広瀬すず[イベントレポート]吉永小百合らと共演できた喜びを語る「宝物のような、希望のある作品になりました」映画『いのちの停車場』完成披露試写会にて
Pop'n'Roll 編集部
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広瀬すずが出演する映画『いのちの停車場』が、本日4月14日(水)に、5月21日(金)の公開に先駆けて<完成披露試写会>を実施した。同イベントには広瀬をはじめ、吉永小百合、松坂桃李、南野陽子、小池栄子、みなみらんぼう、泉谷しげる、中山忍、石田ゆり子、田中泯、西田敏行、成島出監督が登壇。本記事では、そのオフィシャルレポートをお届けする。
12名の登壇者が、3つのパートに分かれて登壇した同イベント。まずは、在宅治療を望む妻を愛しているが、老老介護に疲弊する並木徳三郎を演じた泉谷、末期癌を患っているが、芸者として最期まで自分らしく生きる選択をした寺田智恵子を演じた小池、まほろば診療所メンバーが集う憩いの場であるBAR STATIONのマスター・柳瀬尚也を演じたみなみ、咲和子(吉永)の幼い頃に亡くなった母・白石泰代を演じた中山が登壇。それぞれが演じたキャラクターの紹介映像が流れたのち、4名がステージに現れた。
4名が完成の喜びを述べる中、中山は“岡田(裕介)会長がこの客席を観たら、きっと喜ばれただろうと思うと胸がいっぱいです。限りある命を大切にしたいと思える素晴らしい映画になっています”と、同作の製作総指揮を務めるも、昨年亡くなった故・岡田裕介東映グループ会長を偲び、涙ぐみながら挨拶をする。
また、このタイミングで成島監督も登場し、“いろいろなことを乗り越えて今日を迎えられたことが感無量です”とコメントした。
監督からの演技指導について聞かれると、みなみは“40数年ぶりに映画に帰ってきました。台本に「歌を口ずさむ」という箇所があったんですが、監督から「1曲作ってくれないか」と言われ、一晩で作曲して、次の日に本番でした。すごいことをやらせるもんだなあと思いましたが、本番では横にいた西田さんが口ずさんでくれて二重奏になり、孤独な気持ちが救われました。本編でも登場しますので、お楽しみに”と撮影秘話を語る。
小池は“素晴らしい先輩方のお芝居を観て、涙を流しながら完成した作品を観ました。私は私らしく生きていく、という覚悟を胸に演技をしていました”と述べ、中山は“役をいただいた時から嬉しくて浮き足立っていたんですが、最初のカメラテストの時に「お芝居しないでください」と監督から言われてはっとしました。その後は、咲和子のお母さんとして、ただその場にいようと心がけました”と、撮影時を振り返る。
泉谷は“ゴミ屋敷に住む役を演じたんですが、まるで本物のようなネズミの死体まで用意されていて驚きました。その撮影中、岡田さんがいてくれて、ずっとしゃべっていて。私は東映映画が好きなので、東映映画の奥の深さについて語っていました。今日は亡くなった岡田会長を応援する気持ちでやってまいりました。出番は多くないですが、キャンペーンを盛り上げたいと思っています。監督、出番もっと増やせコノヤロー(笑)”と話し、会場の笑いを誘った。
次のパートでは、咲和子の父親で、自らの”いのちのしまい方”を咲和子に託す白石達郎を演じた田中、再発した癌の治療のため、まほろばを訪れた咲和子の幼なじみ・中川朋子を演じた石田、小児癌を患う娘に迫る死を受け入れられずにいる母親・若林祐子を演じた南野が、同じく紹介映像のあとに登場。
田中が“みなさんにお会いすると、撮影所で緊張していたあの感じが戻ってきます。ぜひ、映画を楽しみにしていてください”と挨拶すると、成島監督を含めたクロストークがスタートした。
石田は“岡田会長にも薦めていただき、原作にはない本作オリジナルの女流棋士役を演じました。実はモデルとなる小川誠子さんという方がいらっしゃるんですが、小百合さんのお友達でもあるので、小百合さんが違和感を覚えないように意識しました”とコメントすると、“(誠子さんに)そっくりで本当に驚きました”と監督。
石田は続けて、“小百合さんに「自撮りしません?」と問いかけるシーンの撮影がすごく嬉しかったです。10代の頃から(小百合さんに)憧れていたので、こういう日が来ることがとても幸せでした”と撮影時の想い出を振り返った。
さらに、田中が“吉永さんというスターのお父さん役ということで、(オファーを受けた時は)本当に驚きました。撮影の期間は必死の思いでした。記憶に残り続ける映画になると思います”と述べると、監督は“泯さんは病に倒れる役で、「(役作りのために)5キロ落としたい」と撮影前に言われました。ですが、すでにダンスで絞られた身体ですから痩せる部分がないと私は思ったんです。それでも、撮影時にはしっかり5キロ以上痩せられていて。その気迫はスクリーンにも映っています”と、田中の役作りに対し尊敬の意を示した。
また、南野は“監督はまるでまほろば診療所の先生のような、こちらのやりたいことに寄り添っていただきました。いろいろな方が直面した死について描かれている作品ですが、生きることの素晴らしさや、どう生きていくかなど、みなさんにも自分の生き方を改めて考えていただける作品になったと思います”と作品への想いを述べた。
そして、映画の主人公で、東京の救命救急の現場で働いていたが、とある事件をきっかけに在宅医として故郷・金沢のまほろば診療所で働き始めることとなった白石咲和子を演じた吉永、咲和子を慕って東京からやってきた医大卒業生・野呂聖二を演じた松坂、亡くなった姉の子を母親代わりに育てる、まほろばの看護師・星野麻世を演じた広瀬、個性的なスタッフと患者たちを温かく包み込むまほろば診療所院長・仙川徹を演じた西田の紹介映像が上映された。
映像が終わると、重厚感のある音楽が流れ、暗闇の中から青くきらめく光が溢れ始める演出が。スクリーンが上がると、”いのちのつながり”、”人と人とのつながり”をイメージしたリボンの装飾と本作のタイトルが現れ、光に包まれながら4人が登場。
まずは吉永が“大変な思いの中クランクインしましたが、みんなの力で作った『いのちの停車場』の<完成披露試写会>を今日迎えられたこと、とても嬉しく思います”と挨拶。
続けて松坂は“みなさまに対面して作品を届けられるこの機会にとても喜びを感じます。しっかりと観ていただきたい作品です”とコメントし、広瀬も“大先輩とご一緒できて、(自分にとって)宝物のような、希望のある作品になりました。久々の舞台挨拶でドキドキしています”と心境を明かした。
西田は“真っ直ぐな映画です。ストレートにいろんな問題を投げかけている作品です。コロナ渦で大変な中、スタッフやキャストのみなさんの情熱がそのまま投影されています。いろんな「いのち」たちに優しく問いかけて、「人生、もう一度見直してみたら?」と語りかけてくるような、そんな作品になっています”と述べた。
122作目にして、初の医師役に挑戦した吉永は“わからないことばかりでしたが、監督が指示してくださったので安心しました。映画の中でドクターとして咲和子が成長すればいいとおっしゃっていて”と、撮影時を振り返る。
すると監督は“原作小説に出会った時、吉永さんのための物語だと思ったんです。ものすごく努力をされていて、それでもまだ成長しようとする吉永さんにぴったりだと思いました”と、今なお挑戦を続ける吉永の人柄と作品の関連性について触れた。
監督とのエピソードを聞かれると、松坂は“吉永さんが月なら、僕とすずちゃんが太陽のような存在で、と言われました”と振り返り、広瀬も“ラーメン屋さんで麻世が野呂に過去を語るシーンは、監督にご指導いただきながら撮影しました”とコメント。
撮影時に印象に残ったことに対しては、西田は“吉永さんが妻、桃李くんが長男、すずちゃんが長女と勝手に思っていました。私はお父さんですね。30何年ぶりに吉永さんにお会いしたんですが、あの時のまだまだ初々しい吉永さんがそこに立っておられて、時は人によって不公平なものなのだと思いました”と述べた。
続けて、吉永と西田へ松坂と広瀬の印象を聞く質問に対して、吉永は“すずちゃんは涼やかで、桃李くんはキリンのようにすくすくと成長されていて、見ていて楽しいお2人です”とコメント。
西田は“すずちゃんの活躍ぶりを見ていると、立派にお仕事をこなしていて大変嬉しいですし、桃李くんも、難しい役も多いですが出演したすべての作品が話題になっていて、日本の映画界を牽引している1人だと思っています”と話した。
さらに、最期の時間を穏やかに過ごすことを望んでいるが、長年会えていない息子を気に掛ける元高級官僚・宮嶋一義を演じた柳葉敏郎(試写会は欠席)との共演について質問されると、松坂は“僕と柳葉さんのシーンで、吉永さんがパワーをくれる「あること」をしてくださったんです。ぜひ観ていただきたいと思います”と同作の見どころを語った。
最後は、吉永が“素晴らしい俳優さん方とのセッションのような現場でした。撮影が終わった後、岡田会長が亡くなるという悲しい出来事がありましたが、みなさまの温かい励まし、心から感謝しております。公開まで、たくさんの方に観ていただけるようアピールを続けてまいりますので、お友達やご家族に感想などお話しいただけると、嬉しく思います”と締めくくり、<完成披露試写会>は幕を閉じた。