LADYBABY vs 我儘ラキアがバンドセットで魅せた、ラウドロックアイドルの“いま”|「偶像音楽 斯斯然然」第12回

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冬将軍

音楽ものかき

2019.09.07
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これは、ロック畑で育ってきた人間がロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週土曜日更新)。

ロックが滅んでしまった300年後の未来から、ロックを復活させ歴史を変えるべく現代にタイムスリップでやって来た、Ediee Ironbunny——。という仮面ライダーを彷彿とさせる出で立ちのサイボーグギタリストがソロデビューした時は、正直そのコンセプトも狙いもよくわからなかった。しかしながら女性ボーカル3人を加えたユニット“IRONBUNNY”として活動を開始すると印象は大きく変わった。

IRONBUNNY 「23 -twenty three-」

8月28日にリリースされたアルバム『IRONBUNNY〜鉄槌のオルタナティブ〜』を聴いて思ったのは、見事なまでにオーセンティックなハードロックギターアルバムだということである。ウォーレン・デ・マルティーニ(RATT)、ダグ・アルドリッチ(The Dead Daisies, White Snake, Bad Moon Rising…)、ジョージ・リンチ(Dokken)といったHR/HMおっさんホイホイなゲストギタリストの人選もそれを物語る。90年代以降のダウンチューニングを施したモダンヘヴィや近年の壮大なラウドロックとはまったく異なるカラッとしたギターのサウンド&プレイのアプローチといい、耳障りの良い爽快さ。仮面ライダー/スーパー戦隊の音楽チームが手掛ける楽曲群はテクニカルなギターとキャッチーなアニソンライクな歌メロ含めて80年代のジャパメタ、良い意味でのハードロック歌謡であるものの、3人ボーカルによる折り重なるハーモニーが心地よく、普遍的ながら古さを感じさせない妙味である。

このIRONBUNNY、特に謳っているわけではないが、近年のヘヴィ&ラウドロック系アイドルの影響も少なからずあるはず。今やラウドロックはアイドルシーンの一角を担っていることは言うまでもないだろう。

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