【連載】沖口優奈×『週刊SPA!』編集長(前編)「編集長になった時、まず“俺の仲間になってくれ”って頼みました」

【連載】沖口優奈×『週刊SPA!』編集長(前編)「編集長になった時、まず“俺の仲間になってくれ”って頼みました」 マジカル・パンチライン 沖口優奈「ここの責任者、出してください❤️」第4回:『週刊SPA!』編集長・犬飼孝司(前編)

沖口 優奈(マジカル・パンチライン)

Pop'n'Roll Chief Discovery Officer

2019.06.25
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マジカル・パンチラインのリーダー沖口優奈が、さまざまなリーダーと対談して理想のリーダー像を見つけていく本企画。第4回目に登場するのは、今年創刊31周年を迎えた『週刊SPA!』編集長の犬飼孝司さん。一見意外な組み合わせに見えるが、現在『週刊SPA!』はマジカル・パンチラインを強力レコメンド中で、6月28日〜30日に開催する同誌主催イベント<SPA!フェス31>にマジパンが出演するなど、両者は急速に関係を深めているのだ。対談前編では、沖口が、犬飼さんに編集長としての歩みやスタンスについてじっくり話を聞いた。アイドルグループのリーダーと30〜50代サラリーマンのバイブル雑誌編集長によるレアなトークセッションの行方はいかに?

マジカル・パンチライン 沖口優奈「ここの責任者、出してください❤️」第4回:『週刊SPA!』編集長・犬飼孝司(前編)

汗は率先してかくけど、そこで得られた手柄は人にあげる(犬飼)

沖口:
この連載では、毎回、いろいろなアイドルグループのリーダーにお話を伺っているんですけど、今回は、アイドルではなく、雑誌『週刊SPA!』の編集長・犬飼さんのところにやってきました。編集長といえば、その雑誌のリーダーですよね?

犬飼:
まあ、そうですね(笑)。沖口さんはリーダーになってどのくらいですか?

沖口:
1年くらいです。

マネージャー:
2018年4月9日からです。

犬飼:
僕が編集長になったのも、去年の4月からなんです。同期ですね(笑)。

沖口:
“同期”なんていう言葉をいただいちゃいました(笑)。なんだか、おこがましいですけど、ありがとうございます! 今日は、犬飼さんにリーダーについて勉強させていただこうと思って来させていただきました。まずは、犬飼さんが出版社に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

犬飼:
自分は小さい頃から本が好きだったので、大学の文学部に進んで、そして出版社に就職したという、まあ、一般的なルートではあるんですけど……何かを好きになって、それを誰かに伝えることが、子どもの頃から好きだったんです。音楽でも本でも、“これ、めちゃくちゃ面白かったよ”って友達に薦めて、“本当に面白かった!”って言ってもらうことが嬉しくて。そこが原風景ではありますね。今は、それが仕事になっているんで、すごく楽しいですよ。僕ら編集者は、好きなものをいかに増やすかが、自分の商売に直結するようなところがあるんですね。編集部のメンバーは“好きなものを増やして、好きになったものをいかに人に伝えるか”をみんなで競争しているようなところがあるんです。

沖口:
自分の好きなものをみんなにオススメするっていうのが始まりなんですね。ちなみに、今オススメのものってありますか?

犬飼:
これしかないですよ(マジカル・パンチラインが掲載された『SPA!』を指さす)。

小山リーナと清水ひまわりのグラビアが掲載された『週刊SPA!』

沖口:
あ、(清水)ひまわりのグラビアですね(笑)。ひまわり、可愛いですもんね。“ひまわり推し”なんですよね?

犬飼:
ええ、まあ(笑)。もちろん、沖口さんも推していますよ(笑)。

沖口:
ありがとうございます(笑)。それで、編集長の仕事って、どういうものなんですか?

犬飼:
企画を編集部員から集めて、掲載するものを決定し、雑誌全体の方向性を決めたら、実際に記事を作ってもらい、そして出来上がったものをチェックするというのがおもな流れです。だから、実はあまり取材現場に行くことがないんですよ。現場に行くのはマジパンだけ(笑)。

沖口:
確かに、よく来ていただいているなって思ってました(笑)。

犬飼:
僕もまだ編集長になって1年ちょいなので、正直、何をすべきかわかっていない部分もあるんですよね。沖口さんも、そういうところがあるんじゃないですか?

沖口:
そうですね。マネージャーさんから“こういうリーダーになってほしい”って話をしてもらったり、リーダーについての本をいただいたりして、いろいろ意見を聞きながら、自分なりのリーダー像を模索しているところです。

犬飼:
“リーダーとはこういうものだよ”って教えてもらったとしても、自分の中に経験がないと、その言葉をそのままは信じられないですよね。頭では理解できるけど、実践できないというか。“リーダー像”については僕もいろいろと考えますね。海軍の大将で山本五十六という人がいたんですが、彼の格言で“やって見せ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ”という言葉があるんです。つまり、そこまでやって初めて人は動くということなんですよ。でも、それって、なかなか難しいですよね。それは自分には無理だなと思った。それで結局、人は自分の過去を振り返って信じられるものしか続けられないなと思ったんですよ。では、自分にとって“信じて続けられるものとは?”と考えた時に、とにかく仲間を作ることだなと。人間は1人では何もできないし、自分もこれまで仲間がいて、何かをしてもらったり、こちらも何かをしてあげたりしながらやってきた。編集長になっても、それを続けていくしかないと思ったんです。

沖口:
編集長としてみんなを引っ張っていくというよりは、みんなで力を合わせてやっていこうということですね。

犬飼:
そうなんです。僕は、編集長になる前は、副編集長という職位でした。副編集長というのは数名いて、いわばみんなライバルなんです。今思い返すと、決して仲間ではありませんでした。それで、自分が編集長になった時に“なんて孤独なんだろう”って気づいた(笑)。それで、これは仲間を増やさなくてはと思いました。現場で仕事をしていた時は、カメラマンさん、ライターさん、著者の方……どんどん仲間を増やしていったんですよね。編集長になったら、今度は社内に仲間を増やさないと、誰も助けてくれないぞって(笑)。それで、まずは副編集長たちに“俺の仲間になってくれ”って頼みました。そこから始めた1年でしたね。

沖口優奈(マジカル・パンチライン)

沖口:
仲間を増やすには、信頼関係やコミュニケーションが大事になってくるじゃないですか。編集長として信頼関係を築くために気をつけたことはありますか?

犬飼:
僕らの業界って、一昔前に“あれ俺詐欺”っていう表現が流行って。“あれ、俺がやったんだよ”って、人の手柄を取ってしまう人が多かったんです。それは嫌だなと思って、それだけはやらないようにしようと思いましたね。これは自分の信念とも言えるんですけど。

沖口:
ちゃんと仕事をした人が評価されるようにしたいってことですね。

犬飼:
汗は率先してかきますけど、そこで得られた手柄は人にあげる……それくらいの気持ちで取り組みたいなと思って始めました。

沖口:
確かに“これ、私がやりました”って言いたくなることもありますよね(笑)。でも、それをやってしまうと、信頼関係は築けないし、仲間も増やせないですよね。

犬飼孝司さん(『週刊SPA!』編集長)

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