を止めたようなあえての滑舌をはっきりさせないヴォーカルの使い方など、クロちゃんプロデュースの前作「りスタート」では気づかなかった各メンバーの声の特性を随所にちりばめた歌割りは、いかにもWACK味を感じさせるところで思わずニヤリ。総じて“松隈＆SCRAMBLESマジック”のすごさをまじまじと見せつけられた曲である。同時にクロちゃん曲「ろけっとすたーと」との対比（こちらもトラックデザイン、編曲がSCRAMBLESであることは置いておいて）は、テレビ視聴者を中心とした世間の反応を含め、今のアイドルシーンにおけるWACKのポジションを改めて確認できた。

ちなみにSCRAMBLESの手腕に関しては、年始スペシャル企画でPop’n’Roll編集長とあれこれ語っているので、そちらもぜひ。