BiS、MIGMA SHELTER、じゅじゅ……、ハードコアにゴス、そしてヴィジュアル系――ロックファンの琴線に触れるアイドルのサウンド｜「偶像音楽 斯斯然然」第9回

美愚魔 死依流堕亜 MIGMA SHELTER

そしてこちらも黒服世代の琴線をビンビンに震わせるMIGMA SHELTER。

MIGMA SHELTER「69」

7月16日にリリースされた「Names」からの新MV「69」、作曲はCMJKときた。とはいえ、現体制になる前からレイヴでの定番曲。ファンにとっては“待ってました！”と言わんばかりの待望の音源化。なぜスケバンなのか？　漫画家志望とは？　というツッコミどころ満載のMVの世界観は観ていて楽しいながらひとまず置いておいて。ラウドなギターがギャンギャンと猛り狂うこのナンバーはグループの中でも異色ながら、サウンド密度の高いMIGMA SHELTERの音楽性との親和性は高く。近年流行りのアンプシミュレーター系ハイゲンサウンドではなく、荒々しいメタリックなギターサウンドも新鮮かつ、往年のインダストリアル風味が感じられ、個人的にグッときたところだ。

どこか“激しいロック＝ヘヴィ、ラウド＝ディストーションギター”のような構図がある昨今のシーンの中で異彩を放つMIGMA SHELTERならではの、流行としてのラウドロックへのアンチテーゼすらをも勝手に感じてしまう1曲。サイケデリックながらどこか物哀しい「Spider Line」、シングル表題曲「NAME」のスペーシーなサウンドの中に泳ぐ和情緒と刹那メロディも素敵。サイケデリックトランスからEBM、インダストリアルまで網羅していくMIGMA SHELTERの猛勢はとどまることを知らない。

“呪い＋鬱ロック” じゅじゅ

“呪い”を掲げるゴシック＆ロリータのアイドルグループと、鬱くしいロックバンドが手を組んだ！　アーバンギャルド・松永天馬によるじゅじゅの8月6日リリースの新曲。

じゅじゅ「非実在聖少女」

不穏を煽るようなストリングスとハードロック調のドラマティックなアレンジ。80sのアングラ、サブカル感を掻き立てるような音使いの奇譚メロディと内向的な歌詞が胸を抉る。アーバンギャルドっぽさもありながら、じゅじゅの先天性イメージをよりキャッチーにわかりやすく浮き彫りにした、まさに“こういうのが聴きたかったんだ”と心の底から手を叩いた1曲だ。