鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiRE……K-POPトレンドがもたらすJ-POPアイドルの形|「偶像音楽 斯斯然然」第39回

鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiRE……K-POPトレンドがもたらすJ-POPアイドルの形|「偶像音楽 斯斯然然」第39回

鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiRE……K-POPトレンドがもたらすJ-POPアイドルの形|「偶像音楽 斯斯然然」第39回

アイドルファンもよく口にする“K-POPっぽさ”とは何なのか? 今回、冬将軍が鈴木愛理、predia、=LOVE、神宿、EMPiREらの楽曲構造やビジュアル、プロモーションを分析し、“J-POPの中で醸し出されるK-POP感”の正体に迫る。

神宿のガーリー路線

そして、ウマい具合いにトレンドを昇華しているグループといえば神宿だろう。

神宿 KAMIYADO「Brush!!」MV

「ボクハプラチナ」における、Grimes〜LOONA的手法を意識したかのようなJ-POP解釈に驚き、「在ルモノシラズ」のダークサイドに慄いたわけだが、「Brush!!」はどこか懐かしいガールポップな匂いを漂わせながらも、きちんと今どきっぽいガーリー感をかぐわせているという抜け目のなさ。サビらしいサビがなく、間奏替わりのラップパート、あえて歌い上げパートは作らずにサラッと聴かせる耳馴染み重視の3分39秒。先日この曲が披露されたライブを観たが、高低差の少ないメロを持つ同曲は、いわゆるアイドル的な盛り上がりがある“沸き曲”とはまったく別の存在にあることを再認識した。

さらに同曲の面白さは、リフレインされるキメフレーズに“Summer Time Match Every Moment Brush Yeah”と英語を用いてるところだ。ロックバンドはバンドブーム以降、BOØWYが確立した“サビは英語”というのがある種の常套手段になっているが、ガールポップにおいては、浜崎あゆみが“タイトルは英語だが、サビは必ず日本語”という決め事をしていたように、サビに英語を用いることは意外にも少ないのである。特にアイドルソングはそれが顕著である。であるから、正攻法にアイドルポップスに取り組んできた神宿がこういった方向性にシフトしてきたことは興味深い。

しかしながら、同曲は“作詞:塩見きら”とクレジットされていることで妙に納得してしまった。鼻から抜けるような清んだ声を持ち、既存メンバーとは明らかに異なる感性で、グループに新たな息吹をもたらしている彼女が起こしている化学反応。9月30日にリリースされるニューアルバムでは、どんな面差しを見せてくれるのか。

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