エビ中、イコラブ、ジャムズ……この夏を騒がすポップチューンとマニアックすぎて伝わらないカッティングギターの話｜「偶像音楽 斯斯然然」第84回

＝LOVE　実力派グループに相応しい振り幅

当コラムでは野口衣織をボーカリストの観点から何度かピックアップしてきたわけだが、ここで“待ってました！”と言わんばかりの楽曲が来た。

＝LOVE（イコールラブ）/ 11th Single c/w「知らんけど」

シングルカップリングのユニット曲ということで、=LOVE本体では聴けない個人のボーカルをフィーチャーした艶っぽいロックテイスト溢れるナンバー。野口の表現力以上に本能的に楽曲に合わせて突き刺してくるセンスが炸裂する。加えて、佐々木舞香の伸びやかな色香と諸橋沙夏の鼻にかけたような声の気怠さもたまらない。三者三様のボーカルがせめぎ合いながら、いいバランスでまどろんでいく。さらにエッジの効いたサウンドと輪郭のはっきりしたリズムのアレンジがアッパーな昂揚感を掻き立てる。

＝LOVE（イコールラブ）/ 11th Single「あの子コンプレックス」

シングルの表題曲「あの子コンプレックス」は、刹那的で流麗なメロディが印象的。佐々木舞香センターということを含めて「知らんけど」との振り幅がすごい。=LOVEが“実力派”と言われる所以でもあるが、本人の力量のみならず、両曲の音楽性に合わせた音像の違いが秀逸。それは楽曲の繋ぎから明白であり、YouTubeではわかりづらいところもあるのでぜひ音源を。CDでは「あの子コンプレックス」から、ストリーミングでは「笑顔のレシピ」の柔らかな音質が「知らんけど」でいきなり鋭い音質に変わる。イントロのスネアのバキッとした入りにハッとさせられてしまう。かなり攻めたマスタリングである。

ここに紹介してきた楽曲はバンドサウンドが主となり、効果的にギターが入っているわけだが、さて、ここからは少々マニアックなギター話。前回の“最近の若者はギターソロを飛ばすのか!?”問題とは違う観点でのギターの存在意義について考える。