FRUITS ZIPPER、超ときめき♡宣伝部、ゼロイチがキツネダンス　KAWAIIを発信してバズる美学｜「偶像音楽 斯斯然然」第86回

超ときめき♡宣伝部　王道アイドルならではの貫禄

TikTokでバズったといえば、超ときめき♡宣伝部「すきっ！」で一大センセーショナルを巻き起こしたのも記憶に新しい。5月に過去最大キャパの横浜武道館でのライブを成功に収め、次なるは10月22日に幕張メッセ イベントホールでの＜行くぜ！超ときめき♡宣伝部 in 幕張メッセ！＞と、まさにバズった追い風を受けてノリに乗っている、とき宣。

6月22日にリリースされたミニアルバム『ハートギュッと！』は、そんな勢いのあるグループの現在をギュッと凝縮した作品。

コンパクトな言葉の語感のくり返し《ギュッと　ギュッと　ギュッと》がキャッチーなリード曲「ギュッと！」。彼女たちの代表曲の1つでもある「トゥモロー最強説!!」を手がけたMUTEKI DEAD SNAKEの楽曲。

超ときめき♡宣伝部「ギュッと！」Music Video

この楽曲のすごさは“Aメロ→Bメロ→サビ”という構成でもなければ、“ヴァースとコーラス”という洋楽的な2部構成でもないこと。先述の《ギュッと　ギュッと　ギュッと》を主題とし、そこに向かってさまざまなメロ展開があるという、いわばクラシック音楽のような楽曲構成。要するに“くり返し”的な概念ではなく、次から次に新しいメロディで紡いでいきながら楽曲が進行していくというとんでもない曲。どこを切り取ってもサビだらけというべきもの。そんな複雑かつ斬新な構成とはいえ、実験音楽要素や先鋭的な匂いを一切感じさせず、心地よいJ-POP、アイドルポップスになっているという、ある意味での怪曲である。あまりに耳馴染みのよい楽曲のためにそこに気がつきづらいという恐ろしさだ。

超ときめき♡宣伝部 / Cupid in Love

「Cupid in Love」はサビなど、栗原暁（Jazzin’park）らしいアメリカンなミュージカルっぽさが随所に感じられる曲。打って変わって谷口鮪（KANA-BOON）の提供曲「Memories」は、KANA-BOONらしさを感じる大きな音符で繋ぐ爽やかなメロディが、嵐やKinKi Kids、Kis-My-Ft2などジャニーズ楽曲を数多く手がけるha-jのアレンジによって煌びやかなアイドルソングになっている。片や「きっとスタンダード」はどこか懐かしさを感じる往年の刹那系アイドルソング。ちょっと大人びたボーカルの色香が染み渡る楽曲である。

「なんでもいいから」はメロディの起伏の大きいポップソング、「Dear friend」はミディアムテンポで優しく歌声が響く。リード曲「ギュッと！」が変わった構成の曲であるものの、本作に収められた6曲はどれもタイプは違えど、王道的なアイドルソングをきっちりとやっている。本作には、そんな超ときめき♡宣伝部の魅力が詰まっている。それどころか貫禄すら感じてしまうのだ。過去に当コラムで「とき宣とは“エモさ”の応酬である」と書き記したことがあるが、技術に裏付けされた熱量のある歌唱力、途方もない情緒の振り幅を感じるのである。

余談ではあるが“スマイル100%”でお馴染みの菅田愛貴のYouTubeチャンネル。特に奇抜なことをやっているとか、企画がものすごく面白いというわけではないのだが、知らぬ間にチャンネル登録して更新を楽しみにしている自分がいた。

【対決】ワニワニパニック対決したらまさかの…？！

彼女が放つ眩い天性のアイドルオーラと滲み出る育ちのよさと品格、そして当人に負けず劣らず人のよさそうな“スダッフ”さんとののほほんとしたやり取りにやられっぱなしである。