POPPiNG EMO[ライブレポート]現体制最後の大舞台・Zeppワンマンで見せた4人の武器
Pop'n'Roll 編集部
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POPPiNG EMOが、6月13日(火)KT Zepp Yokohamaにて<9thワンマンライブ“ZEPPiNG EMO”>を開催した。本記事ではオフィシャルレポートをお届けする。
POPPiNG EMO<9thワンマンライブ“ZEPPiNG EMO”>KT Zepp Yokohama(2023年6月13日)撮影:SHIBA
取材&文、撮影:SHIBA
「ポップな世界観に”激エモ”爆裂サウンド」をコンセプトにSCRAMBLESの井口イチロウ氏がサウンドプロデュースを務め、2020年7月から精力的にライブ活動を行なっている4人組アイドルグループPOPPiNG EMO(ポッピングエモ)。
彼女たちにとって2022年夏は転機となったタイミングと言えるのではないだろうか。スプリットでの東名阪ツアーを皮切りに<TOKYO IDOL FESTIVAL 2022><@JAM EXPO2022>への出演、「チャレンジオーディション GO! GO! GO! 2022」では優勝し音楽プロデューサー松隈ケンタからの楽曲提供権利を獲得するなど一目瞭然な活躍見せてきた。そんな飛躍を経て9月21日に渋谷Spotify O-EASTで開催された<8thワンマンライブ"GOODBYE UNDERGROUND”>で、今回のKT Zepp Yokohamaワンマンライブが発表された。あれから9ヵ月。四人が満を持してKT Zepp Yokohamaのステージに立つ。
POPPiNG EMOのマネージメント事務所は劇団でもありこれまで多くの舞台を手掛けており、POPPiNG EMOのワンマンライブでは合間に寸劇が入るなど、メンバー全員が女優の側面を持つPOPPiNG EMOらしいワンマンライブが繰り広げられてきた。今回のZepp Yokohamaでのワンマンライブがどんなものになるか心待ちにしたオーディエンスがフロアに集まる。
フロアに入るとステージには演劇の舞台セットのような大きなセットが聳える。いわゆるライブアイドルが魅せるワンマンライブのステージセットとは様が異なり、ステージセットを見ただけでも期待が高まっていく。
オープニングSEが流れ193R、ナーナ・ポップ、サヤカロス、エモーショナ・ル・ルカとステージ前方に現れると、オープニングナンバーは「覚醒サテライト」。代表曲とも言えるエモーショナルナンバーで幕を開けると歓声が起こり会場中にクラップが共鳴する。「神様なんていないよ」、前述した松隈ケンタプロデュースの「残響ロック」とスピード感あふれる曲を立て続けに披露する。
「Lovin’Lovin’Lovin’」ではポップな曲調の中、各々がステージセットに駆け上がりセット上で歌う。セット上で手を振りながら歌ったり、階段を降りながら歌う姿は、まるで次々と演者が現れてくる芝居のM0(エムゼロ。開演直後の導入曲)を彷彿して心が高揚する。「ミラクルラブストーリー」「サイレン」「戦慄ホーリーナイト」と続き、一気に7曲を披露した。
POPPiNG EMOの楽曲はSCRAMBLESサウンドらしいギターロックを中心にエモーショナルなメロディ展開、更にサビのキャッチーさが特徴なものが多く、Zepp Yokohamaのステージという大舞台に怯むことなく4人それぞれが迫力のある歌声と指先まで精神の宿ったキレのあるダンスで一曲一曲の物語を彩りフロアを魅了していく。
静寂の中ピアノの音色がステージにピンスポットが当たると、光の中で193R、エモーショナ・ル・ルカ、サヤカロス、ナーナ・ポップと順に舞いだしセットの中に消えていく。各々がセットの中で佇む中始まった「Fairy Tale」。静から動への流れやミュージカルさながらな演出に、オーディエンスの目線もより一層ステージに集中する。「Serendipity」から「GIRLS BE AMBITIOUS」に突入するとエモーショナ・ル・ルカの“皆さん調子はどうですか? 音を聞かせて。もっともっと気持ち良くなっていきましょう”という一言に会場中でクラップが鳴り響く。「RED」「僕の歌」「流星とアンダーグラウンド」とパフォーマンスの凄みがより増していく中、「夢幻の如く時が嘲笑う」ではセット上段でサヤカロスが独唱する。サヤカロスのハイトーンボイスが高い天井を突き抜けるかの様に遠くまで響いていく。
前半のダンスパートはピアノだったが今度はストリングスが鳴り響く。193Rがほぼソロで縦横無尽に踊ると「感傷リグレット」へと突入する。“拳!”の掛け声にフロアに広がる突き上がったオーディエンスの拳。「Goodbye my Dear」ではさらに大きくなった歓声が響き渡り熱量が上がっていく。続く「ステレオタイプフューチャー」でストリングスが鳴り響く壮大なサウンドとエモーショナルな歌声で包んでいく。ナーナ・ポップが力強く歌い出し「DAYS」へ突入すると、夕陽に照らされたかの様なステージで甘酸っぱさと切なさを感じさせる歌声に酔いしれるフロア。
ポイントでinstrumentalでダンスを挟む構成となっているようだが、しっとりしたオルガンの音色の中ゆるりと舞う4人。「イノセント」をさらに力強く歌い上げるとラストナンバーの「喝采」へ。両手を広げ激しく歌にダンスに無双する姿は、ここまでダンス曲を含めると23曲をノンストップで披露してきたとは思えない迫力でまさに拍手喝采の圧巻のステージだった。
7月9日に現体制を終了するPOPPiNG EMOにとって、現メンバーではZepp Yokohamaという大舞台での最初で最後のワンマン。そんな特別な夜を潔く4人のパフォーマンスだけで勝負した。193Rのキレのあるダンスと力強い歌声、エモーショナ・ル・ルカのクールな佇まいと相反する激情的な叫び、サヤカロスの安定した歌唱力とクリアなハイトーンボイス、ナーナ・ポップのエモーショナルさと存在感。ドラマチックな楽曲と4人の武器がただただ素晴らしくて、時間なんて感じさせないほどにあっという間だった。
アンコールで登場すると、ここで初めてのMCを行う。“ワンマンで新曲披露すると告知していましたが、新曲やります”と「Evergreen」をタイトルコールする。どこか懐かしさを感じるドラマックなロックナンバーだ。「Okey-Dokey」に突入し、ナーナ・ポップが“笑顔で一緒に一つになりましょう!”と叫ぶと、会場中にクラップと歓声が起こる中、ステージ中を駆け巡りながら笑顔を交わし合った。
ワンマン終了後の6月15日に公式ツイッターにて今後の体制が発表され、エモーショナ・ル・ルカの卒業と新メンバー2名の加入が発表された。メンバーにとっても、オーディエンスにとってもこの夜が忘れられない夜になったことは間違いない。そして、形が変わってもPOPPiNG EMOというグループがさらにに大きくなっていくことを期待せざるを得ない夜となった。