CHERRY GIRLS PROJECT[ライブレポート]高きポテンシャルを見せた新体制初のツアーファイナル
Pop'n'Roll 編集部
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CHERRY GIRLS PROJECTが、10月20日(木)に東京キネマ倶楽部にて<GOLDRAIN TOUR 2022>のファイナル公演を開催した。新体制となって初めてとなる同ツアーは、10月8日(土)から全国8ヵ所で実施された。本記事では、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。
CHERRY GIRLS PROJECT<GOLDRAIN TOUR 2022>(2022年10月20日)
テキスト:斉藤貴志
これまでもメンバーの変遷があったCHERRY GIRLS PROJECTだが、短期間で全メンバーが入れ替わる形になったのは初めて。2017年の結成当初からグループの顔であり続けた来瞳舞夢も卒業した。だからこそ新体制の6人はまっさらなところから進んでいける一方、CHERRY GIRLS PROJECTの名前と数々の名曲は受け継いでいく。高いハードルを宿命づけられた中、初のツアーを回ってきた。
そのファイナルの東京公演。ステージに現れた6人は横向きに1列に並び、フロアに身を屈める。ピアノのイントロにドラムビートが入ったところで立ち上がり、「透明人間」からスタート。初ライブから歌唱力が際立っていたポニーテールの安保朱珠から歌い出し、抜けのいいボーカルが会場に響き渡った。センターに立つ佳倉光里が凛々しい歌声を聴かせる。閉塞状況での心の叫びを歌うこの曲は、2人のツインボーカルを軸に展開。サビでターンがくり返される躍動的な振りとも相まって、一気に熱が込められていく。安保と佳倉が手を合わせて回りながら歌うのが見せ場になった。最後に再び6人が身を屈めたところから、間髪入れず「utopia」へ突入。円になり、クラシック調のイントロで広がって、厳かに踊り出す。また安保が歌い始め、後ろから宮凪莉央が腰に抱きつくパフォーマンスがありつつ、6人でパートをリレーしていく。サビは佳倉が熱く歌い上げた。
緊迫感の漂う序盤。さらに、歪んだギターに6人が首を激しく左右に振って叫ぶ「絶望のナルシス」を披露。ほとばしる情念。目まぐるしいフォーメーション。斜め上を指差して両手を伸ばしながら跳ねる振りもお馴染みだ。継承すべきチェリガらしさが詰まった定番曲を、高速ドラムに乗って流麗に見せていく。デスボイスも入りつつ、軽快さを感じさせるのが、第4期となるこの新体制の持ち味か。華本萌花が叫んでキメると、暗転からノンストップで届けた、同じく定番曲の「モンスター」では光が差し込むようだった。爽やかな旋律で希望を見出していく様子に、この日のセットリストでは閉塞から解放への流れが感じられた。ボーカルを回しながら、サビの《モーンスター》のロングトーンは、また佳倉が歌い上げて締めた。彼女は8月に加入して以来、小柄ながらステージではどんどんたくましさを増している。
休む間もなく続くパフォーマンスは、葛藤を歌う「アンチエーター」で激しさを見せたあと、「君に花束を」で明るいトーンに転換。このような曲で輝きが高まるのが華本萌花だ。前向きさを広げるように全員でにこやかに歌う中、歌詞通りの彼女の華やいだ笑顔はひと際目を引いて、楽しい気持ちにさせる。2番のサビのソロパートも柔らかい声で歌い、本当にこの曲にハマっていた。「旅人であれ」ではステージ中央に4人が縦1列に後ろ向きで並び、上手に茶髪の宮凪莉央、下手にベレー帽の広川珠姫が立つポジションから、両端の2人が歌い始める。宮凪も広川も可愛らしい歌声で本領を発揮し、爽やかな旅立ちの曲を盛り立てた。サビでは、全員が指で天を差しながら跳ねて歌っていた。
立て続けに7曲披露してようやくMCに。それも簡単な自己紹介と挨拶だけで終わり、安保が“ラストスパートも盛り上がっていきましょう!”と煽ると、すぐ曲に戻った。全員が後ろ向きになって、センターに立った安保から振り返って歌ったのは、キラーチューンの「神さま、お願い」。ステップを踏んで立ち位置を変えていく中で、黒髪ロングで長身の蒔田逢乃がセンターに来ると、この曲がいっそう華やぐ。現役女子高生の彼女の真っ直ぐな歌声は、この曲にマッチしていた。広川が踊りながらクシャッとした笑顔を見せるのも目についた。
会場が爽やかな空気になったところで、切り裂くようなギターからの「幻日」へ。高速ビートとエモーショナルなメロディに、しなやかなダンスを見せて歌う6人。さらに、エアギターから大きく手を回して始まるロックナンバー「愛をちょうだい」での刺すような歌いに引き込まれる。
ライブはいよいよ大詰めに。荘厳なピアノのイントロから始まる「ブリーチ326」は、現体制初の対バンライブで初披露された新曲。波が押しては引くような異色のミディアムバラードで《許されない許されない》《崩れてく崩れてく》と歌い、重厚な曲にメンバーたちのボーカルも迫力を増し、ズシリと響く。長い髪を振り乱していた宮凪もハイトーンで熱唱。彼女は可愛らしい表情から、キメるところではキリッと鋭い目線を送るギャップが印象的だ。
ついにラストナンバー。中央で身体を寄せた6人から佳倉が“ステージに立って1ヵ月か経ちました。いろいろと言う方もいらっしゃいましたが、これだけは言わせてください。私たちがCHERRY GIRLS PROJECTです”とコメントし、《忘れないよ 共に歩んでた時間を》と「I’m Alive」を歌い出す。来瞳ら3人の卒業公演で、披露された新曲で、《道はまた 明日へ繋がるよ》とチェリガを受け継ぐ決意も込められている。リズミカルにステップを踏んで、腕を左右にヒラヒラさせたりと軽快な振りで、想い出を抱き締めながら未来への希望を感じさせるフィナーレとなった。
13曲をあっという間に駆け抜けたステージ。ツアーのファイナルであると同時に、春、夏と行なってきた<三都物語>の最後になる秋の陣でもあったが、春とはまったく別のメンバーで臨むことになるとは誰が予想しただろうか。ステージの最後には“緊急告知”として、12月24日(土)、25日(日)と連日のクリスマスライブが新宿SCINECEで開催されることも発表された。