26時のマスカレイド[ライブレポート]力強きバンドサウンドで劇的な光景を描いた4人のフロントマン

26時のマスカレイド[ライブレポート]力強きバンドサウンドで劇的な光景を描いた4人のフロントマン 26時のマスカレイド<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>ライブレポート

鈴木 健也

Pop'n'Roll Editor in Chief(編集長)

2020.02.09
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26時のマスカレイドが、2月6日(木)にマイナビBLITZ赤坂で<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>を開催した。昨年の同日にTSUTAYA O-EASTで開催した<2月6日のマスカレイド〜今宵はバンドで踊りましょ?〜>以来、自身2度目の生バンドを迎えてのステージとなった本公演。2月20日から放送開始する初の冠バラエティ番組『26時“ちょい前”のマスカレイド』の詳細発表や、同番組でMCを務めるアンタッチャブル・山崎弘也、現在開催中の<新メンバーオーディション>ファイナリストのサプライズ登場などの大きなトピックもあったが、全編を通して26時のマスカレイドの“音楽”をバンドとともに真っ直ぐにオーディエンスに届けていた。江嶋綾恵梨、来栖りん、吉井美優、森みはるが、バンドのフロントマンとして、大きな存在感を放つパフォーマンスをくり広げたこのライブの模様をお伝えしたい。

26時のマスカレイド<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>マイナビBLITZ赤坂(2020年2月6日)

去年の生バンドライブよりもパワーアップしているところを観てほしいーー本公演の数日前に都内のスタジオで行なわれたリハーサル後に来栖りんは、こう語っていた。

生バンドライブは、オケのライブに比べて音の迫力と説得力が増す。その反面、特に歌のごまかしが効かなくなるため、ボーカリストとしての実力が如実に表れてしまうのだ。実際、昨年の彼女たちにとっての初めての生バンドライブでは、ボーカルがバンドサウンドに負けてしまう場面が時折見られた。あれから1年。26時のマスカレイドには、メジャーデビューとアルバム週間ランキング1位獲得、全国各地の夏フェス参戦、秋のツアー全公演ソールドアウト、メンバーの卒業など、さまざまな出来事があった。それらの経験を経て、彼女たちは“ボーカリスト”としてどのくらい成長を遂げたのか。マイナビBLITZ赤坂は、その試金石となるステージとなった。

悠(Dr)による重たいミディアムテンポのドラムが、<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>の開演を告げる。紗幕にメンバーのシルエットが映し出されると、オーディエンスのテンションは一気に上昇。紗幕が落とされ、グループ初のパンツ衣装で登場した江嶋綾恵梨、来栖りん、吉井美優、森みはるの4人はアッパーな「ニジマスエモーション」で、ライブの口火を切る。4人は、生のバンドサウンドを全身で受け止めながら、生き生きと弾けるように舞い踊った。

赤いライティングでクールな雰囲気を生み出した「Wai-Chai-Na」、サビでメンバーが拳を力強く突き上げた「トワイライト」を立て続けにパフォーマンス。3曲ともに曲中、ヘヴィな縦ノリのビートを聴かせる。この日のライブは、全体を通して白神真志朗(B)の6弦ベースが放つ重低音が強調され、タイトなドラムとともに強力なグルーヴを生み出していた。

冒頭から生バンドが放つパワフルなサウンドを武器に、4人はバンド“26時のマスカレイド”のフロントマンとしてステージで躍動し、力強さの面でもバンドと対等に渡り合っていた。

26時のマスカレイド<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>マイナビBLITZ赤坂(2020年2月6日)

自己紹介MCを経て、次のブロックでもアクセルを踏み込むように勢いをどんどん加速させていくメンバー。メジャーデビューミニアルバムのリード曲「ちゅるサマ!」のサビでは、ニジマスメンバー、バンドメンバー、観客の全員でジャンプ。会場全体の一体感をグッと高めると、ステージ後方のモニターにMVを映し出しながら「B dash!」へ。4人のユニゾンによる力強い歌声を観客に届けた。「COLORS」では、江嶋と森が生バンドライブだからこそのエアギターを交えた振りを見せる。彼女たちが生バンドとのステージを心の底から楽しんでいるのが伺えた。

江嶋綾恵梨<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>マイナビBLITZ赤坂(2020年2月6日)

リハーサルの時に吉井が個人的な見どころと語っていた“バラードゾーン”に移ると、それまでのアッパーな雰囲気から一変、メンバーはステージに叙情的な景色を描いていく。「アルタイルよ教えて」では、1番の平歌はkoma’n(Key)によるピアノだけの伴奏で表情豊かな歌声を聴かせ、サビからバンドが入ってスケール感のあるサウンドを響かせる。また、ステージ上のモニターに星空を映し出し、この曲の持つ壮大さをさらに押し広げていた。

村山遼(G)のクリーントーンによるギターのメロディ弾きから始まった「スノウメモリー」では哀愁感に満ちた旋律を感情を込めて送り、「ゼンキンセン」では心の機微を生バンドとボーカルが繊細に絡み合うことで表現。メンバーは、ここまでの3つのブロックで、26時のマスカレイドの楽曲の振り幅の広さを見事に見せつけていた。

吉井美優<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>マイナビBLITZ赤坂(2020年2月6日)

「アイリス」のイントロでは、美しい“虹”のように重なり合う4人のアカペラのハーモニーに思わず息を飲む。イノセントな来栖、抜群の安定感を誇る江嶋、圧倒的ハイトーンの吉井、クリアな中に独特の色気を持つ森。異なる色彩を持つ4人の歌声もまた、26時のマスカレイドの音楽性を広げる大きなピースだ。「アイリス」の高揚感のあるメロディを力強く歌い上げると、「エンジェルナンバー」では大人びた声で感傷的な空気感を作り上げていた。

森みはる<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>マイナビBLITZ赤坂(2020年2月6日)

メンバーが音楽を真摯に届け続けたライブは、ここからフィナーレに向かって勢いを一気に加速していく。ライブ直前にMVが公開されたグループ史上最もハードな新曲「Flash Back」では、バンドメンバーは鉄壁のアンサンブルでMV以上にアグレッシブなサウンドを轟かし、フロントマンの4人も、赤い照明が煌めいたBメロでは妖艶に、そしてサビではタオルを力強く振り回す。リハーサルの時にこの曲について“生バンドライブのために用意したような曲で、今までの最大限のカッコいいを超えていけるかな”と語っていた来栖は、モニタースピーカーに足をかけてロックシンガーのような佇まいを見せた。

来栖りん<2月6日のマスカレイド~今宵はバンドで踊りましょ?~vol.2>マイナビBLITZ赤坂(2020年2月6日)

そのまま和風メロディとハードなバンドサウンドが見事に融合した「ハナイチモンメ」で攻め立てると、会場のボルテージの最高点を更新。この曲のラストには、クボナオキ(G&MP)がタッピングを交えた流麗なギターソロを披露していたのも印象深かった。

会場全体で26時のマスカレイドの魚のマスコット“ニジマスくん”を振る「マスカレイドは眠らない」を経て、ラストはライブの絶対的キラーチューン「ハートサングラス」を投下。Bメロの観客との掛け合いでは、1番は“ニジマス”、2番は“生バンド”に歌詞を変えて特別感を高めていた。この曲の後半には、それぞれのソロ回しを交えながらバンドメンバーを紹介。エンディング前には、思わずテンションが上がってしまったのか、来栖が森の頬におもむろにキスをする場面も。ラストは、バンドのキメに合わせて4人がジャンプをして、本編は華々しくフィニッシュとなった。

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