【連載】沖口優奈×Fans' Dream Projectプロジェクトリーダー(後編)「人の上に立っているとは思っていない」 マジカル・パンチライン 沖口優奈「ここの責任者、出してください❤️」第16回:「Fans' Dream Project」プロジェクトリーダー(後編)
沖口 優奈(マジカル・パンチライン)
Pop'n'Roll Chief Discovery Officer
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マジカル・パンチラインの沖口優奈と「Fans' Dream Project」の責任者である田中慎也氏とのリーダー対談後編は、田中氏のリーダーとしてのあり方について話を聞いた。フェイスの執行役員、BIJIN&Co.の代表取締役である田中氏は、これまでどのように組織をまとめてきたのか? また、田中流の部下との信頼関係の築き方とは? 沖口がリーダーのあるべき姿の1つの核心を見つけた対談の模様を余すことなくお届けする。
編集協力:竹内伸一
【連載】沖口優奈×Fans' Dream Projectプロジェクトリーダー(後編)
社長として“箱”という環境を提供しているだけなんです(田中)
沖口:
フェイスの執行役員のお仕事と、BIJIN&Co.の代表取締役としての仕事では、どんなところが違うんでしょうか?
田中:
外から見ると違う会社ですし、二足のわらじ的なイメージかもしれませんが、実際はフェイスにはBIJIN&Co.の株主にもなってもらっていますし、BIJIN&Co.の『CLOUDCASTING』はエンタメ業界の仕事を獲得するサービスで、一方、フェイスがやっている『Fans'』はファンを獲得するサービス。仕事とファンというのは、エンタメの中で最重要なものだと考えていて、ファンがたくさんいる人には仕事もたくさん来ますし、仕事がたくさん来ればファンも増えていくというように、表裏一体といったものなので、BIJIN&Co.の仕事とフェイスの仕事は、実はかけ離れたものではないんです。BIJIN&Co.が成長すれば、株主のフェイスグループにもメリットがありますし、僕がフェイスの執行役員をやることで、フェイスの成長に役立てれば、BIJIN&Co.にもメリットがある。そういう関係なんですよ。
沖口:
まったく別の道を進んでいるわけではないんですね。
田中:
そうなんです。両面からお互いをウマく伸ばし合えればいいかなと思っています。でも、あまり前例があることではないのかもしれないですね。難しいところもありますけど、基本的な考えとしては、両方にメリットがあると思っています。
沖口:
今、お仕事をされている中で、代表取締役、そして執行役員として、人の上に立つために心がけていることはありますか?
田中:
実は、人の上に立っているとは思っていないんですよ。今は、個人個人が自由に動ける時代だと思っていて、会社も社長が偉いとか、そういうものではなくて、役割が違うだけ。それぞれに適材適所があると思うんです。例えば、自分は長く会社をやってきたので、お金の管理はどちらかといえば得意なんです。でも、エンジニアの勉強をしたことはないので、開発はできません。そんな風に、それぞれに持ち回りがある。会社というのは“箱”なんです。“箱”があることで信用も生まれますし、税金の処理とかお金の管理ができるようになる。いろいろな会社と取引する時に、“僕の口座にお金を振り込んでください”というわけにはいきませんよね(笑)。僕の個人口座から、いろいろなところにお金を払うわけにもいきません。会社は、そういうことをするための“箱”なんです。僕は、社長として“箱”という環境を提供しているだけなんですよ。
沖口:
社長を頂点としたピラミッドの形で会社が成り立っているわけではない?
田中:
そうです。丸く円を描くように多くの人がいて、それぞれの役割に応じて、会社に入って来たお金を分配するという感じですね。じゃあ、“なんで社長は給料が高いんですか?”って不思議に思うかもしれませんが、社長はリスクを背負っているんですよね。それが社長の役割なので。売上がなければ、誰よりも給料が下がる可能性もありますし、リスクを背負った分、成功すれば戻ってくるものも大きい。
沖口:
そのお話を聞いてすごく納得しました。社長はリスクがある分、給料が高いって、今まで考えたことがありませんでした。
田中:
会社を作る時は誰かがお金を出さなくちゃいけない……お金を出さなくても会社を作ることはできるんですけど、じゃあ、労働力は誰が提供するのか。“社長が資本金も出しました、誰よりも働いています、でも給料は安いです”では、おかしいですよね。普通に考えれば、資本金を出した社長が1番もらえていいはず。でも、それはあくまで業績を出した上での話で、業績が悪ければ給料はもらえない。社長には、会社を立ち上げた時にお金を出すリスクに加えて、そういう危うさもあるわけです。
沖口:
なるほど。すごく勉強になります。会社の中で、信頼関係を築くために大切にしていることはありますか?
田中:
そこはシビアな部分でもありますね。みんなで仕事をしている以上、プロ意識を持ってほしい。仲良しこよしでは仕事は成り立ちませんから。プロスポーツ選手で考えれば、結果が出なければ戦力外になることもありますよね。そういう中で、それぞれが尊重できる環境にしたいと思っています。みんながそれぞれの役割を、志を持って取り組んでいる時に、そこから脱落してしまうのであれば、それはしかたないと思いますね。とは言っても、プライベートでまったくコミュニケーションを取らないわけではないですよ。仕事とプライベートの境目を大切にしているというか、例えば、土日も一緒に過ごすような仲のいい社員がいたとしても、その社員の業績が急に悪くなった時に、僕が可愛がっている社員だから、そのまま変わらずに給料を出すとなると、全体のバランスが取れなくなる。そこは分けて考えないと。プライベートと仕事は切り分けるようにしています。
沖口:
仕事の上では、情は一切関係なく、あくまでも成果で判断するんですね。
田中:
基本はそうですね。でも、長く働いてくれている人は、助けたいとも思うんです。長く働いているということは、会社への貢献度が高いということですから。情の部分も含めて助け合っていきたい。そういう人が、万が一、体調を崩してしまってしばらく働けないからといって、戦力外にするってことはないです。でも、入社して1週間の社員が“実は体調が……”って言い出しても、長く働いてくれた人と同じに扱うことはできないですよね。
沖口:
仕事でもプライベートでも、しっかりコミュニケーションを取ることで、助け合いが生まれてくるんですね。
田中:
そうですね。そこは大事にしています。
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